桜の道を辿る・那須町から須賀川市まで@ 桜の道ABC

 

出発は栃木県・那須町、途中の桜に心を奪われて歩みは遅々としたものとなり先に進めません。4月23日と24日の二日間で北上する旅は福島県・須賀川市の長沼で時間切れです。嬉しい事にこの道は芭蕉の辿った奥の細道と交差しながら進む道、咲き誇る桜を愛で芭蕉との心の交流を図ると言う思ってもいない至福の時を得た事になります。

出来るだけ地元の人々が愛着を持って守っている桜を見たいと思っています。この2日の桜の旅は、その土地の人々が先祖代々守ってきた桜、それも商業主義から最も遠くひっそりとただ咲くだけの桜、それだけに気高い純潔の美に接して心が震えるほどの感動を覚えました。道々名も無き美しい桜の木々に出会いました。その内地元の人々が大切に守ってきた桜18カ所の桜を掲載しました。尚、桜の道を辿るの@では下記の表の@〜Cまでを掲載しています。ABですべての桜をご紹介申し上げます。

辿った桜の道の桜
@岩観音下の桜 那須町 I南湖 白河市
A桜ケ城跡 那須町 J小峰城 白河市
B寺子の桜 那須塩原市 K雲月寺 泉崎村
C遊行柳 那須町 L昌建寺 泉崎村
D白河の関(カタクリ) 白河市 M75号線 泉崎村
E庄司戻しの桜 白河市 N護真寺 須賀川市
F乙姫桜 白河市 O横田陣屋 須賀川市
G源清桜 白河市 P永泉寺 須賀川市
H結城桜 白河市 Q長沼城址 須賀川市
@那須町・堂の下の岩観音の桜

出発は那須町、東北道から西側は観光客が行き交う喧騒の町です、私は旧陸羽街道沿いの桜の道を辿る事にしました。それは又、芭蕉の奥の細道と重複する歴史的な興味を満足させてくれる道でもあります。そこは春爛漫、土地の人々に守られてきた神々しいほどに美しい桜の木々が待っていてくれました。
最も訪れたかったのが「堂の下の岩観音の桜」です。芭蕉の奥の細道に書かれた「遊行柳」と同じく那須町の芦野にあってその写真で見た桜に強く引き付けられました。

国道294号線に岩観音の標識、集落の中に駐車場。眼前に驚くべき風景が現れます。美しい桜と岩山に建つ観音堂の見事な組み合わせ、桜が授けてくれた感動の景色です。商業主義とは無縁です、観光バスも訪れません、静かに桜を見る人が時折訪れる地です。この集落の人々が守ってきた桜は小雨の中、私を優しく迎えてくれました。観音堂まで登ります。これ程桜の景色に感動した事があったかと記憶を辿りますが思い出せません。2012.4.23

地元の人々が営々と守ってきた観音堂は今桜の花びらに柔らかく包みこまれてあります。一見すると計算しつくされた様式美にも見えますが、専門知識を持つ人間の作り出したものの持つ小賢しさは感じられません。永年にわたる普通の人々の丹精とこの地の自然が作り出した落ち着いた存在感を感じます。桜の時が過ぎれば水を張られた田には稲が植えられ、黄色のナバナは食卓に上がるのでしょう。お堂の上は雨に煙っていました。

訪れた人々は無事に過ぎた一年を桜に知らせ、これからの一年の為に若々しい春の息吹を桜から授けて貰っているのでしょう。訪れるのは殆どが地元の方々、静かに桜を見上げては桜との心の交流を楽しんでいるように思えました。

岸壁の下に建つ小さな観音堂です。変哲もないお堂です。集落の人々の祈りを受け止めて来たお堂に私達も頭を垂れて祈りました。

素晴らしい桜の恵みに感謝し、一年の息災を祈願した次第です。立ち去りがたい景色ですが、日暮には村に帰らなくてはなりません。次のA芦野氏陣屋跡(桜の城跡)へ向かいます。

A芦野氏陣屋跡の桜

カーナビに導かれて芦野に入ると別名桜の城跡と呼ばれる「芦野氏陣屋跡」の標識、ここも訪れたい場所の一つでしたので早速尋ねます。細い道を辿って行くと広い駐車場に出ます。ただそれだけです。売店も土産物屋もありません、清潔な場所でした。数台車が止まっているだけです。私も車を止めて小山の頂上を目指します。道端には二輪草の群落が続きます。頂上近くの広場まで登ると眼下に芦野の町が広がっています。山の斜面も桜で埋まっていますが、見渡す町もかなりの桜の塊が見えます。城跡の頂上から見下ろす旧奥州街道の芭蕉の通った跡も桃色に染まっています。満開の桜を見に来る人も僅かです。静かに桜の花の下を散策して駐車場に戻ります。2012.4.23

桜の木々に囲まれた道を下って駐車場に戻ってきました。車が数台止まっていて若干にぎやかになったようです。このような場所は複数の人での散策に向いているようです。Bの寺子の桜へ向かいます。2012.4.23
B寺子のヒカンザクラ

「寺子のヒガンザクラ」を訪れます。寺子の交差点の角に駐車場がありました。車を止めて畑の中の道を緩やかに登って行くと桜の巨木が見えてきました。ただそこに静かに立っています。既に花弁を散らしていました。凛とした美の一本桜の姿に感動してしまいました。数百年と言われる年月を、孤独の中でこの集落の人々と共に生きた気高い美しさに思わず頭を垂れました。2012.4.23

幹が太く巨木の趣が感じられます。岩観音で聞いた話では枝が一部枯れて桜の花付が良くないとの事です。説明板を見てこの場所が那須塩原市である事を知りました。地元のご夫婦連れ方がやって来たのをしおに、Cの遊行柳に向かいます。

C遊行柳

陸羽街道を芦野に戻ります。雨がかなり強く振り出してきました。芭蕉の奥の細道縁の「遊行柳」に向かいます。一部水が張られた田の中に出島になったような地にたつ遊行柳の若葉と薄桃色の桜のコントラストに目を奪われます。景色は雨の中に煙っています。小雨の中、薄緑の柳の若葉と桜の組み合わせ、そして芭蕉の紀行文が重なります。感動が更に大きな感動を呼びます。何代も植え継がれてきた遊行柳もかなり幹が太くなっています。

芭蕉が旅の案内をしてくれます。何とも贅沢な旅です。リズムを刻む奥の細道の文章が旅愁を一層深めてくれます。

又、清水ながるゝの柳(西行が歌に詠んだ)は蘆野(那須町のあしの)の里にありて田の畔(くろ・あぜ)に残る。此所の郡守戸部某の、此柳見せばやなど、おりおりにの給ひきこえ給ふを、いづくのほどにやと思ひしを、今日此柳のかげにこそ立寄侍(たちよりはべり)つれ。

田一枚植て立去る柳かな

行き会ったのはたった一人だけです。雨が時折強く降ります。入れ替わりに田んぼの中の道を遊行柳に向かいます。芭蕉の足跡を辿る何度目かの旅です。温泉神社まで進み頭を垂れて桜への感謝と家族の幸運を願いました。眼前の国道294号線はひっきりなしに車が通ります。出島となったここは別世界、静寂が辺りを包んでいます。柳の新緑と桃色の桜が共鳴して感動が私たちの胸を満たしてくれます。車を止めた道の駅と思われ施設は休みのようです。たとえ開いていても極めてささやかな喧騒に思います。

芭蕉の後を辿り「境の明神」を目指します。桜の道を北上するのです。

 
桜を追って芭蕉の道を辿りながら北上、白河へと向かいます。県境に建つ境の明神を超えます。高原の町の入口は更に標高が高く桜は未だ硬いつぼみです。2012.4.23
09/01/2013
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