紅葉する晩秋のボストン
所用があって3泊でボストンに出張しました。大雪の影響が残っていないかと案じながらの一人旅です。若い時は永住しても良いと思ったほどのアメリカですが、今では仕事が終わったらすぐに帰国したいと思うのです。この心変りは年齢のせいとしか考えられません。常々感じる精神の柔軟性の欠如からくるに違いありません。それでも私には母国があります。この国に戻ってくれば心が休まるのですから贅沢は言えません。11月4日、朝6時50分、家を出ます。電車は結構この時間でも混んでいました。2011.11.04

京成スカイライナー

京成スカイライナーも日暮里駅もすっかりきれいになってしまいました。スカイライナーの前に『宗吾参道』と行き先を書いた古い普通電車が止まります。京成らしいと嬉しくなります。

スカイライナーは楽しい電車です。家の軒をかすめるように走ったり川を渡ったり、柴又を通ったり、人々の生活が感じられる電車です。

ボストン到着

全日空でシカゴまで行きます。運の良い事に隣は親切な若者、エコノミーの3人掛けながら一つは空席です。出発前は多忙でしたのでやっとのんびりと本を読んだり座席でビデオを見たり、すっかりくつろいでしまいました。シカゴで入国審査を受けます。

シカゴからユナイテッド航空に乗り換えてボストンに向かいます。1時間30分ほどのフライトでボストン空港に到着。寒さに驚きます。寒さに震えながらシャトル・バスと待ちますが約束の時間になっても表れません。いつもの不安がよぎります。寒い中、他の人はバスに拾われて目的地へと去っていきますが私だけは取り残されてしまいました。待っている場所が違ったのか、時間が違ったのかと不安が吹きあげてきます。仕事で滞在するホテルは車で1時間半も離れた場所にあります。約束の時間から25分も経っておなじみの社名を付けたシャトルバスがやってきました。暖かい車に乗り込んでほっとしました。旅の最初の難関が解決したのです。2011.11.04

ボストンでの最初の夜は同業者の人に強請って何時も行く中華の食べ放題の店に連れて行ってもらいました。一人$12で沢山の種類が揃っています。今回は体調のせいか余りお美味しいと感じなかったのは残念です。このような場所に来る人々はごく普通の生活を送る人達でしょう。観光名所に興味はありませんが、普通の人々の普段の生活を見る事が私には大変楽しいのです。明日からの仕事に備えて早めにホテルに帰ります。2011.11.04

森の散歩
今日で二日目、今日頑張れば仕事が終わります。朝8時から夜の7時まで休みなく続きます。昼食は合間を見て摂る以外ありません。この日7時半に受付に行ってみると扉がしまっていて受付にも人が居ません。アメリカ人が一人途方に暮れたように立っています。どうしたのだろうと私に尋ねます。こちらもいささか慌てます。更に一人アメリカ人が来て、今日からサマー・タイムが終わるから1時間遅れると言われて、あっと思ったのです。友人から言われていたのに。これから部屋へ帰ったら高揚したやる気がそがれそうです。ホテルを取り囲むニュウーイングランドの林を散策する事にします。このホテルに来た時は、暇な時に森を通って30分程歩いて気持ちを落ち着かせているのです。吐き出す息が白い蒸気になっていきます。2011.11.06

大雪の被害の名残があちらこちらで見られます。森の大きな木が裂けていました。
ニューイングランドは初冬と言っても良いでしょう。吐き出す息は白く、草には霜が降りています。一人旅ではどんな些細な事に出会っても感動が深いのです。かえって些細な事ほど心にしみるのかもしれません。
小さな赤い実を付けた木を見ました。私の印象ではどうもしまりがありません。姿がすこしだらしないように思えます。日本でも赤い実を沢山見るので親しみを感じてしまいました。
林の中でキノコを見つけました。食べられるのかとまず考えて、はっとしました。村でキノコを見つけると何時もそう思うのです。心が落ち着いてきました。
カラマツと思われる林が続きます。既に葉を落としているようです。落ち葉が積もってふわふわとした森の道の感触を楽しみます。
真っ赤な紅葉より静かに色ずく森を好みます。森の先に池が見ます。仕事に戻らないといけません。
森の水たまりは凍りついていました。太陽が鏡となった氷の表面を照らします。馴染みの景色に出会って仕事前の緊張が柔らかく解されていくようです。
かなり大きな木が黄色に染まっていました。見上げると青い空と黄ばんだ葉の組み合わせは、村の景色ではお馴染みです。見なれた景色を目にして、力が湧いてきました。
大雪の名残がホテルの駐車場のあちらこちらに大きな山となっていました。

夜7時、出張の目的が100%達成したわけではありませんがまあまあの成果です。日本で椅子に座りこんでいては得られない成果もありました。終われば充実感が湧きあがってきます。ホテルの外に出ると痺れる外気の中に月が出ていました。明日は帰国です。

だらしのない事ですが、どうも食べて直ぐでは交渉事に集中できません。食べて休憩して気合を入れる必要があります。早朝はホテルのレストランは開いていませんし、開いても混雑します。電気式湯沸かし器とレトルト食品が必需品です。昼食も一人になって、午後からの仕事の作戦を練ることが出来ます。仕事は夜まで続くので夜もレトルトのお世話になるのです。炊事場は洗面台、テーブルは事務用のデスクです。3日が限度ですが、なんとも殺風景な食事です。

都会での場合や仕事が終わった日はゆっくりとレストランに出かけることにしています。2日間の仕事は終わりました。しかしシャトル・バスが早朝4時に迎えに来ます。パソコンに向かって仕事の整理をしてパッキングを済ませなくてはなりません。結局時間がないので最後の夜もレトルトで済ませました。2011.11.06

帰国
朝3時20分にホテルのフロントでチェックアウトを行いシャトル・バスを待ちます。外は真っ暗です。バスを待つ間外を散歩してみます。2011.11.06
赤い実が一杯に付いた木が見られます。
バスまではまだ間があるようです。フロントの椅子に座り自分のホーム・ページを見てみました。ホテルのパソコンで見ようとしたらこれがスピードが遅いのです。仕方がないので自分のパソコンを引っ張り出して見てみました。不思議な気持ちです。
ホテルの1階部分には映画に出てくるような舞台があります。パーテイーなどが時折開かれており、その時はダンスでもするのでしょうか。人っ子一人居ない舞台に登ってみました。
バスが来たようです。パソコンを外して手提げにいれます。アメリカ用の変圧器を取り外します。これは必需品です。
シャトルバスが来ました。乗るのは私一人です。真っ暗の中飛行場へと向かいます。ところが途中からフリー・ウエイを外れて何処かの街を通って住宅街に入っていきます。どうも個人がこのバスの予約をしたようです。しばらく待っていると家から男性が一人出てきて乗り込みます。早いバスを予約しておいて良かったと思いました。ぎりぎりでは厳しい荷物検査で時間を取られた場合乗り遅れる恐れがあります。
ボストンのダウン・タウンが近づいてきました。飛行場が近くなるとかなり車が渋滞します。東海岸からは時差の関係で早朝出ればかなり西に向かって行っても、その日仕事が出来ます。早朝の飛行機は込み合います。ボストンはそれ程大きな飛行場ではありませんので助かります。ボストンからユナイテッド航空でシカゴまで向かいます。

シカゴからは全日空で成田まで行きます。11月の平日にも関わらずかなり込んでいます。飛行機に乗れば後は本を好きなだけ読んだり昼寝をしたりビデオを見たり、楽しい時間を過ごせます。

ボストンに来るまではそれなりの準備が大変でしたが、今になれば来れば来ただけの成果があることも事実です。充実した晩秋のボストンへの一人旅の終わりです。2011.11.06

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03/21/2014
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