評価が高そうで自分の好みに合いそうな映画をただ見るだけなので、俳優の事等の詳細には全く詳しくありません。楽しかったか、印象が後まで残ったかどうかが評価の基準なのです。
雨の日だし、ロードショーが始まって大分経つからもう空いているだろうと思ったのですが、劇場はかなり混んでいました。それに若い人が多く、映画の性質からさもあろうと思いました。
アメリカ映画でしばしば題材に選ばれるハリウッドでの夢物語。叔母の影響から女優を目指し、大学を中退してコロラドから出てきたミア(エマ・ストーン)とジャズ・ピアニストのセブ(ライアン・ゴズリング)の夢を目指す物語だと思いました。互いの夢を叶えようと励ましそして愛し合う二人の純粋な心に胸を打たれました。
冒頭のフリー・ウエーの圧倒的なダンス・シーンから引き込まれてしまいました。ロスアンゼルスの夜景が見える丘の上のダンス、沢山のダンス・シーンと力強く心地よい音楽が上映中の劇場に流れ続けています。何も考えずに、ただそれを楽しめば良いと映画に没頭しました。
二人の挫折からコロラドに帰ったミアへの俳優協会からの連絡がセブの元に入ります。二人の転機となるその知らせを持ってセブはコロラドまで車を走らせます。アメリカ大陸中央に位置するコロラドまでの往復はかなり大変な事なのですが、女優を諦めかけるミアの夢を実現させようとセブはやってきます。互いの夢の実現と引き換えに別々の道を歩き出した二人、最後は夫婦の現実の愛とは別の決して消える事のない純粋な愛情を確かめ合ったように思いました。
たった4日の心が通い合う恋の後、2度と会う事のなかったフランチェスカとキンケードの物語、”マデイソン群の橋”の切ない二人を唐突に思い出してしまいました。フランチェスカは生きている間夫の為に生きたから、死んだ後はキンケードと共に生きると言い残して遺骨の灰を思い出の橋から流してもらっています。ミアとセブもそうかもしれないと思ったのです。感動的なラストでした。
映画が終わってシャンテ・シネの外に出ましたが雨は降りやみませんでした。傘を差しながら帰路に付きました。
夕暮れの晴海通りを渡って有楽町駅に向かいます。空の方向は皇居です。薄暗い道路を歩く人々が映画のようにまるで踊りだすような錯覚を感じました。
それほど楽しい映画だったのです。2017.03.21