イースタン・プロミス
堀切菖蒲園から京成電鉄で上野まで出て、更に地下鉄銀座線で日比谷の映画街までやってきました。何度も乗り換えるのでかなり時間が掛かってしまいました。劇場に入ったら既に予告編が始まっていました。暗い中で満員の劇場の中で席を探すのが大変でした。

映画を見るのは随分久しぶりになります。今回もインターネットで幾つかの映画批評を見て”イースタン・プロミス”を選びました。結果としては大当たりでした。平日の昼間なのに日比谷のシャンテ・シネはほぼ満員です。今までこれほど混んだ経験はありません。封切り3日目と言う事もあるかもしれませんが、年齢層もかなり幅広いようですので映画の評判が混雑の原因かもしれません。

銀座線で銀座4丁目で下りて三越で弁当を買い込みました。この日は強い日差しが道路を照らしています。風が吹き抜ける菖蒲園と同じ強い光線でもこちらは何かきつく感じます。急いで有楽町方面に歩いていきます。4丁目の辺りは高級車が沢山止まっています。日本でも色々有るんだと思いました。
まず、主演のニコライ役のヴィゴ・モーテンセンと看護士アンナに扮するナオミ・ワッツが共に素晴らしい演技です。何か影を感じさせる暴力を身にまとったニコライ、素直で清純な心のアンナがナイフのように尖った暴力の交差の中で出会います。最初から最後まで弛緩した場面は見られません。嘘くささを全く感じさせない場面の連続に引き込まれてしまいます。

題名のイースタン・プロミスとはロシヤや東方からの人身売買の事を意味しているようです。物語はロシヤから豊かな生活を夢見てイギリスに渡ってきた少女が薬局で助けを求めて倒れる処から始まります。病院に運ばれて出産の後、赤ん坊に命を引き渡すようにしてその少女は命を落とします。アンナは少女が残したロシヤ語で書かれた日記を、元KGBの叔父の手を借りて翻訳して貰い無謀にも赤ん坊の父親を探そうとするのです(ロシヤ系イギリス人のアンナは既にロシヤ語が理解できなくなっています)。黒人医師との間に出来た子供を流産したアンナの過去の心の傷がそうさせるのです。手がかりの一つのロシヤ料理店を尋ねると、その主人がロシヤ・マフィアのボスであったのです。レイプ、監禁、売春、麻薬と魔界の泥に絡め取られていく姿が語られた日記。日記の中身に関心を持ったボスが日記を奪いアンナの一家に危害を加えようとします。店の前で最初に会ってからアンナは色々な機会でボスの運転手のニコライと顔を合わせるようになります。やがて二人の間には情の通い合う関係が出来上がるのです。

ボスの計略にかかってニコライがサウナで敵対するチェチェン・マフイアに襲撃されて裸で応戦します。凄まじくもリアルな戦いの末、二人の襲撃者を撃退したニコライが大怪我のため運ばれた病院がアンナの働く病院でした。同じ病院に保護されていた赤ん坊が、ボスの息子にさらわれて川に流されそうになります。それをニコライとアンナが阻止して二人はそこで抱き合うことになります。サウナでのアクションが評判になっているようですが、全編に渡ってこれと同じほどの緊張感と深い感動を与えてくる優れた映画です。ただ、私も強烈な暴力シーンに目をつぶったことが2〜3度あったのも事実です。

私は久しぶりに映画を見て深い感動を得て充実した時間を持つことが出来ました(麦の穂を揺らす風以来でしょうか)。これ以上の粗筋はこれから見る方の邪魔になるので差し控えさせてだきます。この優れた映画に点数をつければ88点かと思います。2点のマイナスは、それまでのしっかりした筋書きに比べて、結末が今少しではないかという感じを受けた事によります。2008.06.16

突き当たりは有楽町の煉瓦造りのガード下の店々です。日比谷の一角に昭和が残っているような路地です。日比谷シャンテに向かう途中、有楽町方面を振り返りました。 正面が日比谷公園方面です。シャンテ・シネは木の辺りを左に曲がります。
10/10/2008
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