闇夜のイワナ釣り

 

 

 

 

暗闇の中の那須連山の裏側のイワナの渓流。2017.06.12

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県境の村は新緑が薫風に揺れる

午後4:30・朝から草刈り、農協での野菜の買い物、畑仕事と忙しく時間を過ごしました。すっかり遅くなってしまいましたが午後4:30、県境の村を出てイワナ釣りに向かいました。

進行方向の左に、郷愁を誘う日本の伝統的な風景が広がっています。稲が美しく植えられ水を張った田んぼには山の姿が写っています。2017.06.12

左だけでなく右も同じ景色が続いています。車を降りて暫く美しい風景を見ていました。右手の景色の奥の山を越えてイワナ釣りに向かいます。

峠を越えて約45分程、新緑の中を走ります。2017.06.12

日本の道路の整備されている事には驚かされます。山の中を走る道路も快適です。2017.06.12
つづら折りの急な坂道を登っています。空には様々な形の美しい雲が浮かんでいました。2017.06.12

午後4:50・急な坂は終わったようで傾斜も緩やかになりました。柔らかな新緑が広がる道、車の窓を開けて走ります。

右手の新緑の森の奥から”ホケキョウ”と澄んだ美しい鶯の声が聞こえました。”目には青葉 山杜鵑 初鰹”が浮かんできてにんまりしてしまいました。昨晩スーパーで安物の、多分冷凍かもしれません、鰹を買って食べ、鳴き声は鴬で少し異なりますが、まるで俳句の後景を実践した気分になります。今日の釣りは吉と出る可能性が高いかもしれません。2017.06.12

 

午後5:39・目的のイワナ釣りの渓流にやって来ました。イワナ釣りの前の明るい内に、沢のフキを取らなくてはなりません。栽培のフキと異なる沢に生えている野生のフキです。綿毛が少なく腰が強く歯ごたえが良い大好物のフキです。鎌で夢中で切り取りました。2017.06.12

午後6:12・ほどほどのフキの収穫がありました。途中で清流の中に生えているセリを少々取りました。これで山の幸は十分です。

イワナの渓流への降り口の小沢を目指して歩いてきました。深い緑の山の間を流れています。

水が張られた緑の田圃、緑の稲が植えられた水面は鏡となって空と山を写し込んでいました。何でもない風景ですが、静かな元日本的景色に見惚れてしまいました。2017.06.12

   

午後6:29・小沢の脇に流れ込む沢の放水口を伝わって小沢に降り立ちました。

午後6:33・背丈より高い草を掻き分けで渓流に降り立ちます。熊の出現を恐れて時折奇声を上げながら更に下流へと下りました。2016.06.12

一匹目のイワナ・午後6:52

午後6;52・一旦50m程下流に下り釣り始めます。20分程で一匹目のイワナが掛かりました。これで釣り終わってからの帰りの気分が明るいままで居られそうです。

釣り上げてみると結構大きなイワナでした。2016.06.12
イワナを釣った渓流の中を撮影してみました。実際にはこの水中の対岸に住処があったのです。多分岩が複雑に組み合わさった場所なのでしょう。
2匹目のイワナ・午後7:05

7:05:未だ明るさの残滓が残る渓流を、毛鉤を振りながら上流へと遡っています。対岸の木の下を5回ほど毛鉤を流すと2匹目のイワナが掛かりました。2017.06.12

2匹目のイワナが釣れた場所の水中写真です。渓流の水が岩から落ちて小さな空気の粒を水中に落とし込んでいました。
日暮れの渓流
午後7:07・岸に沿って滑りやすい岩が並ぶ川の中を歩いています。どんな場所でも自然の作り出した美しい風景は合理的で無駄がありません。水面が水圧に押されて少し浮き上がっています。
午後7:13・急に夜の暗闇が辺りを覆います。左の写真はフラッシュを使って、右は使用せずに写しました。実際は暗闇の写真がその時の様子を表しています。2017.06.12

午後7:13・この間2匹のイワナを掛けたのですが逃げられてしまいました。

既に毛鉤は見えませんので手ごたえだけが頼りです。

暗闇は熊の出現を思い出させます。時折フラッシュを光らせ奇声を発して進みます。2017.06.12

3匹目のイワナ・午後7:21

午後7:21・3匹目のイワナを釣りました。実際は既に辺りは真っ暗闇です。岩が作り出す白波だけが白く見えます。

頼りない懐中電灯を照らしながら進むのですが、水中の深さは正確に判断できないので時々深みにはまりそうになります。

熊の恐怖が暗闇が増すほどに心を占めてきます。大きく奇声を数回発しフラッシュを光らせました。次回来る頃は渓流の周りを蛍が飛び交っている事でしょう。2017.06.12

4匹目のイワナ・午後7:29

午後7:29・4匹目のイワナが大きな岩の影から飛び出して毛鉤を加えました。

辺りは真っ暗で景色が見えません。30m程で渓流から道に出られる場所になります、ただそこまでが大きな岩が幾つかあって中々辿り付けません。登り口に近づくと草村が広がっています。熊と蛇にひやひやしながら登りました。2017.06.12

午後7:59・草むらの中で踏み跡を見つけました。これで安心です。蛇を踏まないように懐中電灯で踏み跡の地面を照らしながら先へ進みます。2017.06.12

午後8:01・坂を登るとその先は道路でした。車を止めた集落に戻る道の街灯が安心感を与えてくれます。2017.06.12
今宵の自然の恵み

 

 

 

午後8:46・県境の村が近づいてきました。何時もより今回は少し遅くなってしまいました。毛針での釣りは水棲昆虫が飛び始める夕方がベストなのです。それで熊も怖いのですが暗闇の釣りになりがちです。

今宵は4匹尾イワナ、集落の人で川魚好きの人が居るので持っていきました。翌日イワナのお返しに沢山の新鮮な野菜をいただきました。2017.06.12

 

今日のイワナ釣りは新緑の中で存分に楽しむことが出来ました。そこでは、単なる思い込みかもしれませんが、若葉の作り出すしっとりした空気がとても美味しく感じます。そして街の生活で溜まった緊張が、柔らかく解放されていくような爽快気分になります。

一日の締めくくりは原始的な本能を満たしてくれる暗闇の渓流を遡りながらのイワナ釣り、幾分かの獲物を得る事が出来て細やかな本能が満たされたようです。2017.06.12

05/31/2020
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