村で蕎麦を打ちました

のうさぎ昔はかなり熱心に蕎麦を打っていたのですが、仕事が忙しくなるとそれに反比例して熱が冷めてしまいました。蕎麦は好きで好みの蕎麦屋さんを訪ねては食べていました。近頃、何故か自分で作った蕎麦を食べてみたい気になりました。 昔使った道具と記憶を引っ張り出して試行錯誤を繰り返しながら蕎麦打ちを始めて見ました。全くの素人手慰みですので味や出来は保証の限りではない事をお許しください。

やはり見かけが不細工で味も本職の人には及ばなくても自分で作ったものを食べる満足感がそれを補ってくれるようです。幸いな事に村にはまだ製粉所があるのも助かります。村で暮らす喜びを感じます。1キロ¥500、多分中国製かカナダ産だとは思うのですが十分の香りと味に感じます。拙い蕎麦打ちの私にはぴったりです。二人で300グラムでは少く、400グラムでは多い程度ですから2~3回は楽しめます。打ち粉が¥550、それに極めて安価な中力粉があれば準備は完了。貧者の贅沢な食事にはぴったりです。旨さより自分で作ったと言う満足感が勝っている味ですが、空腹を癒すには十分だと思っているのです。味の好みは人それぞれ、ここで旨いと言うのは定食の味を最高を思っている私の感覚です。また食材の比率はずぶの素人の私のもので他の人に合うかどうか、そして間違っているかもしれません。

村の家は、沢の脇の井戸から汲んだ水を使っています。これが私の蕎麦打ちの唯一の利点です。ぬるを洗い流し蕎麦をしっかりと締めてくれるこの水が、同じく蕎麦を打つ友人が羨ましがる宝物です。 手順は①返しを作る②出汁を取る③たれを作る④そばを打つ⑤そばを茹でるという事になります。

返しを作ります

醤油
砂糖
みりん
0.5リットル
100g
100cc
1リットル
200g
200cc
この返しの味は若干甘めです、味醂と砂糖を少し抑える事で味を調整しています。まずみりんに火を通してアルコール分を飛ばします。鍋の中心まで沸騰したら砂糖を入れ、更に全体が沸騰したら醤油を一気に入れ、沸騰直前に火を止めます。
返しは左記の比率で製造しています。二人の場合は醤油を0.5リットルにして、砂糖100g、みりん100ccを作っています。返しは保存もききますが、煮物にも使用できるので残っても無駄にはなりません。忙しい時はヤマサの“追いがつお”を使用しますが、どうも味が舌に絡まるようで、すっきりしません。
たれを作ります
だしcc
返しgr
総量cc
みりんcc
500 152 652 13
600 182 782 15
700 212 912 18
800 242 1042 20
900 273 1173 22
1000 303 1303 25
1100 333 1433 27
1200 364 1564 30
出しと本返しをあわせて沸騰直前で火を止める。そして、例えば出し600ccの組み合わせの場合はみりん15ccを追加。これを冷ませばたれが出来ます。
出汁に使用する鰹節は、以前は上野の専門店で厚削りを購入していたのですが、現在はスーパーなどで売られている厚削りを使用しています。腕に見合った鰹節だと思っています。適当に出汁を取って、返しと混ぜあわせます。割合は好みの応じて、味を見ながら調整をしています。
そば粉・中力粉・水の比率

そば粉・中力粉・水の比率は下記のようにしており所謂、二八蕎麦です。水の比率は4種類出して適宜使い分けています。①を一般的に使用しますが私の拙い腕では少し水が少ないので、乾燥度に応じて少し増やした②にします。水が多いと作りやすいのですが、どうも蕎麦の味も薄まる気がします。気候によっては大変伸ばしにくくなるのですが、出来る限り①の水分を守るように心がけています。③④は作りやすいのですが、乾燥の厳しい冬季、そば粉がまとまらない時に使用します。通常は蕎麦の風味が損なわれるように思うので使用しません。私の経験から、小食の人は100グラム、普通は200グラム程度が適量だと思うのですが、余り少量ではこね難くなるので出来る限り腹をすかせて400グラム程度、最大600グラム程度が素人には打ちやすいようです。

そば粉gr
中力粉gr
粉総計
①水cc
②水cc
③水cc
④水cc
100 25 125 51 56 60 63
200 50 250 103 113 120 125
300 75 375 154 169 180 188
400 100 500 205 225 240 250
500 125 625 256 281 300 313
600 150 750 308 338 360 375
700 175 875 359 394 420 438
800 200 1000 410 450 480 500
900 225 1125 461 506 540 563
1000 250 1250 513 563 600 625
1100 275 1375 564 619 660 688
1200 300 1500 615 675 720 750
冬の乾燥時水が多い目の#3か#4が作りやすいと思います
道具
のうさぎ道具はたいしたものは要りませんが、包丁とそれに応じたコマイタだけは友人に勧められた浅草の河童橋道具街で買いました。大きなまな板はホームセンターでも購入できますが、一般的な小さな包丁とコマイタはどうも私には合いません。伸ばす板は、柔らかなシナ板製コンパネを使用していますが不都合はありません。こね鉢は木製のものを使用していたのですが、手入れと耐久性・持ち運び・価格から業務用の大きなアルミのボールを河童橋で買いました。茹でた蕎麦を鍋からすくう網も素早い作業を求められるので大変重宝しています。
蕎麦を打ちます

①二人分としてそば粉を400グラム、中力粉を100グラム計量してボールに入れます。二つを良くかき混ぜた後、水を①の205ccか②の225ccを計量カップに入れます。この時は225ccにしました。少し水を入れては粉をかき回します。これを何度も繰り返して出来る限り満遍なく水分を粉に馴染ませます。

②水が馴染むと粉に粘り気が出てきます。 ③全て水を入れて拡販が終わると手で握ると、かなりバラける感じですが塊になります。
④色々な練り方があるようですが、自己流で折ったり曲げたり手で押してひねったりを繰り返します。ひたすら15分~20分程こねます。私の目安は汗が出るほどですからかなり力がいります。 ⑤蕎麦の香りがして全体がほどの良いまとまりを見せてきます。友人に教えてもらったので正しいやり方かどうか分かりませんが、これをころがして丸い玉にします。
⑥丸い球か出来ました。 ⑦手の平で玉の片側を抑えながら、反対の手で玉を転がします。円錐形の塊を作ります。
⑧打ち粉を撒いた板の上に置いた円錐形のそば粉の塊の頂点を押していくとこのようになります。 ⑦円周の縁部分を押したり、円の内部を押したりして出来る限り広げていきます。縁の部分にひび割れが出来たら修復しながら行います。
⑧手で広げるのが難しくなったら麺棒に巻きつけて広げていきます。1の部分を巻きつけながら転がしいきます。次に2の部分の先端を巻きこんで転がします。次に3、4の部分を順次巻き込んでいくと1・2・3・4の部分を頂点とする四角形の原型が出来上がります。 ⑨各頂点を巻きこんでは麺棒で延ばしていきますが、素人には打ち粉を振る事が大切なようです。作業板と蕎麦の表面に適宜打ち粉を振りかけながら作業を続けます。一旦ひび割れが出ると改修は難しいのですが出来る限り初期の段階で行います。
⑩一度で四角形には出来ないので、伸びが足らない頂点を巻きこんだり、麺棒を転がしたりして出来る限り正確な四角形をつくります。作業中は表面に打ち粉を振りながら行います。本職の方を見ているといとも簡単にやっていますが素人の私には最も神経を使います。 ⑪最後に出来る限り均一になるよう麺棒を回転させながら調整と伸ばしを行います。これは完成した蕎麦をゆでた時に均一の硬さに仕上げる為に重要です。均一性を確認したら八つ折りにしていきます。
⑫無理をすると薄くなった蕎麦が切れますので麺棒を添えて二つ折り、四つ折り、八つ折りと折り重ねていきます。 ⑬八つ折りの完成です。この作業も最新の注意が必要で、焦ったり強引に行うと切れてしまって台無しになります。
⑭小間板に沿って切って行きます。私の好みは喉ごしの良い細めですので板すれすれの感じで切って行きます。ゆでると膨れて太くなるので素人の感覚では細めが良いようです。出来る限り均一にと思うのですが結構草臥れるので中々最後まで同じ太さを維持できないでおります。
⑮蕎麦の完成です。腰が痛くなりました。左の方の一部が短いのは四角形の頂点が足りなかったせいです。蕎麦は折り返されているので喉こしの味を楽しむのに十分の長さがあります。これで400グラムのそば粉を使った量ですが、私は3回に分けて茹でています。蕎麦屋さんは火力が強いので沢山ゆでる事が出来るのですが、家庭用の火力では少量の方がしゃっきりと茹でられるようです。
蕎麦を茹でます
①茹でる鍋は厚い素材でたっぷりと水が入るものが良いようです。昔は寸胴を使っていたのですがいかにも大きすぎて使いきれません。少し深めの鍋を見つけて、3回ほどに分けて茹でています。 ②家人は喉ごしの良い極めて細い蕎麦を好むのでその時は1分程、細めの場合は1分20秒程で沸騰します。素早く引き上げます。
③井戸水を出しぱなしにして1分30秒から2分、手早くそして丁寧にぬるを取ります。 ④掌にぬるっとした感覚が見る見るうちになくなります。素早く水を切って完成です。
いただきます

1回目の茹では、具もわさびも入れず、蕎麦だけを味います。2回目からは天麩羅を食べたり蕎麦を食べたり、それでも天麩羅は別の器にたれを入れて蕎麦とは別にして食べます。最後の3回目の茹では好き勝手に食べます。村には季節に応じて、ヨモギ・三つ葉・タラの芽・コシアブラ等々の野の食べ物があります。これらの天麩羅を食べる時村の生活の幸せに感謝するのです。天ぬきを味わうためにも天麩羅は必需品です。最後の締めにコクのある蕎麦湯を味わいます。

ご馳走様でした。

06/06/2019
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