ヒトラーの贋札(にせさつ)・日比谷シャンテ・シネ
 2008年1月28日の銀座4丁目交差点。右へ有楽町を経て日比谷映画街、左は三越。正面は日産展示場。
第二次世界大戦中、ナチス・ドイツの国家的作戦として英国のポンドとアメリカのドル紙幣の贋札製造が行われました。ベルンハルト作戦といわれ、これに従事させられたユダヤ人捕虜達の物語です。主人公は優れた絵の才能をもつロシア系ユダヤ人のサロモン・ソロビッチ(サリー)、贋札つくりが仕事のその道のプロです。仲間を助けるためにナチと共に懸命に贋札を作るサリーを冷ややかな目で見る印刷技師ブルガー、若い画学生コーリヤが絡んできます。サリーは自らの命と仲間の命を守るためにより精巧な贋札を作らざるを得ないところに追い込まれてしまいます。印刷技師のブルガーはドイツの為に働くことを罪悪視してサボタージュを行います。学んだ絵の道から贋札作りにそれたサリーは画学生のコーリャを庇護しますが結核にかかり収容所で射殺されます。命を永らえるためには、敵国ドイツを助け利敵行為に全力を尽くさざるを得ないユダヤ人捕虜たちの葛藤が続きます。サリーの働きで贋札製作にかかわった殆どのユダヤ人捕虜たちは命を保ちやがて連合国に助け出されます。

私の感想を言えば大変面白い映画でした。概してヨーロッパの映画は描写が緻密なのですが、どうしても内容を深く分からせるために時としてスピード感に物足りなさを感じる場合があります。この映画はそのスピード感があり、エンターテーメント性も高いと思いました。もちろんヨーロッパ映画の緻密性は十分ありますので、長く映画の印象を楽しむことが出来ます。”ヒトラーの贋札”公式ページhttp://www.nise-satsu.com/

2008年1月28日の銀座4丁目木村屋前。進行方向は京橋・日本橋方面。

 

ナチスの登場画面では、常にステロ・タイプのドイツ人将校ばかりで食傷しています。たまにアメリカ映画で人間的なナチス将校が出てきますが表面的な描写に留まっている気がしてなりません。この映画では、実質的にこの贋札作り作戦の指揮を執る収容所長のドイツ人将校が、大変リアルに描かれていると感じました。主役ではありませんが、収容所長の行き届いた描き方からもこの映画監督の目配りが感じられます。映画の題名は”ヒトラーの贋札”ですが映画は嘘っぽさが感じられない良質の"本物"です。大いに楽しむことが出来ましたので個人的採点としては80点程度をつけたいと思います。日比谷シャンテ・シネは平日の昼間にもかかわらずかなり混雑していた事からもこの評価は妥当なものだと感じられます。2008.1.28

   
日比谷から八丁堀を訪ねる
映画を見終わった後、映画が”贋札作り”だからといわけではありませんが散歩がてら八丁堀に回って見ることにしました。時代小説にはたびたび登場する八丁堀ですので、電車で来たこの機会に訪れてみることにしました。地下鉄日比谷線が出来る前は、東京駅から歩くには遠く不便な場所で、古い東京が残っていた街でした。日比谷線の開通後は新しい街に生まれ変わって昔日の面影は薄れてしまっています。

銀座通りは混雑するので裏道を通って銀座一丁目へ、銀座アスターや文具の伊東屋が残っていてほっとします。京橋の交差点まで出て右折。昭和通を越えると弾正橋、その先が八丁堀・新富町界隈です。メイン・ストリートの新大橋通と弾正橋の間に八丁堀与力・同心組屋敷跡の看板を見つける。以前は知り合いが居て馴染みの街でしたが車では全く気づきませんでした。

この桜橋交差点角のビルの前に八丁堀与力・同心組屋敷跡の案内板がたっていました。路地には昔からの商店や飲食店がまだ残っています。案内板によれば八丁堀から茅場町までの(ここから右側にかけて)かなり広い範囲であったことが分かって参考になりました。京橋の下の川は、見た記憶があるので、弾正橋の下(組屋敷跡裏側)にも川が流れて居たのでしょう。共に今は道路になっています。後ろの川と、組屋敷が広かったという知識は、これから本を読む時の楽しさを深めてくれるでしょう。

日比谷映画街から歩いてきて(映画を見る前もかなり歩いたのです)くたびれてしまいました。早々に帰ることにしました。新大橋通りに口を開けた日比谷線地下鉄駅に向かう。八丁堀同心の面影をしのぶ雰囲気が感じられないほど、あたりは新しい街に生まれ変わっている最中です。

1/30/2008
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