岩魚を釣るそのK・ホタルとホタルブクロ
芭蕉の奥の細道の跡を訪ねる須賀川への3度目の旅から帰り、畑に種を蒔いていたら既に4時過ぎになってしまいました。空が晴れてきたのでいつもの川に岩魚釣りに出かけて見る事にしました。

多分蛍が見頃であろうと想像していました。それなら出発が遅くても、魚が釣れなくても蛍が見られると思ったのです。峠を越えて約40分ほど、通いなれた道です。川に着いたときには既に夕暮れの気配です。

2008.07.07

左は川の流れの動画です。動画が見られない場合は、お手数ながら無料のクイックタイム・ムービーをダウンロードの上ご高覧下さい。

ムービーにある流れを二つに分けるこの大きな岩の周辺はイワナの絶好の棲家です。岩陰に潜んで流れてくる水生昆虫を待ち受けています。夕暮れと共に行動は大胆になり、水面にジャンプして昆虫を捕食するのです。

この日も、大岩の影に姿を隠して流れの左側でイワナを釣り上げました。この日の夕方は一年に何度もないという絶好のコンデイションでした。蛍が飛ぶすこしむわっとした暖かい無風の宵です。

1時間半ほどで13匹釣り上げました、糸が切れたり外れたりしたものを入れれば20匹程のイワナです。帰る頃には川は懐中電灯の助け無しでは歩けないほどでした。帰り支度をしていると真っ暗な川の斜面にそって蛍の帯が流れ出しました。人っ子一人居ない静寂と暗闇の中で私のためにだけに蛍が舞っています。息をのむほどの美しさでした。車にも数匹の蛍が取り付いてきました。手に包み込んでみると、手の中で光りだしました。蛍の光で私の手のひらが赤く見えるのです。

道から小沢に降りる場所には田圃の用水路が落ちてきています。水をかぶらないよう、滑らないように注意しながら下ります。
川は田圃の向う側を左から右に流れています。山の間を蛇行しながら下っていきます。本流にはそれに流れ込む小沢を下りていきます。この辺りは田圃だけで人家はありません。帰る頃には漆黒の闇と耳が痛くなるほどの静寂が辺りを覆います。田圃を流れる水は清流から引かれたものです、あぜ道の脇を勢い良く流れていきます。

闇が深まる夜8時頃からこの山の斜面と田圃一面に蛍が舞うのです。ただずんで眺めているのは私一人です。

上の田圃が川側でこちらが山側の田圃です。両方の田圃の上を蛍が舞うのです。勿論川の斜面にも蛍の群れが現れます。 この小沢を降りていくと本流にぶつかります(白く写っている辺り)。この合流点は何時もイワナがひそんでいる場所です。音を立てないように、見つからないように背を低くして近づきます。
本流に下りる小沢は滑りやすく小さな段差があります。夏になると草が覆って歩くのに往生します。
このように急に流れ落ちる岩の陰はイワナの絶好の棲家です。こちらも彼らを見逃すわけがありません。今日の知恵比べは人間の勝利でした。
写真の上部に見える二つの大きな石の辺りのイワナの居る場所です。七夕の夕方は織姫と彦星のプレゼントか、両方の場所でイワナを釣り上げました。
    懐中電灯をともしながら車まで戻ると、一面に蛍が舞っていました。私の技術では蛍を撮る事が出来ませんでした。蛍光色の幻想的な光に見とれてしまいました。見ているのは私一人、なんとも贅沢な事です。そう言えば今夜は七夕の晩でした。星は見えませんでしたが、蛍の乱舞を闇夜に見ることが出来ました。2008.07.07
釣りが終わる頃には川は真っ暗で何も見えません。手ごたえで魚を釣り上げる事になります。五感をとぎすまして一心に微かに光る水面を見つめます。
7/14/2008
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