富士山の展望台へ②三つ峠山(1785メートル)  
三つ峠への順路

静岡県の御殿場に所用があったのでついでに三つ峠山を散策してみる事にしました。東名高速から見る富士山は雲の中です。はたして雲が晴れるのかと案じながらの旅でした。

御殿場で所用を済ませ138号(鎌倉往還)で篭坂峠を越えて山中湖へと向かいます。猥雑な山中湖岸を抜けて富士吉田市に出ます。梅雨前線の切れ目のわずかな晴天をぬうようにして富士山が姿をあらわしてくれます。残雪をまとい群青色に眼前にそそりたっている姿は街から望む柔らかい富士山とは迫る力が違います。

河口湖から右へ甲府方面に向かう137号『御坂みち』を進みます。観光旅館が立ちならぶ湖岸を抜けて御坂トンネルへとカーブのきつい道を登ります。御坂トンネルの手前で右折して旧道へと進むと三つ峠への登山道と『天下茶屋』への分岐点、そこを直進して登山道の駐車場へと向かいます。2009.07.07

 

青色の富士が残雪のくまどりを入れて指呼の間に聳えています。木枯らしの街から見る富士は白と淡いブルー。寒そうな姿。それでもどこか他所事です。
眼前の富士は私を押しつぶすような力でのしかかってきます。三つ峠山から

今回の旅の順路は東名高速・御殿場→137号線で浅間神社→篭坂峠→山中湖→富士吉田→河口湖→御坂登山口→三つ峠山(標高1785メートル)→三つ峠登山口→天下茶屋富士吉田道の駅→中央高速・富士吉田(太字はウエッブ・サイトに掲載します)

 

走る車から・河口湖の富士山
富士吉田市内からの富士山

富士吉田市内に入ると雲が切れて富士山が時折顔をのぞかせます。間近に見る富士の山肌の色は強い群青色、残雪の白がくまどりのようにアクセントを付けています。遠く離れた街の空に浮かぶ富士は薄いブルー、優しくかすんで見えます。ここでは強く巨大な裾野を広げてそそり立っています。道々その姿を現すタイミングは極めて気まぐれです。

137号(御坂みち)に入り河口湖を左に見て進みます。富士が湖面の上に起立しているように見えます。山の花一覧・高山植物一覧

三つ峠山・御坂登山道
『天下茶屋』に向かう旧『御坂みち』は左に大きくカーブします。その分岐点で舗装路を直進すると暫くして駐車場があります。更に奥に進むと山小屋の荷揚げ用の車が止まっている大きな駐車場が見えてきます。数か所の駐車スペースがあります。
御坂口の登山道は最も簡単に三つ峠山に登る道です。約1時間30分程で頂上に出ます。
登山口に山小屋への荷揚げ用ジープが数台駐車しています。登山道はその道を緩やかに登って行きます。あたりには季節の花々が咲いています。木イチゴが熟していたので食べてみました。登山道は木々に覆われて日陰を作っています。快適な散歩道、息が切れる事もなくやがて山小屋があらわれてきます。道がいくつにも分かれていますが、上に向かって歩いて行けばぽっとした感じで眼前が開けてきます。群青色の富士山がそそり立っていて息を飲むような景色です。

頂上から登ってきた山小屋と御坂山塊方面
三つ峠山頂上・1785メートル

滑りやすい砂利道を登ると三つ峠の頂上です。登山口を12時10分に出て1時30分につきました。山野草を見ながらのんびりと登りました。頂上から登って来た御坂方面を望みます。山小屋が見えます。頂上の近くにはテレビ等が建っていたりして目をつぶりたくなる景色ではあります。正面の富士山は厚い雲の中です。

三つ峠には先着の人が3人ほど雲の晴れ間を待っているようです。時折富士山が稜線の一部をのぞかせますが、ほとんどが雲の中です。前線の影響か強風が強く吹きつけます。汗をかいた下着一枚では寒くてなりません。

木陰にに入って昼食をとりながら雲の晴れるのをしばらく待ちました。他の人は諦めて下山していきます。

富士を見るために登って来たので諦めきれません。40分程は待ったでしょうか、雲はますます厚く広く富士山を覆ってきたようです。又の機会もあろうかと残念ながら下山にかかります。

太宰治・富嶽百景

太宰治は師である井伏鱒二を訪ね、御坂峠の天下茶屋に約3ケ月滞在します。代表作の一つ『富嶽百景』はこの滞在が元になっています。一日、二人はこの三つ峠を登ります。1938年のその日は霧で富士山が全く見なかったと書いています。

登山姿に身を固めた井伏鱒二、太宰は宿のどてらから脛を出しゴム底の地下足袋という格好です。おまけに角帯を締め、麦藁帽子までかぶって登ったのです。その部分で私は太宰の珍妙な格好を目に浮かべて吹き出してしまいました。そして少しほっとしました。

文章から判断して、私が登ったと同じ道をたどり展望台の茶屋で休憩したようです。頂上から御坂山塊とその山小屋のある展望台近辺を望みます。

富士山が雲を払ってあらわれました

なにかがっかりしながら下山にかかります。10分も下って山小屋の先の木無山に向かう展望台に着くと、あれほどの雲がどこかに流れ去って群青色の富士が姿をあらわしてくれたのです。移動する雲との取り合わせ具合で富士山の印象が大きく変化し心を鷲掴みにするのです。

三つ峠屏風岩を望む。この岩壁の左上が三つ峠の頂上です。木無山のあたりで富士山はほぼ全容を現してくれました。ハイキングの用具をすべて村に置いてあるので、私と言えば下着一枚で登りました。デイパックの中には雨具替わりの傘と弁当だけです。

ベンチに座ってのんびりと残りの食料を平らげました。汗まみれの下着一枚、風の強い頂上では寒くて落ち着いて食事どころではありませんでした。ここは風もなく群青色の富士が目の前です。グレープ・フルーツ、ゆで卵、どら焼き、おにぎりとまるで遠足気分です。デイ・パックの中はきれに空になりました。

富士山とお花畑

三つ峠山から木無山方面に下りたあたりにはお花畑が広がっているのです。眼の先には富士山、足元には数々の草花、豊穣の舞台です。少し人の生活の気配が気になりますが、しばしの至福の時を楽しませてもらいました。昨夜来からの前線の通過が影響したのか、この日はほとんど人と行き合うこともありません。何とも贅沢な富士と花畑の景色を独占状態です。花畑の花の多くの名前は私には分かりません。間違っていたらお許しください。

 
落葉低木のシモツケだと思います
はたして山に咲くのかが不明ですが、多分アヤメでしょうか。  
 

ギボウシだと思いますが、かなり大きな花が咲いています。

すでにガマズミに実が付いています
 
 
キンポウゲの光沢の強い5弁の花弁
オトギリソウのように思えます
 
 
木イチゴが丁度熟れています。口に含んで見ました。
野バラが崖に咲いています。
 
 
この色合いのオダマキがいたる所に咲いています。
クサタチバナの可憐な花弁
 
 
タニウツギが山頂近くまで沢山咲いています
多分ショウマだと思うのですが確かではありません。  
 
トラノオが長い花房を風に揺らしています
登山口近くの山道には満開のヒメウツギ
 
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06/13/2020
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