埼玉県小鹿野町の札所・秩父31番札所・鷲窟山(しゅうくつさん) 観音院と
秩父32番札所・般若山 法性寺
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秩父地方は見上げると常に甲州との境に奥秩父の山の連なりが目に入る山国です。多くの札所は、山の岩窟や斜面を利用して寺院の配置がうまく工夫されています。
20年以上昔に主に秩父市内の札所を20か所程回っただけの記憶です。それらの寺院をくらべても、今回小鹿野町の二つの札所は、山国の地形を最大限活かして作られた極めて巧みな霊的空間だと思います。
この日は春を思わせる陽気、福寿草と節分
草の美しさに感動し、二つの秩父札所で心を洗われたのでした。まことに贅沢な旅だったと言えます。秩父札所マップをご参照ください。2010.02.23
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秩父31番札所・鷲窟山(しゅうくつさん) 観音院 |
秩父31番の札所・鷲窟山(しゅうくつさん)観音院は花園インターから小鹿野町に向かう途中にあります。同じく途中には最後の34番札所・日沢山(にったくさん)水潜寺という良い札所があるのですが、昔2度ほど訪れた事があるので先を急ぎました。
最初一人の女性が線香を持って熱心に祈っている手前の地蔵寺を観音院と勘違いしてしまいました。寺を掃除している方に聞いたら更にトンネルをくぐった先が31番札所だと教えられました。道路の行き止まりに広い駐車場、石の仁王像が目立つ山門が見えました。
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一枚の岩から彫り出された仁王像が足を踏ん張っています。納経所と本堂はこの門から急な石段の連なりの上にあります。
石段を曲る度に句碑の列が続きます。本殿の更に奥にある、東奥の院の芭蕉の句碑に因んで俳句の寺にすると言う説明の石碑が見られました。
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石段が終わり奥に本殿が見えてきました。遠望するに寺院は周りを石で囲まれているようです。
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以前はこの岩をくぐって西奥の院に行けたそうですが今は岩の崩落があるために立ち入り禁止になっています。 |
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本堂の前に大きな鐘があります。弱く鳴らそうとしましたが撞木が重く強い力でないと動きません。案の定、荘厳な音が岩に響き渡りました。思わず身を縮めてしまいました。 |
この岩の割れ目のあたりが西奥の院への道でしたが残念ながら現在は立ち入りが出来ません。
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本堂は大きな岩穴の中に納まっています。そしてこの左には水が滴る大きな滝まであるのです。自然の美しさと一体化した見事な霊的な寺院です。人を圧倒するような大伽藍には何処か馴染めませんが、自然を巧みに取り込んだこの寺院には心の安らぎを感じます。ここでは仏様が手の届くところにいらっしゃいます、深く頭を垂れて祈りました。 |
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東奥の院へ |
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どこをどう通ったのか、カーナビに導かれて既に冬の日が傾きかけた頃法性寺の山門とおぼしき姿が見えました。それは小さな秩父の集落の中ほどにありました。
手前の駐車場に車を入れて歩いて近ずく程に風格のある落ち着いた造りに驚いてしまいました。秩父の札所は人々のささやかな願いと祈りを受け止めるに相応しい質素と言っても良い佇まいの寺院が少なくない中で、この山門は一際立派です。
立派であっても人を圧する力を誇示する気配はありません。山の懐にすっぽりと収まった秩父の寺です。 2010.02.23
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行基菩薩作の伝承が残るご本尊があると説明にありましたがどれか分かりませんでしたが、般若の面が掛る本堂で手を合わせます。本堂横の石仏にも目を惹かれます。
2010.02.23 |
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きれいに清掃された参道は本堂への石段に続いています。本堂から二階建の重厚な山門を望みます。 |
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観音堂 |
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本堂から更に上を見上げると優雅な観音堂、木の間越にも優雅な建物。導かれるように上えと登ってみました。舞台のような佇まい、既に夕暮れが迫りあたりに人影はありません。スリッパに履き替えて下を望むと山門までの景色がなんとも素晴らしいのです。
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本堂から一段上がった岩の壁に沿って観音堂は建てられています。一部は洞窟と一体となっているようです。
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奉納された色鮮やかな額が静寂の満ちた薄暗い観音堂の一画を浮き出させています。 |
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龍虎岩・胎内観音 |
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観音堂から道は更に上へと続きます。大きな二つの岩に挟まれた間を抜けて行くと右に龍虎岩の標識。3メートルほど上にぽっかりと開いた岩穴がそれのようです。鎖が垂れ下がっています。登ってみました。 |
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内部は大きな洞窟です。自然の岩肌が龍と虎に見えない事もありません。観音様のお堂はなかば壊れかけていました。手を合わせてから下ります。
看板にもわざわざ書いてあるように道は更に上へと登っています。奥の院へは落ち葉で覆われた道を更に登るようです。
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法性寺・奥の院・ |
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岩屋を左に回りこむと俄然景色が開けます。左・大日如来へと道をとると岩の道に出ます。まさに絶景です。下に山門と思われる辺りの屋根が望まれます。しばし冬の夕方の弱い日差しの中の景色を堪能します。 |
尾根を伝わっていくと大きな岩が現れます。標識と道が分かりづらく私はふみ跡をたどって岩の右へと回りこんでみました。岩に手を掛けて登ろうとすると上から同行者の声、左側に鎖の付いた道があるとの事でした。
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確かに岩の左手に回ると鎖が付いた道がありました。同行者の後から登るとそこに大きな青銅製と思われる大日如来が鎮座しています。なんとも素晴らしい奥の院です。手を合わせようと二人がしゃがめば岩棚はそれだけで一杯です。
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大日如来はこの岩屋から地上の我々を慈愛の心で包んでくれているようです。訪れた人々の何かお礼をしなくてはと言う素朴な気持なのか、小銭や数珠玉が供えられています。中には足を引きずるようにして登って来た人もいたでしょう。
このスパッと切れた岩棚の仏さまの姿に接したら誰でも思わず手を合わせて祈らざるを得ないでしょう。祈りの後私は心の膿を取り去っていただいたような清々しい気がしたのです。何とも得難い祈りの場所に立てた事を感謝しました。 |
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大日如来が鎮座まします岩棚から小鹿野町方面を望む。冬の夕方の柔らかい日差しが長い影を引いています。山門が閉まるのではないかと大急ぎで下ります。 |
数十年前に秩父札所を巡った事があります。20か所近くの寺院を回ったでしょうか。今思い出してもそれぞれに思い出がありますが、それらに比較しても今回の法性寺の参拝は最も印象深いものの一つになると思います。私の心を一時ですが極めて素直にしてくれたお参りでした。2010.02.23
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03/30/2019
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