山形県銀山温泉A    @銀山温泉

一夜あけると更に大雪、みるみる景色を白一色に変えていきます。温泉街のドンずまりの急斜面に雪が恐ろしいほど張り付いています。街に帰った2月6日のテレビで、銀山温泉が出てきて雪崩の危険があるのでとこの斜面の雪を取り除いている画面が出てきてさもありなんと思いました。2012.1.31

コタツ船での最上川の船下りをと街を出る時には思っていたのですが、北に進むほどにその希望がしぼんできます。今朝の雪で決断をしました。山形で私の訪れたいと思い続けていたのが鶴岡と大石田、鶴岡には何度か訪れたので今日は念願の大石田に行く事に決めました。尾花沢から大石田は”おくの細道”の舞台です、芭蕉の痕跡を辿る旅は私の最も好むところです。大石田は蕎麦街道があり幾つかの蕎麦屋さんがあります。その一つ”きよ蕎麦”を訪ねる事も楽しみの一つです。

銀山温泉”やなだやを”から大石田田へ

朝食は昨晩の夕食に比べればあっさりしたものですが十分なご馳走です。最上川の船下りを断念したので朝はゆっくりと出立するつもりです。朝食後温泉街を散策、雪はかなり本格的に降り出しました。2012.1.31

旅館の屋根から雪がずり落ちそうに張り出しています。
通りだけは各旅館で雪かきをしたので歩くのに支障はありません。街で買い込んだ長靴が威力を発揮します。温泉に入ったので体はぽかぽか、浴衣に長靴で散策です。
街に帰ってテレビを見ていたら銀山温泉の大雪がでていました。この正面の急な斜面の雪は雪崩の危険性があるとか、人力で落としていましたが果たして効果があったのでしょうか。名残惜しいのですがこの景色をしっかりと記憶に留めました。
出発前に車庫まで行って車の中に残した大きなポットを取ってくる事にします。道中が長いので何が起きても良いようにお湯を入れていこうと思っています。銀山橋を渡って温泉街を出て坂を登ります。温泉街が切れた辺りまで来ましたが雪の壁に阻まれてどこが駐車場か分かりません。ダンプで雪を積んでいた人に聞いて温泉街の方向に引き返します。やっと探し当てた駐車場では既に車が暖気運転をしていました。そうでない車は雪に埋まっています。

10時40分銀山温泉を出発します。運の良い事に先頭がゆっくりと走っている5台程の車列の後尾に追い付きました。離されないように注意しながら山を下って尾花沢へと走りだしました。

雪が間断なく降り続きます。雪道にもだいぶ慣れたので辺りの景色を眺めながら下ります。車列の最後尾なのですれ違う時にも対向車が待ってくれています。車幅も分かるので雪壁に突っ込む恐れも無いのです。尾花沢の市街地へと向かって下って行きます。
芭蕉ゆかりの大石田町へ

尾花沢で芭蕉ゆかりの養泉寺を訪ねます。雪で前が見えない上に山門から先は雪で溢れかえっています。尾花沢での芭蕉の足跡を訪ねる事は難しいので大石田へと向かいます。

カーナビを頼りに大石田に向かう途中、側溝が雪で詰まって道路に水が溢れだしています。車がストップしている最後尾に付いたのですが、結局進めなくなって元の道へと戻ります。大雪と出水にめげてしまって、ホーム・センターの広い駐車場に車を入れて県境の村へ帰るべくセットし直し東根ICへ向かいます。10分程進むと右に大石田の標識、道路も広目で水が溢れている様子もありません。山形県で最も訪ねたかった町が鶴岡(何度か訪ねる事ができました)と大石田なのです。標識と道路の状況を見て俄然行く気が湧いてきました。コンビニの駐車場に車を入れてカーナビをセットし直します。そこからわずかで線路を渡るとあっけなく大石田の駅前に出ました。憧れた町は雪の中に沈黙しています。2012.1.31

最上川を目指して進みますが道路を塞ぐ雪の壁で見通しが利きません。大石田歴史民俗資料館を訪れて見学してから車を置かせてもらって芭蕉に縁の西光寺と乗舩寺を訪ねます。町に雪が降り注ぎます。私は芭蕉に思いをはせながら雪の中を歩きます。尾花沢と同じく芭蕉の足跡は雪の塊の中に沈んでいました。
雪の吹き付ける、かっての大石田河岸として栄えた町の通りを歩いて雪にうずまってしまった二つの寺を訪ねて民族資料館に戻ります。資料館の方に”きよ蕎麦”のおおよその場所を聞いて出かけます。最上川の岸沿いだから雪が深いと言われました。写真の後ろが最上川に掛る大橋、左にかっての大石田河岸、直進するとJRの大石田駅です。
最上川に掛る大橋を歩いてみました。降りつける雪に目を開けているのもちょっと難儀です。足下の最上川は緩やかに流れ下ります。後方は長大な壁画です。往時、最上川の船運で栄えた大石田の町屋を描いたそうです。

 

最上川に掛る大橋です。雪が間断なく降り積もります。最上川を渡って左折、川沿いに集落を抜けて進みます。集落の中に”きよ蕎麦”の看板を見つけてほっとします。

きよ蕎麦

さすがこの大雪では人が居ないようです。私達が入って行くと地元の方が一人出てきました。どうですかと問うと、今日は貸し切りだとの話、確かに私達だけでした。インターネットで調べた限りでは、十割蕎麦ながら喉越しが良いと書かれていたので楽しみです。2012.1.31

 

部屋は普通の家のようです。ダルマに床の間の掛け軸、まさかここで生活をするわけではないでしょうが、地元の方の家に来たような気分です。2台の石油ストーブが心地よい暖かさですっかり落ち着いてしまいました。

昨日のボキボキの板蕎麦に懲りた家人は暖かい鳥蕎麦を、私は板蕎麦を頼みました。蕎麦に脂ぎった鳥肉はちょと合わないのではと私は躊躇しましたが、お品書きによればどちらか二者択一です。このあたりではポピュラーな鳥蕎麦が成程と思える味でした。ボキボキ感が薄められて丁度私達に合った硬さになっています。家人も完食でした。

 

こちらは板蕎麦です。付いてきた漬物も手頃な味付けでした。蕎麦も確かに十割の田舎蕎麦と言われるものにしては喉越しも良かったと思います。つるっとすする事が出来ました。ご飯のように噛む必要はありませんでした。

私達が終わる頃、地元と旅行者の二組の夫婦が店に入ってきました。満腹で気分が高揚した私達は天童に寄って帰る事にしてカーナビをセットします。

 
 

カーナビは一旦最上川の大橋へ戻り南へ進むと指示します。大橋に続く道に出ると道路の雪が深くなり、空から大粒の雪が落ちてきます。車の通りも少なく地元の車の後に付いて走る事が出来ません。信号も見えにくくなりました。10分も走ったでしょうか、左へ曲がれと指示が出来ます。この道が大変な雪です。車が通らないのか除雪も完全ではないようです。真っ白な雪原の中、家人が左側の雪の壁を見ながら突っ込まないように指示します。大丈夫なのかと思いながらしばらく走ると国道13号線に飛び出します。

大石田町もご多分にもれず観光に力を入れているようです。好ましい事にその力の入れ方に厭らしさを感じません。観光バスを呼び込もうとするのではなく、町に興味を持って訪ねる個人を大切にしようとしているように感じられました。大石田町にお願いするとパンフレットを送っていただけます。おくの細道マップとそば街道のマップは大変有効でした。これを見てこの町の観光に対する取り組み方が理解できました。よれでますます尋ねてみたくなったのです。

これは早く県境の村へ帰ろうと天童を諦めて東根ICを目指します。東根ICの手前でガソリンを入れます。村山市あたりから道路の周りの景色が全く違います。雪の壁は低くいかにものどかな光景に見えます。ちょっと南に下っただけでこんなに違うものかと驚いてしまいました。山形道に乗って一安心です。蔵王を超える辺りは雪があるので緊張させられました。村田JCで東北道へと合流、東北道に雪は見られません。雪道に比べれば何とも楽なドライブです、気が付けば東根ICからノンストップで走り通し県境の村にはまだ明るい内に到着する事が出来ました。

村に帰り着いたまず井戸の電源を入れると風呂場の水が出るではありませんか。それなら村で一泊してから街へ戻ろうすっかり緊張が解けてしまいました。その夜は蕎麦を打って、山形での蕎麦と食べ比べてみた次第です。訪ねたかった銀山温泉と大石田を大雪の中、訪れる事が出来た充実感を味わった旅でした。大石田に掛る大橋から、降る雪などわれ関せずと悠々と流れる大河・最上川の風景が旅の大きな思いでです。尾花沢と大石田町の芭蕉の足跡を訪ねては近日中に掲載申し上げます。2012.1.31

 
03/15/2019
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