天上の湿原・田代山から帝釈山へ②田代山頂上の湿原    ② 

小田代の湿原から望む田代山、北側斜面には大きな雪田が見えます。湿原の一部は雪の下のようです。このあたりの豪雪の名残です。ここまで会った人は4人のグループと、既に下ってきた一人の人だけです。あたりに人の気配がありません、深い静寂。足元には可憐な湿原の花々、登山道にヤマザクラが現れました。なにか辺りが明るく感じた頃、ぽっと言う感じで田代山の湿原が眼前に広がっていました。

登山道の途中から田代山の頂上が見えました。斜面には残雪が望まれます。どんな山野草に巡りあえるのか・・・期待が私の足を急がせます。

 

うれしいことに登山道の両側から山桜のお出迎えです
しばし可憐なヤマザクラの下で小休止。季節外れの嬉しい恵みです。それも登山道の両側に道を覆うように咲いています。満開のヤマザクラ。それを過ぎると田代山の湿原が現れます。

 

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この日は湿原で出会った人は4人の調査をしながら登ってきたグループと一組のご夫婦だけです。広い湿原ではそれもどこに行ったか見当たりません。このような自然に人込みは似合わないようです。

木道は湿原を一周しています。足元に沢山の山野草が密やかに一時の春を告げています。消えそうなはかない姿で丈余の雪の冬を耐えたのです。時折吹く山の風に震えているようです。可憐で上品で凛とした美しさが私を迎えてくれます。木道の周辺はこれらの山野草が一杯です。静寂に支配された湿原で今を盛りと精一杯咲いている草花を心ゆくくまで愛でていました。

   
   
チングルマ

チングルマはこの日の湿原で最も元気に咲き誇っていた山野草です。草丈は10センチ程度、イチリンソウに似た可憐な花です。未だつぼみのチングルマも多いので満開はこれからかもしれません。

ワタスゲ

草丈が10センチにも満たないタテヤマリンドウは高貴な色合いと姿の山野草です。 初めて見ましたが程よい色合いに自然の巧みさを感じました。

タテヤマリンドウ

ワタスゲの綿のような様子がなにかユーモラスです。湿原のあちらこちらから頭を持ち上げています。

太子堂避難小屋の近くの湿原に隅に大きな水溜りがあります。そこは一面がミズバショウの群生になっています。村の池に植わっているものと花の形が少しだけ違っているようです。小型で透明感の高い白は単調なだけ気高さを感じます。
イワカガミ
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広い湿原の中で一際めだっているのがイワカガミです。草丈10センチにも満たない可憐な花です。その鮮やかな色がまだ冬から目覚めたばかりで枯れ草の目立つ湿原では如何にも際立って見えます。チングルマと共に間違いなくこの季節の湿原の主役でしょう。

枯れ草のあちらこちらで濃い桃色の花と厚く光沢のある葉を光らせています。

 
 
 
午後4時の田代山湿原(帰路の田代山湿原)

帝釈山から降りてきた時には田代山の静寂が一層深くなっています。太陽のつくる影は長く伸びています。広い湿原の木道に寝転びながら空を見上げています。

これから写真の上の方向に進みます。その先で道は林に吸い込まれていきます。1時間ほどで登山口に戻れます。現実の世界へ帰る入口です。

田代山湿原の端で少し長い休息を取りました。やっと虫から解放されてのんびりとグレープ・フルーツを味わっています。甘い菓子を食べて大好物のゆで卵に取り掛かります。

ポットの残りのお茶を飲みながら首をぐるりと回してみます。人の気配もありません。自然が生み出す深い静寂が湿原を支配しているのです。

夢のような至福の時です。日暮れに追われるように名残を惜しみながら湿原の木道を下ります。

2009.06.08

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