朝日岳周回①日暮沢小屋から竜門山 地図  朝日岳周回その②へ③へ
ユーフン山から竜門山・頂上から稜線を左に大朝日岳に向かいます
概念図と時間

前から登ってみたかった朝日岳に中学時代の友人と出かけました。7月24日の夜、街を出て一路東北道を走り県境の村で仮眠、午前2時に村を出発。25日朝5時半頃、山形自動車道・月山ICを経て登山口の日暮沢小屋に到着しました。

思い描いていた通りの静寂と、汚れ無きおおらかな自然、そして多くの雪渓を背景に咲く圧倒的な花々の群落が我々を驚かしてくれました。思い出すたびに良い山に登った喜びが湧き上がってきます。

標高約600メートルの日暮沢から、大朝日岳1,870メートルまで高度差約1,200メートルを登ります。山の高度から受ける印象より結構登りでがあると感じました。2週間前に北岳を登ったばかりの友人も,それ以上の登りだと言う程(北岳には年に数回登っているので慣れている事を差し引いても)の苦労をしたかいがありました。北の山の素晴らしさを満喫しました。私達は日暮沢小屋を出て反時計回りに山なみを辿り、朝日小屋に一泊、小朝日岳を経て日暮沢へと戻りました。2011.7.25~26

①7月25日
②7月26日
日暮沢小屋発
6:15
大朝日小屋発 6:30
朝食休憩

7:35

大朝日岳往復  
朝食休憩終
8:30
小屋帰着後朝食 7:56
清太山
10:00
大朝日小屋発 8:30
ユーフン山着昼食
11:50
三沢清水 9:00
ユーフン山着発
12:45
ハナヌキ峰 9:45
竜門山着
2:10
沢に降り立つ 11:50
竜門山発
2:20
竜門滝 12:00
西朝日岳着
4:05
日暮沢小屋着 1:25
西朝日岳発
4:20

 

金玉水水場分岐
5:54
大朝日小屋着・泊る 6:45
記録は若干正確性に欠けていることをご考慮ください。体力不足と花の撮影に時間が掛っているので普通の人より多くの時間を要しています。
日暮沢小屋から竜門山
山形自動車道月山ICから大井沢の集落までは舗装の道が続きます。集落の先から砂利道となりますが、車高の低い普通の乗用車でも問題なく走ることが出来ました。最後に沢底をコンクリートで固めた道を渡るとなんとも立派な日暮沢(ひぐれさわ)避難小屋に到着します。朝日連峰の小屋は全て自分で寝袋と炊事用具・食料・水を持っていかなくてはならないようです。夏の間は管理人の方が居るようです。協力費として一人¥1,500が必要です。

日暮沢小屋横の駐車場にはすでに5~6台の車が止まっていました。既に出払っているようです。私達が出発の用意をしている時にも山形ナンバーの車が一台到着。曇り空の中、竜門山を目指して6:15出発します。

道はすぐ沢から尾根へ取り付く登りになります。このあたりがこの行程の中でもかなりの急登のように思いました。途中、後から到着した地元の方に抜かれます。この尾根を使って竜門山を往復するとの事です。あたりはブナの林が続きます。

今回登りでアゴを出してはいけないと地下足袋を履いてみました。念の為に登山靴をザックに入れて携行しました。格好はいまひとつですが、これが極めて快適でした。静寂の山で行き交う人もまれですので、殆どの行程を地下足袋で歩くことになりました。
ブナの巨木の間を縫うようにして登ります。寝不足と噴き出す汗、辺りを覆う樹木の精、登り出しに何時も感じる不安が増幅されます。とにかく一歩づつ足を進めていきます。
登山道の切れ間から対岸の尾根が見えました。ガスが巻いていて今日は景色が見えないのではと不安になります。それでも雨は降らないような気配です。
突然眼前が開けて快適な尾根道に出たようです。冷風が体を通り過ぎます。汗がひき体に新しいエネルギーが溜まって来るような気分です。取り付きからの登りの途中でも幾度か可憐な花に時間を取られましたが、尾根道では更に花が多くなりました。多分大朝日岳への山なみは雲の中に隠れているようです。
これから先は見晴らしの良い快適な尾根道が大朝日岳まで続きます。晴れていれば朝日連峰の山並みが眼前に広がっているのでしょうが残念なことです。それと引き換えのように足元には花々が乱れ咲いています。それが私達の足を止めて遅々とした歩みになってしまいます。明い内に今夜の宿泊地、大朝日小屋につけば良いのですから、滅多に見ることの出来ない静寂の花畑をゆっくりと堪能していくことにしました。

尾根道の向こうに目指す大朝日岳から以東岳までの長大な稜線が望まれます。右には岩肌を連ねる障子ケ岳と思われる山なみ、人間の営みの痕跡が見えない見渡す限り自然の山肌です。久しぶりに清々しい感動に浸っています。これからユーフン山を越えます。仰々しい山の標識がありません。心こもる不親切です。目的地は迷いようも無く見えているのです。

 
ユーフン山と思われる尾根上の山を越えます。標識がないので確かに山名を確認できませんが、人工物を極力排している配慮だとしたら素晴らしい事です。  
登山道は花々が群れています。自然に咲く健気な姿に感動して足が前に進みません。この黄花はカンチコウゾリナだと思います。  
ユーフン山の鞍部まで下ります。朝日連峰の峰々には沢山の雪渓が残っています。この山の自然の豊かさが私達を柔らかく包みこんでくれます。緑で溢れかえる雄大な景色に白い雪渓を配して静かにたたずむ山々、友人と良いなと何度口に出したことか。ここまで会ったのは、一人の地元の人だけです。  
ユーフン山で昼食を取りました。辺りは花畑、目を上げればガスに隠れる大朝日岳とそれに連なる長大な山なみ。時折吹く風が汗を抑えてくれます。口にするのは水とおにぎりだけですが、貸切の天上のレストランです。写真の山・竜門山は指呼の間になりました。ただ、そこからの長い大朝日岳への稜線歩きが残っています。  
 
ユーフン山から一旦鞍部に下り竜門山を目指します。時折竜門山稜線の右側・以東岳までの広大な稜線のガスが晴れて雄大な景色をみせてくれます。これから私達が辿る竜門山の左・大朝日岳への稜線はガスが晴れません。  
雪渓を貼り付けた竜門山を指呼の間に望みます。長大な朝日連峰の主稜線の一角にたどり着くことになります。  
竜門山直下の雪渓、左半分は既に溶けていました。雪の消えた緑の斜面に清楚な赤紫の花の群れを見つけました。シラネアオイの花が所々に群れて咲いていました。足下にはイワカガミ、ガスの巻く竜門山までは後僅かです。  

雪渓の溶けた斜面にこのようなシラネアオイの花株が適度な間隔をあけて咲いています。

 
日暮沢小屋から竜門山の間に見た花々

朝日岳は花が溢れていました。無垢な山の美しさを期待して訪れたのですが、それに加えて花の山でした。覚えきれないほど沢山の可憐な花が、それも群生を作って山肌を染めていました。登りのきつさと余りにも沢山の花々に最後は贅沢な悩みですがいささか食傷気味になるほどです。花の名前は間違っている場合があるかもしれません、お許し下さい。

ヤマシャクナゲ

ブナ林の登山道に咲いていた高さ10cmほどの小さな花です。どうも小さな木のようにも見えます。図鑑を調べても分かりませんでした。

モミジカラマツソウ

ギンリョウソウ

先端に花を付ける高さ10㎝ほどの小さな植物ですが、名前が分かりません。

シロバナクモマニガナ

図鑑を調べてみるとツマトリソウがもっとも似ています。

ツルリンドウ

まだ花が咲きだしたばかりで、赤い実がなるのは来月になるでしょう。

ハイオトギリソウ

大きな群落が山の斜面に幾つもみられます。緑の高原のあちらこちらに鮮やかな黄色の島があるようです。

イソツツジ

イワハゼ

カンチコウゾリナ(タカネコウゾリナ)

ミヤマホツツジ

エゾシオガマ シロバナ・ハクサンシャジン

コガネギク(ミヤマアキノキリンソウ)

ハクサンシャクナゲ

サンカヨウ

竜門山頂上直下の雪渓の際に高貴な花の姿を見つけました。緑の草の中に密かに白いサンカヨウと薄い赤紫のシラネアオイが数本づつ群れて咲いていました。この一画だけが貴人の宮殿のように感じました。

シラネアオイ

ミヤマクルマバナ

イワイチョウ

ヤマハハコグサ:竜門山へ向う登山道の際に沢山の群落を作って咲いていました。大朝日岳への稜線上でも多くの群落が見られました。

イワカガミ:竜門山の稜線直下の雪渓の際に沢山咲いていました。

竜門山

竜門山の稜線に登りつきました。ガスがあたりを覆って景色は台無しです。道々、沢山の花に感嘆の声をあげました。まさにげっぷが出るほどの満腹状態です。でもこの山の旅はまだ多くが残っています。ここまでたった一人の登山者の人とすれ違っただけです。この花園の山は我々だけの為にあるように思えてきました。汚れ少ない稜線をこれからたどって今夜の宿、朝日岳避難小屋へと向かいます。

朝日岳周回 1・

06/10/2020
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