朝日岳周回③大朝日岳から小朝日・下山 地図  朝日岳周回①へ ・②へ

大朝日岳は左端の丸い頂の山です。雪渓を懐に抱いてのんびりと青空の中に起立しています。私達は右端の中岳から続く縦走路を辿ってきました。下山する登山道の左には、昨日、日暮沢から登ってきたユーフン山への稜線が見えます。

概念図と時間

標高約600メートルの日暮沢から、大朝日岳1,870メートルまで高度差約1,200を登ります。山の高度から受ける印象より登りでがあると感じました。

北の山の素晴らしさを満喫しました。私達は日暮沢小屋を出て反時計回りに山なみを辿り、朝日小屋に一泊、小朝日岳を経て日暮沢へと戻りました。2011.7.25~26

朝日岳周回の③では大朝日岳⇒小朝日岳⇒古寺山(こでら)⇒ハナヌキ分岐⇒竜門滝⇒日暮沢小屋の間の下山を掲載します。

朝日岳避難小屋から下山

4時40分頃から朝日岳避難小屋前の広場から日の出を見ています。雲が太陽の登場を遮っているのでじりじりしながら待っています。輝く赤い先端が表れたと思ったら想像以上の速さで登り出しました。今日は暑くなりそうです。

ツアーで来た20人ほどの団体の人々が既に身支度をして出発の準備をしています。昨日の静寂から一転、夏の山らしい喧騒に出合いました。私達はのんびりと景色を楽しみました。これほどの快晴の朝はそうあるものではありません。空気が温まれば雲がわいてきて景色は見えなくなるのです。

朝の散歩を楽しんでいる頃、団体の登山者達は忙しげに西朝日に向かって出発していきました。後で分かったことですが、日暮沢小屋に観光バスがやってきてこの団体客と思われるグループを大慌てで飛行場まで乗せて行ったそうです。私たちと逆周りで周回コースを歩いたことになります。それにしても何とも忙しいことです。後ろがこれから登る大朝日岳の頂上です。残念ながらあまりぱっとしない姿に見えます。

団体客が出発し後、6時30分頃空身で大朝日岳へ向かいます。大朝日岳への登山道から昨日歩いてきた竜門山方面を望む。雪渓がへばりつく手前の中岳、雪渓の下あたりが金玉水。団体の登山客が金玉水に水を汲み降りて行くのが見えます。中岳の後方が西朝日岳。竜門山は見えないようです。、

大朝日岳の頂上です。360度の眺望です。朝靄に沢山の山が浮かんでいます。朝日連峰の山々は見渡せても離れた山は識別が難しく、佐渡島は見えず鳥海山も霞んでいます。
頂上から降りて、朝日岳避難小屋の前で朝食を食べます。朝日を浴びる朝日連峰を見ながら、一昨日買った干瓢巻きとお握りの残り、鮭缶がおかずの粗食です。ロケーションには非の打ちどころがありません。のんびりと豊穣の時の過ぎる贅沢を堪能しています。

写真右端の尖った小朝日岳へと下りますが、これが結構もったいないほどの下りになります。

快晴、ひんやりした早朝の空気に体が冷えます。快適な下り、振り返れば大朝日がその大きな山容をますますふくらませています。

下るほどに中岳が高度を上げていきます。昨日辿った日暮沢から竜門山へと続く尾根が全容を現します。昨日の登りの事を思い出してしまします。

小朝日岳手前の幾つかの小さな突起を超えます。突起を越えながらも小朝日岳へはかなり下ります。大朝日岳もそろそろ見納めになるかもしれません。既に暖められた空気が雲となって頂上を覆いだしました。

今朝は快晴、大朝日岳から右へ以東岳へと続く朝日連峰の稜線がはっきりと見ることが出来ます。左端の緩やかな山が大朝日岳です。

下るほどに小朝日岳がせりあがってきます。小朝日岳はなかなか立派な山容です。小朝日岳は頂上への道と巻き道が分岐しますが私達は巻き道を選びます。

小朝日岳を登りながら巻き道を進むと小朝日の標識の立つ小さな広場に出ます。この辺りから見る大朝日岳は大きな雪渓をあちらこちらに抱え大きな山容がさらに引き立ちます。素晴らしい山に登れた充足感が心を満たしてくれます。

ここからはかなり急な下りが続きそうなのでお世話になった地下足袋を脱いで登山靴に履き替えました。大朝日岳から先は登山者の姿が急激に増えてきて少し恥ずかしくもありました。でも快適な履き心地は病みつきになりそうです。

古寺山に着きました。丁度小寺鉱泉から登り出した登山者が塊となって通ります。何か今までの静寂な朝日連峰と全く雰囲気が違ってしまいます。辺りにガスが掛ってきました。景色が見えなくなりました。

小寺山から少し下ると登山道の脇に三沢清水の水場があります。そこに関西から来た女性が一人座って、ここから諦めて下ると話しかけてきました。連れのご主人らしき人に小寺山の辺りで、小寺山はどこかと聞かれたのです。二人で下ってから登るとすると月山と鳥海山はどちらが良いかと聞かれたので、迷わず雪渓と花のある鳥海山を勧めました。

三沢清水から岩のごろごろした道を下るとハナヌキ分岐の平らな場所に出ます。辺りはブナの林です。私達はまっすぐハナヌキ峰へと登り出します。右は古寺鉱泉への道です。

ハナヌキ峰もどこか判然としませんが小さな上り下りをくり返しながらブナの大木があたりを圧する不確かな登山道を進みます。時々大きなブナの木が倒れこんで道をふさいでいます。

途中から転げ落ちそうな急激な下りにかわります。突然エンジンの音が響き渡ります。最初はやっと沢に降りたかと思ったのですが、近づく程に登山道の整備をしている方に出会いました。沢に降り着いてからあんな急な坂を登って草刈りをしている人に頭が下がりました。

まだかまだかと沢の音が聞こえるのを心待ちにしながら急激に高度を下げていきます。随分長く感じましたが爪先が痛くなる頃突然沢に飛び出しました。昨日車を止めた日暮沢小屋に向かって沢沿いに下っていくと竜門滝の標識。登山道から続く踏み跡をたどります。木の間から堂々とした滝が見えました。

竜門滝から沢沿いに登山道は続きます。風もなく汗が滴ります。途中小さな沢を渡ります。これ幸いと上半身裸になって水を浴びます。痺れるように冷たい沢の水が火照る体を心地よく冷やしてくれます。生き返りました。

しばらくだらだらと沢沿いの道が続き、ようやく車道に出ました。そこに登山道の草刈りに来た人の乗る軽自動車が止まっていました。

ウツボグサ:下山する登山道でも花は見ましたが、竜門山から西朝日に咲く花々程には魅力的に感じませんでした。

ウツゴグサが魅惑的な色で咲いているのが目にとまりました。

名前が間違っている場合があるかもしれません、お許し下さい。

車道に出てからも単調な道をかなりの時間歩かされます。それもやっと終り日暮沢山荘の前に出ました。電車で来たという一人の登山者の人がいて、前日5~6台止まっていた車は全てなくなり、入れ替わりに2台の地元ナンバーの車が止まっていました。

その登山者の人は私達が降りてきた道を登ると言うのできつい下りだったと言ったら、登りの方が楽だというのです。信じられない話です。何度も朝日連峰に登っているようで興味深い話を聞く事が出来ました。午後2時頃、日暮沢小屋前の水場で体を拭いて車に乗り込み月山ICにむかいます。途中で急激に眠くなり喉も渇きます。熱いお茶が飲みたくなったので友人に頼んでわかしてもらいました。その間10分程車の中で仮眠します。お茶を飲んで元気が出ました。月山ICから寒河江サービス・エリア向かいます。山形道唯一の食堂で、遅い昼食にもり蕎麦を食べました。久しぶりに食事らしい食事をして大満足、一気に県境の村へ向かいます。

途中、蔵王ICで降りて⇐蔵王の大露天風呂に入浴しました。東北道を走り村に帰りついたのは夜の7時を回っていました。

全く様子が分からず、本やインターネットの情報を頼りに出かけた朝日連峰でしたが、高山植物・雪渓・静寂を抱え込んだ汚れ無き自然溢れる山なみを歩けた充実感溢れる旅でした。朝日岳周回3部終。

朝日岳周回 ・3
06/10/2020
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