第2次世界大戦後の1940年代終わりから1950年代、ソ連との冷戦が始まる時代に、アメリカで吹き荒れたマッカーシズム(いわゆる赤狩り)により刑務所に収監されることとなるハリウッドの脚本家・ダルトン・トランボ(Dalton Trumbo・1905〜1976)の苦難の物語です。
出所後も弾圧の続く苦闘の時代に偽名での創作を続けたトランボの作品中、”ローマの休日”が彼にとっての最初のアカデミー脚本賞を取る事になります。
家族の支えや友情などアメリカ映画らしい定番の場面もありますが、不屈の行動力が丁寧に描かれていてかなり見ごたえがある映画だと思いました。個人的には”黄金のアデーレ”、”スポット・ライト”、”ルーム”等と同等の良質な映画に思えます、十分物語を堪能する事が出来ました。トランボを演じるブライアン・クランストンも良かったし、黄金のアデーレで魅力的な主人公を演じたヘレン・ミレンが弾圧する側の敵役として姿を見せてくれるのも楽しみです。
作品の中で、実在した懐かしいハリウッド俳優の姿を見られるのも嬉しい事です。アカデミー賞会場でデボラ・カーは優雅な姿で、ローレン・バコールとハンフリー・ボガード夫妻はやや緊張して実写の白黒画面に登場します。物語の中で、ジョン・ウエインは弾圧する側で、カーク・ダグラスがトランボの味方として登場するのも興味深い話でした。彼の主演する映画・”スパルタカス”のシーンで大好きなジーン・ジモンズの姿を見られたことも幸運でした。物語に付随した諸々の出来事も大変興味深く、映画の楽しさを倍加してくれます。2016.08.02
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