雪の降り積もる2月に下見をして楽しみにその時を待っていた置賜桜回廊。4月21日,雨の中を回った置賜桜回廊は残念ながら満開には数日早かったようで殆どが開花したばかり、それで急遽22日は福島県の三春に向かいました。街からの行程約862キロの花を見る春の旅でした。

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山形県置賜桜回廊古代桜から三春・滝桜 その③その①へ  冬の置賜桜回廊

推定樹齢1200年の久保桜を始めとした古代桜が約30キロの間に見られる山形置賜桜回廊を見て、福島県三春の滝桜まで、これほど贅沢な桜の道は滅多にないと思います。

多くが(全てではありませんが)塀に囲まれた寺社の境内ではなく野にある桜である事も私の心を引きつけます。土地の人々のささやかな手助け以外頼りもせず、自らで生命を維持してきた清々しい桜の美しさを感じるのです。この辺りの冬は雪が1メートル又はそれ以上積もるでしょう、それを自らの力だけで数百年も乗り越えてきた花の潔さが私に感動を与えてくれるのです。そして多くでささやかな商業主義が見られますが、どこでも親切心が先に出てきてしまう土地の人々との交流と言う点で、それはとても楽しい事でした(滝桜はちょっと別ですが)。撮影日2014.02.22

烏帽子山千本桜

朝食前に温泉に入って目の前の烏帽子山に散歩に出かけます。私はリラックスして浴衣に下駄です。このような格好で外を歩くのは久しぶりです。目の前の湯ノ坂口の石段を上ります。

雨が上がり山は桜色に染め上げられています。下駄の音を鳴らしながら石段を登ります。春爛漫、旅に出た事も重なり心が解放されます。撮影日2014.04.22

大鳥居から赤湯の町を見て居ます。後ろは烏帽子山八幡宮です。
大鳥居脇の桜、かなりの古木で今が満開。
烏帽子山八幡宮です。この横に遊歩道が上へと続いています。 八幡宮の裏を通って見晴らし台まで登ります。右手の山の斜面には果樹園が広がっていました。
見晴らし台から右手に桜の塊が見えます。西山と言うあたりだと思います。桜の帯が連なって見えます。
見晴らし台から見ると眼下に桜の塊が広がる素晴らしい景色です。見晴らし台は、建物に枯れた草のつるが巻き付いた廃墟です。

昨晩と同じコースを通り寺坂口に降りてきました。昨晩はこの辺りは暗く足元がはっきり見えませんでした。今日見上げると桜が満開です。

烏帽子山の早朝の花見を終えて朝食です。昔風に一人ずつ配膳されています。毎朝業者から運ばれてくると言う餅が美味しいとHPに説明されていたのですが、餅などと思っていました。ところが雑煮も椀も大変美味しくお代わりして6個食べてしまいました。朝食はこれで十分です。慶海桜と眺陽桜、高畠ワインの情報を聞いてから赤湯温泉を出発します。撮影日2014.04.22

慶海(けいかい)桜と眺陽(ちょうよう)桜  
赤湯温泉のある南陽市の宮内というところに双松公園があり、その中に共に樹齢160年と言われる桜があるとの事、カーナビに導かれたやってきました。その場所には大きな石の鳥居と石畳の参道でした。間違えたかと不安になりますがとりあえず参道を車で進むと小山が出てきて駐車場がありました。案内図でもどこか判然としないので通りかかった地元の方に伺ってやっと分かりました。公園は更に右に坂道を上るとのこと、10台ほど車の止められる台地に看板がありました。山の斜面に見えるのが慶海桜です。まだ花は咲いていませんでした。撮影日2014.04.22
慶海桜の駐車場から石段を少し降りると眺陽桜がありました。やはり花芽が色付いた程度でした。これで今回の置賜桜回廊の桜は終わりとなります、三春の滝桜を目指します。
阿久津八幡神社

インターネットで調べていたら南陽市から飯坂ICに向かう途中の高畑町に美しい三重の塔があると書かれていました。広い道を、道の駅を目指して走っていると突然左手にその塔が見えてきました。山道に入るのかとカーナビを見ていたので驚いてしまいました。私の大好きな野にある寺社です。住所:山形県東置賜郡高畑町安久津2043-2

周りは湿地帯でこの三重の塔の周りには堀が回されていました。このような場所にこのような建物が有るとは信じがたい思いです。
大きな説明版がたっています。往時、沢山の塔頭が立ち並んでいてこの三重の塔だけが残ったと書かれています。栄枯盛衰の物語です。それにしても都から遠く離れたこの地に暮らした人々の信仰心とそれを維持してきた経済力には瞠目しました。

置賜の最後に訪れた場所で大変な幸運にあたりました。この広大な湿地帯とそこに孤影の如く建つ三重の塔、古代の桜達と同じように飢饉・災害・戦乱の物語を紡ぎながら、雪深いこの地に生き続けてきた凛とした美しさと人を惹きつける大きな力を感じました。個人的な好みで言えば、金ぴかの伽藍は一度で十分ですが、このように野にある寺には機会があれば何度でも訪れたいと思いました。手を合わせて祈りました。

家人がラ・フランスのワインを買いたいと言うので”高畠ワイン”に回りました。私はそれならワインしか作らない赤湯の”大浦ワイン”で買えばよかったのにと言ったのですが、今度は違うところで買いたいと言うのです。そこには観光バスの団体が続々と到着して中に吸い込まれていきます。ワイン工場なら見てみたいのですが、土産物屋に興味が無いので車に残ってこれから向かう滝桜など、三春の桜の住所をカーナビにセットしました。家人はお土産のワインと自分用のラ・フランスのワインを買い込んできました。撮影日2014.04.21

天神夫婦桜
山形県の高畑町から栗子峠を越えて東北道に乗ります。あっと言う間に郡山インター、磐越道に入り郡山東ICで降ります。伊勢桜を目指したのですがどうもよく分かりません。途中天神夫婦桜の看板が出て来たので目的地を変えて訪れてみました。張り子人形のデコ屋敷と言う施設の道路の反対側に車を止めて歩きだしますが桜が見当たりません。渓流に沿って進むと右手に桜が見えてきましたがどうも違うようです。郡山市の三春町・西田町・中田町を走っているとこのような桜が沢山見られます。地元の方が通りかかったので伺ってみるとこれから近くまで行くからと言うので同行をお願いしました。この桜から暫くで左手の小高い丘の上に大きな桜が見えてきました。お礼を申して私達は桜に向かい緩やかに坂道を登ります。 撮影日2014.04.22
推定樹齢500年と言われる2本の桜が寄り添うように立っている事から夫婦桜と呼ばれているようです。そしてその下には天神様を祀った小さなお堂があります。広がる青空の下で桜の華やかな色が一層浮き出してきます。
天神夫婦桜から帰路を望みます。通り過ぎて来た桜が眼下に望まれます。一旦この桜の場所まで戻り右の小山の前を巻きながら右に歩くと駐車場です。
坂をを下りながら後ろを振り返ると天神桜が静かにたっています。雪村桜に向かいます。天神夫婦桜の住所:郡山市西田町高柴字福内
雪村(せっそん)桜

カーナビを頼りに中田町を走ります。至る所に桜が咲いています、一度に春が来たようです。かなり車の通りが多い道を走っていると左手に広い駐車場がありました。正面に美しい春の景色が広がっています。住所:郡山市西田町大田字雪村撮影日2014.04.22

推定樹齢約400年の枝垂れ桜です。幹の風格がこの桜の木の案内板に書かれた物語を裏づけてくれるようです。駐車場が分かりやすいせいか時折桜を見に来る人が来ますが直ぐ帰って行くので静かに桜を見る事が出来ます。

桜への道は休耕地の中を通って進みました。帰りは左側に伸びる山沿いの道から雪村桜を振り返りながら駐車場に向かいました。時間が無くなるといけないので先に滝桜を見てしまう事にしました。雪村桜住所:郡山市西田町大田字雪村
三春の滝桜

訪れたのは何十年ぶりでしょうか。繰り言になりますが、当時は地元の人々が静かに花見をする素朴な桜でした。根元には壊れかけた小さなな社があり小銭が置かれていました。駐車場が出来観光バスがやってきてからは恐れをなして訪れることが無くなりました。喧騒は想像以上です。私の知る滝桜とは異質の桜の姿でした。私の思い出は霧散してしまいそうです。ただ、観光資源として財源を確保できたのか花の着きが昔より旺盛なのは滝桜の為に喜ぶべきことです。地蔵堂の紅枝垂れ桜に向かいます。駐車場は無料ですが、入場料が一人¥300掛ります。撮影日2014.04.22

行列を作って桜を一回りするようです。何処から写しても沢山の人が写ってしまいます。不都合があるといけないので出来る限りカットしました。
地蔵堂の紅枝垂れ桜   
三春滝桜の娘と言われる桜は幾つかこの近辺にありますが、この地蔵堂の桜もその一つです。推定樹齢400年、訪れた時はほぼ満開の時のようで一杯に濃い桜の花びらを垂らしていました。60台程停められる無料駐車場がありますが観光バスも来るのでかなり混雑しています。住所:郡山市中田町木目沢字堀ノ内撮影日2014.04.22
カメラを構えた人が沢山いるので、私もそうなのですが、邪魔になりそうなので桜に近づいて見上げるのを躊躇してしまいます。大変美しい桜です。五斗蒔き田桜に向かいます。撮影日2014.04.22
五斗蒔田桜

五斗蒔き田桜は大変清々しい桜でした。樹齢約150年、三春の滝桜の子供と言われています。

多分個人のお宅の中だと思われますが小山の稜線の上に咲いていました。つまり、桜の幹の左と右に坂があります。見晴らしの良い場所にスックとたっていました。誰も見ていない桜で、斜面の両側の真ん中にたって静かに桜を見上げてゆったりした気分で花見を楽しみました。駐車場がないので道路に邪魔にならない程度に停めさせていただきました。長居は出来ません。次の方が来たので私達は下りる事にしました。

持ち主の方の看板と思われる文句も成程と思わせるものです。郡山市の説明によればこの地域は往時、馬の生産地で馬頭観音が祀られていると書かれていましたが見当たりませんでした。

振り返ると空に向かって桜は静かにたたずんでいました。次の忠七桜に向かいます。

五斗蒔田桜住所:郡山市中田町木目沢字五斗蒔田

忠七桜

樹齢約160年、三春滝桜の娘と言われる紅枝垂れ桜の一つ。車が数台停められる駐車場がありました。個人のお宅に植えれた桜のようです。桜の向かい側の山に展望台がありますがそこも開放していただいているようです。撮影日2014.04.21

樹高がかなり高く斜面なので更に高く感じます。紅枝垂れ桜らしい華やかな桜です。
反対側の小山から見ると全体が俯瞰できるようです。通り道を開放していただいているようなのであぜ道を通り小山に登って見ました。盛り上がるような桜の花が枝垂れていました。
駐車所の脇にささやかな無人販売所があります。それが全て¥100なのです。信じがたい値段から利益を得ようとしているのではなく、桜を見に来た人に喜んでもらいたいと言う事に違いありません。看板の忠七と言う人のこの桜と公園の維持管理を遺言とした事が納得できるのです。ウドも豆も切干大根も大変美味しかったです。何より大変心温まる思い出が出来ました。
見晴らし台の足元にはエゾエンゴサクの青花が群生しています。艶やかな桜を呆れるほど見た目には、清涼剤のような清楚なこの花が目を休めてくれます。そろそろ夕方が近い気配です。急がないとなりません。最後に不動桜を見る事にします。忠七桜住所:郡山市中田町牛縊字向生後草撮影日2014.04.22
不動桜

推定樹齢350年の枝垂れ桜。木のサイズに比べると桜の花の付が大変豪華です。桜の近くには大きな駐車場が無いらしく道路の脇に車が列をなして停めてありました。私も余り桜の近くに進んで帰れなくなると行けないので最後尾に車を着けて歩く事にしました。これなら大型バスが入ってくるのは難しいかもしれません。そのせいか、もしくは時間が遅いせいか有名なサクラながらゆっくりと見る事が出来ました。好運です。桜の咲く斜面にカタクリが咲いていました。住所:郡山市中田町上石立館撮影日2014.04.22

須賀川市・長沼町護真寺の桜

村の帰り道にあたるので須賀川市長沼の桜に立ち寄る事にしました。あたりが近くなると小山の斜面が白っぽい桜で埋められています。すでに桜は終わりの季節のようです。どこも静かに咲く桜です。樹齢300年以上と言われる護真寺の桜です。撮影日2014.04.22 

 
地面には桜の花弁が一杯に蒔き散らかされていました。桜を見上げる私達にも花吹雪のおすそわけです。誰も見る人の居ない静かな境内、散る桜は春の名残りです。思えばあっという間に過ぎて行ってしまいました。満開の護真寺の桜を観たのは一年前の春でした。撮影日2014.04.21 
白味を増した桜の花の間からかすかに葉っぱの伸びているのが見えます。撮影日2014.04.22 
護真寺の長い桜の参道です。誰一人居ない桜の道、花弁を踏みながら陣屋の御殿桜まで歩きます。花びらが吹きかけてきます。
陣屋の御殿桜
推定樹齢が300年と言われる美しい枝垂桜です。護真寺とは指呼の間にあります。個人のお宅で守られてきた桜です。既に葉っぱが沢山出てきて春の終わりを告げていました。始めて見る御殿桜の花の終わりの姿です。一年前の春の、御殿桜の晴れ姿です。又の再会を祈念して道を引き返します。

戻ってきた護真寺の桜の後ろの空には夕方の気配が広がっていました。長い長い桜の物語を辿る旅の終わりです。最後は懐かしい桜との静かな対面が待っていたのです。撮影日2014.04.22 

村へ帰る車の中から護真寺と御殿桜のあたりの桜の塊を見ます。名残りは尽きませんが振り切って車を走らせました。村に着いたのは未だ暗くなるには1時間ほど間がある時でした。置賜桜回廊から滝桜①②③終わり。

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04/17/2021
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