越前の自然と神社と奥の細道②劔神社  ①へ ③へ ④へ  街の狛犬へ
劔神社東入口・昭和15年(1940年)狛犬・石工 武生 尾崎頼太 2022.07.12 ()無断転載

2022年7月11日~12日、家人の希望で越前へのバス旅行に出かける事にしました。個人的に団体で歩く事が気恥ずかしく人込みの観光地がが好みでない事を知っているので渋い越前を選んで呉れたようです。断る理由が見つからないので同行する事にしました。

ワクチン接種を済ませPCR検査を受けて準備を整えます。どちらか一つで良かったのですが、説明を正確に読まずに二つを済ませました。飛行機を除いてバスの席は一人掛けと極めて用心深い心づかいの取り組みでした。

行くと決まったら最大の楽しみを見つけようと若干の下調べをしたところ、少ないながら神社を回る事や出発前夜に芭蕉の奥の細道が旅の行程と交差する事等の楽しみを見つける事が出来ました。現金なもので出発前には団体旅行に混ざる事を心待ちにする事ができました。街の暮し 2022.07.11

越前の神社と狛犬を訪ねて&奥の細道

時間やコースは決められた通りに辿ることになるので行きたい場所を訪ねる事は出来ません。その制約のある中でも、出来る限り自分の希望する旅の楽しさを探すことにしました。その結果、今回は神社を訪ねる折に狛犬を見ることと、芭蕉の奥の細道由来の地を尋ねる事を目的とすることにしました。

久し振りの羽田空港、モノレールからは春辿った隅田川河口の風景が望まれて大いに楽しみました。これから飛行機に搭乗して小松空港に向かいます。旅が始まります。2022.07.11

越前の自然と神社と奥の細道・旅の細道掲載データ  江戸の狛犬・街の狛犬街の狛犬・江戸の狛犬

① 坂井市・大湊神社敦賀市・気比神宮
② 越前町・劒神社
③ 東尋坊誇島
④ レインボーライン頂上公園水島

越前の旅・スライド画像をご覧ください。左画像をクリックするとページが開きます。

3:15・三方五湖周辺の観光を終わり小松空港に戻る途中敦賀市内にバスが入ります。添乗員の人の気比神宮を通りますとの説明に窓の外を見ると、まさに昨晩夜参りをさせていただいた鳥居の前を左折するところでした。手を合わせて芭蕉の旅の思いを心に注ぎ込んでくれた気比神宮にお礼を申しました。

2022.07.12

 

越前町・剣神社

劔神社神社住所: 福井県丹生郡越前町織田113−1。全ての目的地を恙なく回り終え小松飛行場に向かう途中、最後の訪問地・織田信長所縁の劔神社を参拝することになります。織田信長が際立って知られていますが、地名に”織田”が着くこの地の神社の神官を務めた織田一族の発祥の地であるとの事、歴史と多くの物語を包んだ重々しい神域を参拝させていただきました。信長は劔神社を産土神と崇め神社とこの地の繁栄に心を砕いたとの事です。

2022.07.12

私はツアーの限られた時間内で目一杯隅々まで見てみようと、神社前の大通りに面した東側入口の石の鳥居に向かいました。

2022.07.12

劔神社の入口の前に並ぶ美しい街並みを目にして旅の最後に極めて上質の思い出を与えてくれたと縁のある信長に感謝しました。

旅の途中のバスの窓から見える越前の瓦葺きの家並にしばしば見とれていました。やっとその家並を目の前で見ることが叶いました。

2022.07.12

陳腐な看板は殆どみられません。騒々しさを感じさせることなく静かに大きな家が立ち並ぶ風景は豊かな街の営みが生み出すものでしょう。

2022.07.12

神社の仕切りに織田一族発祥の地の案内板が見えます。日本海に近いこの地には織田一族発祥以前の長い歴史が人々の暮らしの土台になっているのでしょう。この美しい街並みは長い歴史が生み出したものなのだと一人納得しているところです。

2022.07.12

古い時代の神社の社格が刻まれていたと思われる劔神社の石柱が入口に見えました。

2022.07.12

劔神社本殿、駐車場から歩いてきた一緒のバス・ツアーの人たちの姿が見られます。落ち着いた神社の佇まいは私の好みに極めて合致します。

手を合わせて旅が無事に終わることのお礼を申し述べました。

2022.07.12

本殿の柱に宮彫りの木鼻の象が彫られています、鼻の彫がかなりユニークです。

2022.07.12

左に置かれた宮彫りの木鼻の象です。私の記憶ではこの木鼻は本殿に置かれたものだと思っていますがもしかすると記憶違いで摂社の織田神社の宮彫りかもしれません。

2022.07.12

摂社・織田神社

本殿の右に鎮座する摂社織田神社。

2022.07.12

摂社織田神社の御由来、はっきりと見やすい案内板で大助かりです。

2022.07.12

織田神社の右には劔神社の摂社が鎮座しています、左が”奇稲田神社”、右に鎮座するのが”小松建勲神社”。織田信長の名前が人々を惹きつけるのか多くの摂社が境内に祀られています。

境内に摂社の数が多いことで、私の見つけた限りでも5対の狛犬が奉納されていました。私の経験ではかこれ程多くの狛犬が奉納されている例はかなり稀です。2019年参拝の塩竈神社以来かも知れません。

2022.07.12

劔神社東入口・昭和15年(1940年)狛犬・石工 武生 尾崎頼太

かなり目にする首の周りの飾りが特徴的な狛犬。右に置かれた阿像、通常のサイズより一回り大きな狛犬見えます。

2022.07.12

右の阿像から左の吽像を写しています。尻尾の形も私には見慣れない大変珍しい形に見えました。

2022.07.12

左の吽像は首回りの飾りが阿像に比べて更に多く彫り込まれています。2022.07.12

台座にはしばしば各地の神社で見られる昭和15年(1940年)の紀元2600年記念に奉納されたと刻まれていました。

併せて石工の名前などが彫られていました。武生市は町村合併後越前市となった場所なので地元の石工の人の彫った狛犬を推定されます。石工名は”尾崎頼太”と読めます。

2022.07.12

 

狛犬の置かれた近くに躍動する馬の像が置かれていました。織田氏の代表的な家紋の一つと言われる織田木瓜(おだもっこう)が見られます。神馬の奉納は何度か目にしたことがあるので信長を敬うならそうであろうと思いました。2022.07.12

 

広い境内の本殿と対する位置に赤い鳥居の南入口が見えます。赤い大鳥居を目指して歩いていくと見応えのある狛犬が参道の脇に置かれていました。

赤い大鳥居の南入口を護る位置に置かれているように感じました。

 

2022.07.12

赤い大鳥居・南口参道の狛犬

右に置かれた狛犬は口をしっかりむすんだ吽像と思われます。一般的な狛犬の配置と阿吽像の位置が逆に置かれているようです。柔らかな曲線で彫られた石像は極めて見応えのある狛犬に見えました。

全体の彫の意匠も私には大変珍しく楽しく鑑賞させてもらいました。丸みを帯びた曲線で作られた台座にも精緻な彫が施されています。石工の人の腕の冴えを感じました。

2022.07.12

左に置かれた吽像も柔らかな曲線で彫られた見応えのある石像でした。台座にも牡丹と思われる花が彫り込まれていました。

台座の周りをまわって奉納年や石工名を探しましたが見つけることはできませんでした。私の推定では今回この劔神社で見た5対の狛犬の中では最も古い時代のものではないかと思いました。

2022.07.12

劒天神宮の狛犬・昭和39年(1964年)

南入口の大きな朱塗りの大鳥居から本殿に向かって幾つかの摂社を参拝することにしました。

最初の劔天神宮の鳥居を潜り参拝をさせていただきました。

2022.07.12

劔天神宮の入口には天神様ではお馴染みの撫で牛が置かれていました。多くの人の願いを込めた手で撫でられた牛の体にはその痕跡が光沢として残っていました。

2022.07.12

劔天満宮拝殿の前に置かれた阿像、やや小型の狛犬です。狛犬の意匠はしばしば各地の神社で目にするお馴染みの石像です。

2022.07.12

左の吽像は若干風化が進んでいるようですが、それがかえって狛犬の印象に渋みを産み出しているようです。

2022.07.12 

台座に昭和39年(1964年)の文字が刻まれていました。各地で見慣れた形の狛犬が多く作られた時代と思われます。

2022.07.12

庚申宮狛犬・昭和53年(1978年)

劔天満宮に隣接する庚申宮の鳥居を潜り参拝をすることにしました。

2022.07.12

参道の両側に狛犬が置かれた小さな拝殿で参拝をしました。

2022.07.12

庚申宮の御由来を面白く読ませてもらいました。極めて直截かつリアルな説明を大変興味深く読ませてもらいました。

各地の神社でしばしばみられる庚申供養塔や二三夜供養塔などの由来を知る参考になりそうです。

2022.07.12

右の阿像、胸の膨らみを強調した意匠や特異な顔の表情等私には初めて目にする異相の狛犬です。興味深く周囲を回りながら鑑賞させてもらいました。

2022.07.12

左の阿像も体格の良さが目につく重量感溢れる石像です。首の下には劔神社東入り口に置かれた狛犬に似た飾りが彫り込まれて幾分かの柔らかさが醸し出されているようです。

2022.07.12

 

台座に思っていたより新しい昭和53年(1978年)の文字が刻まれていました。

2022.07.12

忠魂社 昭和4年狛犬

バスの出発時間が迫ってきました。集合場所への帰路の途中にある忠魂社を参拝してからバスに戻ることにしました。境内の西側の林の中に鎮座する神社で最後の参拝をさせてもらいました。

2022.07.12

右に置かれた阿像、かなり見慣れた意匠の狛犬です。足下に模様が刻まれた玉が彫り込まれた玉取りの意匠でサイズは小型の石像。見慣れた狛犬としてはかなり手の込んだ彫りだと感じました。

2022.07.12

左に置かれた吽像は子供が添えられた子取りの意匠です。阿像と同じく生き生きとした顔の表情や全体の彫がかなり手慣れた石工の人の作りのようだと感じました。

2022.07.12

台座に昭和4年(1929年)建立の文字が刻まれていました。これが狛犬の作られた年代の可能性が高いと思われるので、しばしば目にする形ながらその彫の確かさと巧みさが納得できました。大汗をかきながらの参拝でバスには指定時間ギリギリに到着することができました。

2022.07.12

神社を出発して小松空港に戻ることになります。神社を出発してすぐ織田信長の銅像がバスを見送ってくれていました。嬉しい思い出を残してくれたことに感謝しなくてはなりません。

2022.07.12

もしかすると、他のツアー同行者の方より私が最もこの最後の劔神社の参拝を楽しんだかもしれないとバスの中で滴る汗をタオルで拭きながら大きな満足感に浸りました。全く現金なもので最初はそれほど気が進まなかったバスでの旅が、終わりとなるなる今、思っていたより心に大きな思い出を残してくれた感が強くなりました。

2022.07.12 

07/26/2022

越前の自然と神社と奥の細道②

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Copyright (C) Oct. 10,2007 Oozora.All Right Reserved. 07/26/2022 更新   ()転載