秩父札所・福寿草とローバイ・滝・氷柱・そば・温泉
(その1) その2
ロウバイと武甲山

節分草とフクジュソウを見に、中学時代の友人と秩父に出かけました。今年の冬は格段に寒くお目当ての花にはまだ早かったようです。それを補って余りある旅の思い出が心に残りました。秩父は首都圏に近いにもかかわらず山深く、沢山の楽しみに出会う事が出来ます。

多くの人が訪れる山梨・長野に比べると静かな山里の旅を楽しめるのです。個人的な好みではありますが、どちらかと言うと余り観光ずれしていない事が良いと思っているのです。江戸時代から山深い秩父地方は養蚕が盛んだったことから急斜面までその面影を残す集落を見ることができます。多くは観光資源としてではなく普通の生活を送る場所として、驚くほど山道の奥まで生活の場が広がりそして残っています。秩父の経済力がこれ程の急斜面の山村が生きていられたとも言えます。

そしてその集落をつなぐように、訪れる者の心を癒してくれる多くの寺院が静かにたたずんでいます。煌びやかに威容を誇ることなく、山懐の自然と一体となった小さな寺院ばかりです。都に在って特権階級の心を支えたものではありません。普通の人々の生死を見守ってきた慈悲深い野の寺をたどる秩父札所巡りは、秩父連山の自然と共に秩父への旅の太い筋違となります。朝8時に街を出て目一杯走りそして歩きましたが幾つかの目的を達することは叶いませんでした。2013.02.19秩父札所マップをご参照ください。

●31番・33番・34番札所 ●29番・清雲時の桜・30番札所  ●12番・13番・24番・25番・27番・28番札所 ●32番法性寺 ●15番・16番札所 ●31番・32番札所  ●5番、9番、11番 ●6番、7番、8番、20番 ●18番・神門寺・17番・定林寺
秩父札所マップをご参照ください。
JA花園・農産物直売場

関越道花園インターで降りて、秩父方面に国道を進むと5本程で道の駅が右にあります。道の駅の一角にJA花園の農産物販売所があります。先週、JA白河”り菜庵”で野菜を買って食べきれずに家に残っているのに、農協の直売場を見ると我慢ができません。朝9時、友人と一緒に開店したばかりの店内に入ります。既に大量の野菜を買って出てくる人がいます。何故か焦ってしまいます。

寒冷地の白河に比べて野菜の種類が多いようで、京いも、キュウリなど、白河で買わなかった物だけを少しだけ買いました。果たして食べきれるか心配です。野菜ですから価格は知れています、案じるほどこの事はないのですが。これが旅の一番目の楽しみです。

秩父34番札所・水潜寺

午前中は小鹿野に向かいながらお寺をめぐる事にします。その具合を見てから午後のスケジュールを決めることにしました。結果として、二人とも何にでも興味を持って感激するたちなので、小鹿野までの道中が思わないほどの時間がかかってしまいました。それだけの新しい感動に出会わったという事でもあります。山道に散在する霊場巡りにカーナビは欠かせません。カーナビに導かれて渓流沿いの山道を進むと迷うこともなく目的地に到着。秩父札所巡りの最後の34番、日沢山(にったくさん)水潜寺の雪の残る駐車場にも、参道にも人影は皆無です。電話0494-62-3999

寒さで手がかじかんでしまいそうです。本堂で手を合わせて家内安全を願いました。友人は秩父三十四観音霊場納経帖を家に忘れて来たようで購入しています。そのあと庫裏で納経をお願いしれいました。私の納経帖には既に記入されていたのでお賽銭だけでお許しをいただきました。

以前2度訪れて、岸壁に開いた水の流れる洞窟に感動した思い出があります。洞窟の中は暗く水音はしますが行き来は出来ないように見えました(懐中電灯がなかったのではっきりしません)。記憶違いがと思いましたが確かめようもありません。

秩父華厳の滝

水潜寺で秩父華厳の滝の場所を聞くと(道路脇に幾つかこの看板がたっています)すぐ近くとの事。名前からするとなにかいかがわしい感じがしたので、眉に唾付けて沢沿いの道を走って行きました。10分も走ると道路脇に駐車場やトイレがありました。けばけばしい看板が興ざめです。

車を止めて右に小道を入ります。沢に下りる遊歩道を進むほどに上流に滝らしいものが見えてきました。それが、日光の華厳の滝を騙るような”秩父華厳の滝”という名前からしてさぞかし商業主義の産物と、期待もせずに来たのですがそれを見事に裏切ってくれました。滝つぼを持つ高さ20メートルほどの美しい滝が静かに水を落としています。見惚れてしまいました。山奥の清冽な雰囲気と云うわけにはいきませんが、十分に感動させてくれます。滝頭にちょっとけばけばしい仏像や橋が見えるのは目をつぶって滝を見上げてしばし感嘆の声をあげました。予定に入っていない見物をして大いに得をした気になりました。旅の始まりは幸先良いものになりました。

関東ふれあいの道

水潜寺で次の菊水寺の道を尋ねると元の道を戻るように教えられました。カーナビでは秩父華厳の滝まで来るとこのまま進むようにと出ています。

新しい道の方が楽しいとカーナビに従って登り道を進むほどに道がかなり狭くなってきます。登りとカーブがますますきつくなります。集落の多くの家々は強い斜面に建っています。秩父の山村の風情が残っていてまた一つの思い出ができました。峠の終わりが見えてきたころ立派な案内板がたち、道路わきに休憩所を備えた場所に出ました。西門寺と言う場所でこの道は”関東ふれあいの道”と言われているようです。2013.2.19

峠を登り切って皆野町から農民ロケットと呼ばれている神事”龍勢”で有名な吉田町へと下ります。遠くの山にはまだ雪がべったりと張り付いていて春はまだまだのようです。この道は城峰山の脇を通るようで登りのきつい事が納得でします。秩父らしい山里の風情を大いに堪能させてくれた道でした。何処に楽しみの種が転がっているか分からない旅の醍醐味を味わう事が出来ました。2011.11.04
吉田町の椋神社
毎年10月14日に地元の人々が手作りした巨大なロケット状の花火を打ち上げる珍しいお祭りが行われることで知られた吉田町の椋神社に立ち寄りました。友人はここでも、あれも納経と言うのかどうか、神主さんからその帳面を購入し印を押してもらっていました。そのお蔭か神主さんがパンフレットを2部出してくれました。
龍勢の打ち上げの順番氏名が記載されたプログラムが飾られていました。なんとも素朴な感じがします。竹にくくりつけられたこの長いロケット状の物を打ち上げるようです。

龍勢の打ち上げ台が境内から200メートルほど離れた山の影に見えました。

この神社は一般民衆が、明治政府に反旗を翻した秩父事件の舞台としても知られています。秩父事件の物語を思い出しながら神社の境内を歩いてみました。龍勢の時を除けば、すぐ前の道を車が走っていますが神社一帯には静寂が満ちているようです。確か樹齢数百年と書かれた境内の夫婦くぬぎのみがその生き証人でしょう。2013.2.19
第33番札所・菊水寺

33番札所の菊水寺は吉田町にあります。人家がたちなぶ家並みの中に埋没してしまうかと思えるほど静かなお寺です。境内に立つ芭蕉の句碑はかなり古そうだと感じました。奥の細道の高久家に残る杜鵑の墓を思い出しました。ちなみこの句碑は芭蕉の没後61年の宝暦四年(1754年)に建てられているのでこの菊水寺の句碑は更に古いものになります。

秩父市役所のホーム・ページにこの句碑に付いての下記の説明が載っていました。これを読んでいればもっと子細に観察したのにと残念に思いました。次回訪れる機会があれば裏に回って見てみたいと思います。秩父市役所のホーム・ページによれば芭蕉50回忌の句会が催された寛保3年(1743)に建立されたものとの事。杜鵑の墓より古い事になります。菊水寺観音に因んで「寒菊や粉糠のかかる臼の端」の句が刻まれていると書かれていました。ちなみに杜鵑の墓には芭蕉の『落ちくるやたかくの宿の杜鵑』と曽良の『木の間をのぞく短夜の郭公』が刻まれていますが判読は極めて困難です。菊水寺の電話番号:0494-77-0233

菊水寺には幾つかの文化財があるようです。納経の折にでも訪ねてみるべきでした。先を急いでいたのでそれをしなかったことが悔やまれます。次の目的地、31番札所・観音院へ向かいます。

31番札所・観音院
小鹿野町にある観音院は2回目の参拝になります。同行の友人に、長い階段を登ると岩に囲まれた本堂のあるこの寺の景色を見てもらいたいと思ってやってきました。ここは仁王像が守る観音院の山門です。
歩きやすく敷き詰められた石段を上ります。参道の両側には俳句が掛かれた石碑が立ち並んでいます。山門がぐんぐんと眼下になっていきます。それにつれて本堂の屋根が目に入るようになります。

石段を登りきると岸壁に抱かれたように本堂が建っています。お参りをして右手の庫裏で納経をしました。節分草の様子を尋ねるとどうもまだ早いようです。今年は寒いので”尾の内氷柱”の方が間違が無いようです。昼食を食べてから、一応節分草も訪ねてみようという事にして参道の石段を下ります。観音院の電話番号0494-75-3300

山門の横に31番札所と城址を表す案内板
岸壁の左半分は水で濡れています。冬でも僅かに水滴が滴っているようです。 参道の両側に句碑が立ち並んでいます
上の説明に書かれた岸壁に彫られた仏様です。岸壁が柔らかい岩のようで風化して輪郭が判然としません。

石段のくだりに掛かる前に右手の鐘つき堂で鐘を鳴らしてみました。辺りの山まで届くほどの透明感のある良い音でした。本堂を振り返って手を合わせ石段を下りました。これから小鹿野のそば屋”とみた”で昼食です。以降はその(2)に続きます。

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