黄金色の庭
高原の村の庭の木々は冷気に十分冷やされて秋になるとしっかりとした葉の色をつけて迎えてくれます。贔屓目でしょうか、街で見る同じ木々より澄んだ色に思えるのです。あっという間に木枯らしが吹き荒れて、せっかく色づいた名残の葉も風にむしり取られて、また冬が来て一年がめぐります。高原の村に残された1年最後の華やぎです。2008.11.10
ブナ この複雑な色の組み合わせが私の好みに合うのです。刺激的な赤い色ならこれほど感嘆はしないでしょう。庭の中ではベスト・ワンの葉の色だと思っています。
ブルーベリー ブルー・ベリーは働き者です。白い花を咲かせて楽しませ、大きな実を成らせて私の食欲を満たしてくれます。秋にはこの紅葉です。多すぎない葉の数もうるささを感じさせず好ましい印象を与えます。
ドウダン・ツツジ これは何の変哲もない白い花の咲くドウダンです。余り育ちすぎるので植木用のバリカンで強く刈り込んでいます。紅葉の時期になるとがぜん庭の一角に光を当ててくれます。大好きなサラサドウダンの葉はみじめなものです。
エクスバリー(つつじ) 大輪のつつじは既に花芽をつけています。私に来る春までの希望を与えてくれているようです。鮮やかな花が開く・その時の自分の姿を想像しては頑張らなくてはと思うのです。紅葉が花ほど美しくないのは残念です。
アカマユミ 既に多くの葉は落ちてしまいました。それがかえって鮮やかな赤い実を目立たせることになります。
モミジ 2本の赤いモミジは手入れもしないのに随分と大きくなってしまいました。あまりにも素直に真っ赤なので驚きがないのです。秋になれば真っ赤になると決めつけているようです。我儘は承知でも、少しは黄色も混ぜてくれたらと思うのですが・・・木には責任はありません。
ドウダンツツジ このドウダンはサラサ・ドウダンではありません。それでも花は少し赤みがかっています。紅葉は他の花の美しいサラサ・ドウダンよりきれいなのは何故でしょうか。
ガマズミ このあたりの里山には幾らでもはえている雑木です。村の人々は庭に植えるなど考えもしないようです。種類がちがうのか木によって実の付き方に美醜があるようです。このガマズミは最も気にいった一本です。
白モクレン 黄金色の美しさに見直してしまいました。私の好みとしては花が少し不細工な気がするのです。類似のオオヤマレンゲに比べては可哀想ですが、花が咲き終わった後の地面にべったりとへばりつく姿がいただけません。この葉の色を見て考えを変えました。オオヤマレンゲより、この葉の色にはぐんと美しいものがあります。
ミツバ・ツツジ 二本のミツバ・ツツジの内の最も大切にしていた方はネッキリ虫に倒されてしまいました。紫がかった美しい花を咲かせる大切なツツジでしたのに残念です。残りの一本はありきたりのミツバ・ツツジです。
 村で親しくして貰っている大工さんは花・木好きです。留守の間に近所の山から採ってきたコシアブラを植えてくれました。今では幹の直径が10センチほどに育っています。早春の頃、ちょうどうまい季節に訪れた時はこの新芽のてんぷらをたらふく賞味します。この落葉の美しさに感嘆しました。緑がかった黄色の葉を初めて見たような気がします。庭の木々の中でも出色の黄金色です。このあたりではこの木を『ヤマグルミ』と呼ぶ人が殆どです。
シロヤシオ 秋の葉の色は清楚な花からは想像もできないほどガサツな色に見えます。乏しい印象からですが、紅葉の美は花の姿と反比例するような気がしています。
ナツツバキ 3本のナツツバキの紅葉はほぼ終わりのようです。右のナツツバキは山の際にあって最も日当たりが悪いので少し残っています。落葉のお陰で見通しが良くなりナツツバキの美しい木肌が目立っています。
ニシキギ この木は里山のかなりの数がある何の変哲もないと思われている木です。村の人は別名・カミソリの木と呼んだりしています。中々当を得たネーミングだと感心してしまいます。これが錦に例えられるその紅葉の美しさから『ニシキギ』だとは知らない人が多いのです。まるで無関心で、庭に植えるなど信じられないと言う顔をされます。山持ちの人が好きなだけ持っていってよいと言うので、私は最初嬉しくて3本も植えてしまいました。なんとも言えない紅葉の濃淡に小さな赤い実、羽根のような独特の幹の姿、秋になると俄然その輝きを増してきます。
ツリバナ・マユミ マユミと名が付く木の中で私の最も好む山の木です。赤いマユミの実がぶら下がって花のように見えるのです。大きな葉の紅葉も美しく、山の自然を詰め込んだような雑木です。
ヤシオ・ツツジ ツツジの一方の王者だと私は思っています。早春の高原の村にまっさきに華やかな花の季節の訪れを告げるのです。花の咲き方、枝の姿すべてに満足しています。紅葉とともに既に沢山の花芽が見せます。私に来年を待つ楽しみを教えてくれているようです。それは大げさに言えば、午後4時の人生の私にとっては未来への希望とでも言えましょうか。
11/17/2008

 
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