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塙町熊野神社狛犬・大正15年1月9日(1866年)28歳 ・”野田平業 彫刻” (禁)無断転載

2020年1月6日、長い冬季休暇を切り上げて暮らす街に戻る日がやってきました。帰路は初めてのルートである久慈川沿いの道をとりながら袋田温泉に一泊して袋田の滝と大子町の神社を訪ねる事にしました。この道沿いの棚倉町・塙町では旨いヤツガシラが買えるかもしれないと言う期待もあります。2020.01.06   
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塙町・熊野神社
熊野神社:東白川郡塙町大字東河内五郎内。

神社は太い道の75号線から見えました。長い坂道に続く石段の先に狛犬が置かれているのが分かります。穏やかで美しい日本の風景が待ち受けてくれていたようです。

車は駐車場らしい場所が見当たらないので、神社前の側道に止めさせて貰いました。辺りの景色を見ながらゆっくりと石段を登り参拝をさせて貰う事にします。2020.01.06

 
木立に覆われた静かな社でお参りをさせて貰ってから境内を歩いてみました。幾つかの小さな摂社が祀られています。林業の盛んな土地らしく美しい木目の扁額が飾られていました。2020.01.06
 

緩やかに冬の陽を浴びながら参道の石段を上る先に見応えのありそうな狛犬が奉納されています。一見して野田平業の狛犬と判別できる石像です。2020.01.06

 
塙町熊野神社狛犬・大正15年1月5日(1866年)平業28歳の作 ・”野田平業 彫刻”

高い石組の上に置かれた右の吽像と思われる狛犬。平業独特の籠彫りの玉が狛犬足下に収められています。残念ながら多くの平業の繊細な籠彫りの玉の例にもれず向かって右が欠落しています。

下から見上げる事もあってかどこか見なれた平業の狛犬と印象が僅かに違う気がします。毛の部分が透かし彫りに細工された見応えある石像が、朝の光を浴びています。

一般的な阿吽像の位置が逆に置かれているようです。2020.01.06

 
右に置かれた吽像から左の阿像を見ています。吽像の後ろから見る造形からは躍動する姿が目に浮かんでくるようです。精緻な彫りは全ての部分に施されているのが目に付きました。2020.01.06
 
少し見慣れた平業の狛犬と少し印象が違うと言う思いは台座に残された”野田平業彫刻”の銘と”大正15年1月9日”の文字で納得が出来ました。大正15年1月9日(1866年)つまり平業の若干28歳の作品になるのです。

私に見慣れた多くの昭和に入って作られた平業の狛犬と異なり、大正時代の狛犬は若干顔が扁平な印象を受けますがまさにこの石像からもそれを感じました。それにしても大正時代の白河市の彫刻師・野田平業の狛犬がこの地にある事に驚きと大きな喜びが湧いてきました。2020.01.06

通常の阿吽像の位置と異なり左に置かれた阿像、2頭の子供が彫り込まれています。私には精緻な彫が生み出す高い表現力が感じられます。平業の狛犬に見られる歯の繊細な彫や透かし彫りに彫られた流れるような毛の立体的な丸み等は流石と何度も石像の周りを回りながら楽しく見させて貰いました。これを奉納した氏子の方々に感謝しなくてはなりません。

それにしても、2頭彫られた子供の狛犬に毛を巻きつかせた彫りに平業の遊び心を感じました(もしかすると依頼者の希望だったのかもしれませんが)。朝の光が一杯に正面から当たる狛犬は隅々までを見せてくれたことは幸運でした。2020.01.06

長く続く緩やかな石段を下る事にします。鳥居の先にはこの熊野神社に守られた穏やかな集落の佇まいが望まれます。2020.01.06

右に置かれた吽像の後ろからは、なだらかな曲線を描いた八溝山塊の山なみが続いている長閑な風景が望まれます。

私には心地よい美しい日本の風景です。2020.01.06

 
塙町・厳島神社
厳島神社住所:東白川郡塙町大字板庭広瀬17−2。

今年秋の大雨で久慈川一帯も大きな被害が出たようで、この神社もその痕跡が見えます。川岸に立つ小さな社でお参りをさせて貰いました。個人的には静かに佇む神社の様子がとても良いと思いました。2020.01.06

 

現時点でグーグル・マップにこの神社は掲載されていません。塙町の観光課にメールで訪ねたところ神社の一覧表とこの番地の近くに神社があると親切に教えてくれました。

2車線の27号線の川上川に掛かる”いたにわ橋”の両端に釜藤のバス停があります。上記の住所はグーグル・マップの橋際の右側のバス停前の藤田商店の住所です(マップの+記号で拡大すると表示されます)、神社はこのお店の向かい側にあります。車も一台ほど止められるスペースがありました。画像はそこから撮りました、橋の左・左岸に神社はあります。2020.01.06

川上川河畔に鎮座する厳島神社は川の水の流れと一体化した趣を感じます。素晴らしい神社です。昨年の水害で鳥居も少し埋まったのではないかと思われる痕跡が見られます。2020.01.06

境内から川上川の下流を眺めています、川岸を走るのが27号線です。まさに神社と川上川は一体の神域に感じます。2020.01.06

阿吽像二つの狛犬に鎮護された川砂の上を杉の葉が覆う心地よい参道を小さな社に向かいます。手を合わせてお参りをさせて貰いました。2020.01.06
 
塙町・厳島神社狛犬・昭和5年(1930年)石工 後藤豊春

精気に満ちた狛犬は普通のものよりやや小型のサイズです。右に置かれた阿像は玉取りの意匠、水辺のせいか全体に苔が密生し細部がはっきり見る事が出来ませんでした。

狛犬の後ろを清流が流れていました。2020.01.06

 

阿像の背中から吽像を写しています。阿像は吽像を見ている様子ですが、見られている吽像は入り口の鳥居方向に首を曲げています。2020.01.06

右の吽像、私のミスから画像が切れて写っていたので小さな写真を拡大して入れました。

台座には昭和5年の奉納年と石工名後藤豊x(一字不明)が彫られています。ここまでのヒントで私の記憶に残る八幡神社の凄まじい迫力ある狛犬を彫った塙町の石工”後藤豊春”と推定して間違いないと思われます。2020.01.06

左に置かれた吽像は子取りの意匠に見えますが全体に苔が密生している為にハッキリ断定が出来ません。苔が無ければかなり律動感を感じさせる狛犬だと思います。同じ石工の彫った塙町・八幡神社の狛犬と同じ様に漲るエネルギーを放射しているように感じられます。2020.01.06

 

令和2年の長い冬休みが終わり暮らす街への帰路立ち寄った神社では幸先よく野田平業の大正の狛犬を見る事が出来ました。次の厳島神社は清流の流れる川岸に社がある美しい佇まいでした。出だしの二つの塙町の神社で心が何となく穏やかな充足感で満たされて前途はどうあれこれで良いと言う思いになりました。2020.01.06

 
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