東白川郡の狛犬巡りその2・塙町A  @ B

塙町西河内・八幡神社の狛犬・昭和9年(1934年)・石工 後藤豊春 (禁)無断転載
 
2019年・那須の紅葉巡りの旅に合わせた狛犬巡り

2019年11月10日、ボイラーの水抜き等の冬支度の為に県境の村を訪ねました。リンゴなどの果物や野菜の買い物もありますが、紅葉の帯が山麓まで降りて来た様子に県境の村の近くの秋の景色を訪ねて見る事にしました。併せてその道程の途中の静かな神社を訪ね、その土地の佇いを見る事を楽しみながらの旅でした。

2019年11月・村の紅葉と狛犬巡り一覧
紅葉 @八溝山 A西郷瀞 B雪割橋
狛犬と神社 @棚倉町・二柱神社塙町・熊野神社⇒A塙町・八幡神社塙町・八幡神社B茨城県大子町・近津神社(町付)B茨城県大子町・近津神社
 
塙町西河内・八幡神社  

八幡神社住所:東白川郡塙町大字西河内八幡前40−5。

この八幡神社もグーグル・マップに載っていません。ストリート・ビューで探した神社です。来て見れば2車線の太い道路脇にあり簡単に神社が見つかりました。神社の左にある砂利の細い坂道を登ると境内の横にでられました、駐車スペースが有ったので停めさせて貰いました。2019.11.11
 

境内は丘の斜面に広がっています。鳥居の先に稲を刈り取った田んぼと色付いた小山の連なりが望まれます。

誰一人居ない静かな境内に佇みながら穏やかな風景を眺めていました。2019.11.11

 

拝殿は石積みをされた更に一段高い場所に鎮座しています。鎮守の杜に囲まれた美しい神域の中で深呼吸をしました。穏やかな気配が心に浸透していくような豊かな気持ちになります。狛犬を見たい欲望に一旦封印をしてまずお参りをさせて貰いました。2019.11.11

 
塙町西河内・八幡神社の狛犬・昭和9年(1934年) 石工・後藤豊春

静かな境内に極めてインパクトの強い大型の狛犬が置かれていました。右に置かれた阿像、際限なく創作するエネルギーが注ぎ込まれたような迫力を感じる印象的な石像です。

炸裂するような牡丹の花弁と言い、立ち上がって今にも吠え掛かるかと思うような顔付に暫し見惚れてしまいました。

2019.11.11

右に置かれた阿像から吽像を写しています、阿像の尻尾の周辺の造形にも力が漲っているように感じます。

2019.11.11

昭和8年12月23日の平成天皇の誕生を祝して、昭和9年に奉納されたものと思われます。台座には年号と共に地元・塙町の”後藤豊春”と石工名が彫りこまれていました。これ程の凄まじいエネルギーを石像に注ぎ込める石工の人が居る事に驚きを感じました。訪ねて見なければ経験できない驚きでした。2020年1月6日、同じ塙町の厳島神社で後藤豊春の狛犬に出会うことになります。2019.11.11

 

最初に見た阿像にも大いに心を動かされましたが、左に置かれ吽像を見上げて更に圧倒されました。彫りの精緻さなどを超えた放射する圧力を感じてしまいます。何を形作ったか理解できませんが、前面の子供の狛犬を覆う石を支えに半立ちした姿で私を見下ろしています。2019.11.11

 
吽像の後にも子供が彫られています。千尋の谷に落ちようかと言う姿で台座に縋り付いているようです。2019.11.11

スケールの大きな舞台を一枚の画像では写しとる事が出来ませんでした。少し横からも写してみました。震災で落ちかかったか経年で落ちかかったのか、セメントで一部が補修されていました。

もしかしたら、どこかでこの石工の石像に再度出会えるかもしれないと、今回の旅に楽しみが一つ加わりました。2019.11.11

静かな境内の石段を下りて道路に立ってみました。色付いた小山の連なりと刈り取りの終わった田んぼ、心を和ませてくれる風景が広がっていました。2019.11.11
塙町・八幡神社
八幡神社住所:東白川郡塙町大字常世北野八幡298。

神社は山の斜面にそった2車線の太い242号線の斜面に石段が見えたのでもしかしたらと確かめて見ました。車はその山の脇にある行き止まりの道路に止めました。果たして石段の先に鳥居が見えました。2019.11.11

かなり車の通りがある242号線から石段を登ると静かな境内がありました。

八幡神社の扁額が掛かる拝殿でお参りをさせて貰いました。2019.11.11

静寂と清冽な気配が支配する神域に佇むと、尖った心の緊張が緩やかに溶けだして穏やかな落ち着きを取り戻します。何度となく神社巡りで経験する喜びです。2019.11.11

八幡神社・狛犬・大正1年(1911年)

普通サイズの右に置かれた阿像、経年による欠落が見られますが愛嬌のある表情が感じられます。全体の彫りは簡素です。水郡線の通る街道筋には、それぞれが独自の意匠を持つかなりの石工の人達がいた事が分かります。2019.11.11

 

台座には大正1年(1911年)の文字が見えます(もしかすると大正10年かもしれません)、残念ながら石工名は見つかりませんでした。左の吽像の背中部分から阿像を写しています。簡素な彫りの様子が分かります。2019.11.11

 

左の吽像は欠落などが見られない良い状態を保っていました。やはり優しげな表情の狛犬に見えます。2019.11.11

 

八幡神社・二つ目の狛犬・昭和17年(1942年)
境内の入り口近くにもう一つの狛犬が奉納されていました。若干小型の所謂岡崎式の新しい狛犬と意匠が似ていますが昭和17年の年号が彫られていました。地元の石工の人でもこの定型的な狛犬を彫る人が居たのかもしれません。福島県や栃木県でこの狛犬を見る事は滅多にありません。2019.11.11

八幡神社からの風景です。県境の村を出るときには雨が降りそうな天気でしたがどうやら晴れ間が見えてきました。

八溝山塊の東と、県境の村の西では風景もかなり異なります。目の前に広がる八溝山東側の山はなだらかな曲線を描いています。西側の那須連山の尖った岩肌の山とはかなり印象がことなるようです。

2019.11.11

 

八溝山の紅葉を見る旅はまだまだ先があります。後二つほどの神社に立ち寄りたいと思っています。多分驚きと細やかな感動がそこでは待ち受けていると思っています。2019.11.11

 
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