街の狛犬江戸の狛犬・埼玉県の狛犬川口市④ ① ②
春日神社で酒井八右衛門(井亀泉)狛犬と出会う ③ ➄ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ |
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川口市安行・春日神社・大正3年(1914年)石工 酒井八右衛門(井亀泉・東京文京区)
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思っても見なかったことなのですが、江戸に近く、日光御成街道・奥州街道の通る埼玉県には古い時代の手彫りの狛犬がかなり多く奉納されて居る事がグーグル・マップで分かってきました(勿論とっくに知っている方が多いとは思うのですが)。きっかけは土手のジョギングの帰路、何の気なしに立ち寄った笹目神社の狛犬・天保4年(1833年)狛犬との出会いに始まります。*(禁)無断使用
都内以外にもこれ程多くの江戸の狛犬が居る事は全く考えても居ませんでした。ジョギングを楽しむ馴染みの土手からの自宅への帰路に隣接する場所を中心にグーグル・マップで真剣に探すと、嬉しい事にこの地域の手彫りの狛犬の数は私の想像以上のようです。
11月5日、戸田市と川口市で見つけた狛犬を訪ねてみました。驚いたことに、川口市・春日神社で、石工名も見ずに思わず見惚れた狛犬が”酒井八右衛門・井亀泉(せいきせん)”の刻んだものでした。文京区の根津権現以来の井亀泉の狛犬です、思いもかけない神社での江戸の代表的石工の素晴らしい狛犬との遭遇に大いに興奮してしまいました。◉埼玉県の狛犬マップ参照ください。
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東京の狛犬を訪ねだした最初の頃浅学の私は狛犬は江戸に多くがあると誤解していました。その後、北区の狛犬①・②で日光御成街道沿いの素晴らしい江戸の狛犬を見てはたと思いました。この先の隅田川上流を超えた御成街道筋に同じような狛犬が見られるのではと・・・2018年10日9日、御成街道の街・川口市の神社を訪ねて見ました。まさに大当たりでした。外連味のないすっきりした狛犬が数多く奉納されていました。
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埼玉県の狛犬スライド 日光御成街道やその脇街道の街には嬉しい事に江戸の狛犬がかなり残っています。無駄な飾りを省いた粋な江戸の職人らしい(地元の石工を含めて)狛犬が多く見られるのも大変嬉しい事です。 |
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春日神社住所:川口市安行領根岸1。大きな通りから一の鳥居が見えます、大変分かりやすいロケーンションに加えて鳥居の左には参詣用の広い駐車場を備えてくれています。小山の上の拝殿には石段と坂で上る事になり、それは私の大好きな神社の舞台です。更に神社の社殿は訪れる人の心を落ち着かせてくれる自然の木の色が目立つ佇まいです。
社務所も年末・年始や七五三祝いなどの折だけ開けるとようで、それも感じが良いと思いました。まとまりのある氏子の人々が守っている様子が垣間見えます。
加えて、なぜか”酒井八右衛門・井亀泉(せいきせん)”の狛犬までもが奉納されているのです。当時の氏子の人々がこの石工に依頼することをどうして決めたのか、さぞかしかなりの経済的な負担があっただろうといろいろな苦労を思ってしまいました。しかし、狛犬を見る者にはその英断に感謝するばかりです。2018.11.05
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見晴らしの良い小山の上の社殿は夕暮れの迫る秋の日差しを浴びています。訪れる者を和ませてくれる素晴らしい社です。2018.11.05 |
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大正12年の関東大震災で本殿を除いて多くの建物が倒壊等の被害にあったと書かれています。平成17年に氏子の人々の力でこのような美しい社が再建されたようです。2018.11.05 |
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川口市安行・春日神社・大正3年(1914年)狛犬・石工 酒井八右衛門・井亀泉 |
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、これだけの狛犬を作った石工の名前を知りたくて子細に台座を探しました。3度目の石段登りで薄い左の写真の彫りを見つけて我が目を疑いました。他の彫りよりも遠慮したような薄い文字で”東京 酒井八右衛門刻”と彫られていました。
当時としては鉄道から離れたこの地で、酒井八右衛門の彫りを知り、更に依頼することを決断するにはかなりの知識が無ければならないと思います。素人の推測ですが、この場所は現在、多くの植木屋さんが集まる町です。もしかすると、大正期も植木屋さんが多くその関係で酒井八右衛門の事を知っていたのかとも思われます。私は素晴らしい狛犬を残してくれたこの神社の氏子の人々に感謝して再度神社で手を合わせました。因みに私が訪れた文京区・根津神社の狛犬が井亀泉の屋号と石工・大竹豊吉の狛犬でした。酒井八右衛門縁の文京区役所パンフレットによれば、江戸期から四代にわたり(二代目に養子を迎えて)石工業を続けたと書かれていました。そうするとこの素晴らしい春日神社の狛犬は三代目か四代目の酒井八右衛門が彫ったように思えます。
この狛犬を作った”酒井八右衛門”があの”井亀泉(せいきせん)”である事など、全ては素人の私の推測です、間違っている場合もあります。2018.11.05
*2019.01.29の狛犬巡りの折り、鳩ケ谷氷川神社でこの狛犬と極めて特徴が似た石像に遭遇しました。奉納されたのも2年後の大正5年(1916年・丙辰)と近い事から同じ酒井八右衛門の作品ではないかと推測しています。
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川口市安行・春日神社・拝殿前の狛犬 |
拝殿の前の石段の上にもう一つの小型の狛犬が精一杯怖いを顔付をしてこちらを睨んでいます。私には怖さより愛嬌に見えてしまいます、それ程ユニークな狛犬に感じました。2018.11.05 |
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共に高さは50~60cm程の小型の狛犬です。左に置かれた狛犬が若干口の開きが大きようなので阿像かも知れません。 |
精一杯小さな体で怖い顔をしていますが、私にその懸命さが微笑ましくなりました。右に置かれた狛犬です。
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余りもユニークな姿態の狛犬なので後ろからも撮ってみました。台座は既に破損したのか年号等を見つける事が出来ませんでした。2018.11.05 |
横からの姿を撮影しました。疲れるからやめたらと、狛犬に声を掛けたら突然の大笑いが聞こえるように感じます。
愛嬌のある良い狛犬に出会いました。酒井八右衛門・井亀泉(せいきせん)の正統派の狛犬は勿論大きな感動を与えてくれますが、このようなユニークな石像も私は好きなのです。2018.11.05 |
拝殿の柱の木鼻狛犬の彫りも中々美しい木彫です。左と右の木鼻に彫られていました。2018.11.05 |
二つの木鼻の間は龍が彫られています。2018.11.05 |
既に夕方の気配が強くなった境内、午前中の土手のジョギングから濃密な時間を過ごしました。過ぎ行く一日に思いを馳せながら大きな満足感に心は満たされています。家に着く頃はヘッド・ライトが点灯する時間でした。2018.11.05
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戸田市・下前稲荷神社:戸田市下前2丁目6−4 |
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今回の”街の狛犬・江戸の狛犬巡り”はジョギング帰りの神社巡りとしては想像以上に中身の濃い狛犬との出会いでした。最初の川口神社での5つの狛犬との出会いには度肝を抜かれた程の驚きです。更に最後の春日神社で、江戸を代表する石工の一人である”酒井八右衛門”・”井亀泉の狛犬に出会うという思いもしない幸運に当たりました。神社巡りの御利益かも知れません。
ジョギングはまだまだ続けられそうなので、まだ見ぬ狛犬をグーグル・マップで探して訪れる楽しみが多く残って居そうな予感がしています。川口市の狛犬巡り2018.11.05分①②③④終わり。
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02/22/2019 |
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