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棚倉町・根渡神社狛犬・大正11年(1922年)禁・無断転載

凡そ一か月ぶりに県境の村にやってきました。その間、グーグル・マップなどで幾つかの神社を探して目星をつけて置きました。駐車の場所や狭い道路の状態と調べる事と心配の種はきりばありません。

白河市の彫刻師・野田平業の狛犬を探して出かける事にしました。平業の故郷は城下町の白河市横町、その東にやはり城下町の棚倉があります。さすが白河周辺では中々私にとっての新しい狛犬に巡り合う機会は少なくなってきました、今回は久し振りにおっとりした佇まいの城下町にある棚倉の社を訪ねて見る事にします。棚倉町の狛犬一覧とマップ

白河市の狛犬・彫刻師・野田平業について2018.06.25

2018.06.25・狛犬を訪ねて№22・棚倉町の狛犬平業の狛犬を訪ねての神社参拝順路

熊野神社⇒②羽黒神社⇒③八幡神社⇒④秋葉神社⇒⑤白山神社⇒⑥近津神社⇒⑦住吉神社⇒⑧御霊神社⇒⑨三島神社⇒⑩⇒根渡神社天王神社

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棚倉町・東白川郡の狛犬マップと一覧表
  ◉白河市棚倉町狛犬一覧とマップはこちらです。

棚倉町・根渡神社

根渡神社住所:棚倉町強梨大石312。交通量の多い60号線の脇にある神社です。三島神社とは指呼の間にあります。車を止めるのにかなり苦労しました。道路脇の少し広い場所に止めさせて貰い歩いて参道に向かいました。2018.06.25

社はこの鳥居を潜り石段を登った先にあります。私の好きな山の高みに登る神社です。
   

石段を登ると原っぱ状の境内が見えます。古そうな狛犬が神域を守って居ました。石工の名前は見つけられませんでしたが大正11年(1922年)と推定される年号が彫られています。2018.06.25

棚倉町・根渡神社狛犬・ 大正11年(1922年)

右に置かれた阿像と思われる狛犬、大きな目玉と不敵な風貌、迫力を感じる造形です。

彫りはそれ程緻密には見えませんがバランスがとれた狛犬、私の記憶では白河近辺で見られる意匠とは若干異なっているように感じます。それだけに新鮮な印象を受けました。

素人の単なる印象ですが、隣町の浅川町弘法山公園文殊菩薩堂の石像を思い出しました。大らかな作りで、見る者に柔らかく訴えてくる作りが何処か細やかな類似性を感じました。

 

2018.06.25

右の阿像から吽像の方向を写しています。少し見慣れた狛犬と印象が違うと感じたのが少し横方向から見てその理由の一端が分かりました。足も体も少し太目だからかもしれません。2018.06.25

左に置かれた吽像と思われる狛犬です。玉が彫られています。顔付や大きな目の風貌、若干太目の外形等の特徴が見られますが面白い造形だと感じました。

見慣れない新しい狛犬に出会えたことは大きな楽しみでした。

2018.06.25

 

参拝を済ませて杉木立の石段を下る事にします。何処の社も緑が一杯です、それは目を、そして心を優しく癒してくれます。その場所の自然の風景に応じて祀られている神社の佇まいは見ていて飽きる事がありません。2018.06.25
棚倉町・天王神社

天王神社住所:棚倉町天王内大窪29。一般的に神社の住所は拝殿の位置を表示している事が多く入り口は全く異なっている場合がしばしば見られます。この住所もグーグル・マップでは山の中の社の在り場所だと思われます。

カーナビには神社入り口から440m程白河寄りの同じ289号線にある鮫川運送の住所(東白川郡棚倉町金沢内前山割112)を入れると良いでしょう。

狛犬は車の往来の激しい289号線の道路沿いにありました、何度かこの道は通っていますが狛犬が置かれた居た事には全く気が付きませんでした(最も狛犬と神社に興味を持ちだしたのはここ数年前からなので目がいかなかったと思われます)。車は神社の反対側の多くの供養塔が奉納されているスペースに慎重に止めさせて貰いました。

拝殿は長い杉木立の参道を辿り石段を登った美しい小山の斜面にありました。広々としたその緑の広場は、私が思う神社の有るべき場所は此処かと思えるほど素晴らしく、歓声を上げたくなる気持ちを抑えました。思い出に残る素晴らしい神域でお参りをさせて貰いました。2018.06.25

右は白河、左は棚倉、かなり交通量の多い289号線線の道路脇に狛犬が居た事が少し意外です。

狛犬と石灯籠が参道の始まりを教えてくれていますが、草深い道の先に果たして社が有るのかと不安になります。古峯神社の石柱が見られるので一緒に祀られているようです。2018.06.25

 
棚倉町・天王神社狛犬・昭和3年(1928) 石工・白河市カラメ(搦目) 関根国三(沼石)

右に置かれた吽像のように見えます、阿吽像の位置が通常とは逆に置かれているようです。

大きさは通常ですが全体的に丸みを帯びた太めの造形に見えます。

凡そ90年前の狛犬としてはかなり綺麗な状態で残っています。玉は籠彫りではありませんがそれはそれで素朴な印象を受けます。

見応えがある良い個人的には好みの狛犬です、何度も周りを回って鑑賞しました。2018.06.25

吽像と思われる右の狛犬から阿像を見ています。目の前は289号線で車の通行量がかなりありますが全く気になりません。2018.06.25
左に置かれた狛犬は口の開きが右の狛犬より大きい感じがするので阿像ではないかと推測します。彩色が施されているようで一層見栄えが良いようです。2018.06.25

台座に昭和3年の年号と”石工 カラメ 関根国三”の文字が見られます。この文字から天王神社から近い”関根沼石”の名が刻まれた白河市表郷・五龍地神社の狛犬を思い出しました。カラメは白河市の”感忠銘”の見られる”搦目”で、五龍地神社の狛犬の作者は”関根沼石”と記されていますがこの”国三”が本名と思われます。白河の石工を参照ください

この関根国三の狛犬は関根沼石銘の五龍地神社の狛犬とは余り類似性が感じられませんが、同じ関根国三銘の角折神社・田島(大正10年)の石像とはかなり似ています。 2018.06.25

 

狛犬の間から続く細い参道らしき雑草の中の踏み跡を辿ります。一の鳥居を過ぎて、日の光が杉木立で遮られてきます、お陰で雑草がなくなり歩き易くなりました。静寂に満ちた薄暗い杉が林立する森の中の細い道を更に進みます。2018.06.25

杉木立の参道を暫く進んでいくと行き止まりとなり右に道が折れていきます。眼前の杉木立の中の木漏れ日が漏れる先に広い台地が見えます。石段に続く社が望まれます。何か物語に出てくるような荘厳な場所にやってきました。2018.06.25
どこか山奥の一角かと思われる美しいさ台地に建つ拝殿で参拝をさせてもらいました。今までも幾つかの社でこのような驚きを経験しましたが今日も又一つ素晴らしい神域に足を踏み入れる事が出来ました。

長い石段を下り杉木立の参道を戻ります。入り口の雑草で覆われた参道からは、想像も出来ない素晴らしい神社の佇まいを見る事が出来た満足感で心が満たされています。2018.06.25

車の行き交う明るい289号線まで戻ってきました、夢からさめたような感覚です。大袈裟ですが、結界を超えて入り込んだ神域から戻った感覚です。2018.06.25

 

最後に左の阿像から右の吽像を眺めてシャッターを押しました。

目的とした棚倉町の全ての社をつつがなく回れた事がそもそも大きな幸運と思っていましたが、最後の社で更に感動する風景の中でお参りが出来た事で今回の棚倉町の狛犬を訪ねる旅は更に印象深いものとなりました。2018.06.25

№22・棚倉町の狛犬①②③④で都合9体の野田平業の狛犬(推定を含めて)を訪ねる事が出来ました。最後の⑤で平業以外の石工の狛犬を二つ訪ねると言う今までに経験したことが無い程の多くの狛犬を目にすることが出来ました。№22・棚倉町の狛犬・終わり。2018.06.25

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2019年7月27日
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