狛犬を訪ねて№28・白河市から須賀川市の狛犬を訪ねて③玉川村と須賀川市 ①へ ②へ  ④へ 

 

◉玉川村・若宮八幡神社狛犬・彫刻 鈴木嶽芳 政武・昭和10年と
 ◉須賀川市・神明神社・年代・石工名不明の狛犬      *禁・無断転載

2019.05.27の”狛犬を訪ねて№28・白河市から須賀川市の狛犬を訪ねて①”の続編になります。グーグルマップで探してかなりの神社を訪ねてしまった今では、新しい狛犬(私にとっての未見の)を見つける事がだんだん難しくなってきています。

それでもこの福島県南には信じられない事ですが、まだまだ鎮守の杜に守られた静かな神域と驚きを与えてくれる狛犬があることを今回の旅で思い知りました。偏に神社を護る氏子の方々のお陰だと、ただの参拝人の私が清掃の行き届いた社の前で何時も感じているところです。2019.06.24

2019.06.24・狛犬を訪ねて№28・白河市から須賀川市の狛犬を訪ねて・神社参拝順路
◉その1記載分 ①泉崎村・熊野神社⇒泉崎村・関和神社⇒白河市東蕪内・名知らずのお堂
◉その2記載分 ②矢吹町・御霊神社⇒玉川村・大雷神社⇒玉川村・鹿島神社
◉その3記載分 ③玉川村・若宮八幡神社⇒須賀川市・神明神社・八幡神社
◉その4記載分 ④須賀川市・羽黒神社⇒白河市・日吉神社⇒白河市・名知らずのお堂
参考資料
白河市の狛犬マップはこちらです。   ◉白河市の狛犬スライド ◉白河市の狛犬一覧
白河市の石工
玉川村・若宮八幡神社

若宮八幡神社住所:石川郡玉川村竜崎四斗蒔。県道118号線の脇にあり頭上を水郡線の鉄橋が横切っています。有難い事に旧道と思われる2車線の分かりやすい場所にありました。車は道路脇の広くなった草地に止めさせてもらいましたが、石段を登ってから分かったのですが、神社の社の横にスペースがあるようです。

雨が強くなり傘を片手に持って撮影する事になりました。2019.06.24

一の鳥居の脇に大きな狛犬が奉納されていました。嬉しい事に私には馴染みのないユニークな姿の大型の狛犬に出会う事になりました。今日の狛犬を訪ねる旅では3回も僥倖に恵まれたことになります。左の吽像はご神木の杉の大木の葉陰にある為渇いていますが、そのような保護の無い右側の阿像は雨に濡れています。

長い石段の続く参道の周囲には鬱蒼とした鎮守の森の幽玄な風景が広がっています。2019.06.24

ご神木の脇から薄暗い石段を登りだすとあたかも清冽な気に満ちた別世界の雰囲気がしてきます。それは極めて心地良く、社までの石段登りの間には心の緊張が解ける時間が待っています。2019.06.24

 
石段登りの途中から後ろを振り返ました。明るい道路の前には狛犬が静かに佇んています。

二の鳥居から下を振り返ります。社はもうすぐです。

木立に囲まれた静かな台地の頂に鎮座する社でお参りをさせてもらいました。2019.06.24

何故なのかは分かりませんが、参拝を済ませると普段の暮らしの間絶え間なくチクチクと心を刺している数多の緊張の針が抜けるような気分です。この穏やかな解放感は何時も感じる得難い時間です。2019.06.24

拝殿の右に美しい佇まいの摂社が鎮座しています。社の名前は分かりませんでした。近くには石の社が奉納されています。辺りは神様の鎮座するにふさわしい静寂の世界が広がっていました。2019.06.24

玉川村・若宮八幡神社狛犬・彫刻 鈴木嶽芳 政武・昭和10年

右に置かれた阿像です。またまたその大きさ(若干大きい程度ですが実際より大きく見えます)と意匠に驚かされたました。

元々は大きな丸い目を持つ優し気な顔立ちなのでしょうが大きく口を開けて吠え掛かるような迫力を感じます。彫の精緻さは普通に見えますが動きのある造形に見惚れてしまいました。

所謂玉取りの意匠で、鬣部分がかなり強調されているように見えます。

配置の位置関係で阿吽像を一緒に撮る事が出来ないの、右に置かれた阿像を横からも写してみました。やはり違和感のない良い造形に見えました。2019.06.24

左の吽像、いわゆる子取りの意匠です。右の阿像より表情の厳しさが和らいだように見えます。個人的な印象では阿像より鬣部分の彫に柔らかみが無いようで全体に直線的な印象を受けました。

2019.06.24

左に置かれた吽像を後方から写してみました。こちらかの造形は曲線的な線が多く全面より私にはリアルな造形に感じます。2019.06.24

 

左の吽像の台座の文字です。雨に濡れていないのでかなりはっきり文字が見えます。鈴木嶽芳・政武により彫られた狛犬を小林寅治・車田貞二の二人の石工の人が昭和10年7月に据え付けたと推定されます。

偶然、この若宮八幡の前に訪れた近くの鹿島神社でこの小林寅治の作った石碑を目にしていました。”小松寅吉”と随分似た名前だと写真を撮りました。

右に置かれた阿像に彫られた文字です。”彫刻” 鈴木嶽芳 政武”その下に”處”(処の古字ではないかと推測しています)らしき文字が見えます。”處”はそこにある事を示すと思われますので同居する子供の意味か彫り師の意味か、全てが素人の推測になります。昭和9年に伊勢神宮に参宮したと彫られています。

雨は未だやみそうにありません、これから長い石段を下る事にします。此処までの旅は望外の幸運の連続です。道を失わずにたどり着けたこと、行き止まりにも遭遇もせず、車も擦らなかった事は信じられません。

絶対に無理をせずに駄目そうなら諦めると心に言い聞かせながらの旅ですが、今のところ大きな逡巡もなく手際よく神社を巡る事が出来ています(もっともこの先の事は分かりませんが)。2019.06.24

須賀川市・神明神社・八幡神社 
神明神社神社住所:須賀川市狸森飯豊175

カーナビに導かれるままに走っていると駐車場まで整った美しい神社の前にスムースに到着しました。途中の道もそれ程怖い思いもしなかったことは今回の旅の特徴です。

素晴らしい狛犬と静かな参道の先の神域の全てに巡り合う事が出来ています。大変有難いことに鳥居の左にはかなり広い参拝用の駐車場がありました。心置きなく参拝が出来ます。2019.06.24

二の鳥居には神明神社と八幡神社の二つの神社名が記されていました。入り口の御由来によれば宝亀二年(辛亥・771年)に伊勢大神を勧請して神明宮を創建したと書かれています。その後に創建された八幡神社を合祀していると書かれています。

2019.06.24

狛犬を見たいのですがまずお参りと長い石段を登ります。登りだしてすぐ三の鳥居を潜りました。下を振り返っています。

雨が上がり新緑の緑がその美しさを増しています。心を穏やかにしてくれる参道をゆっくりと登りました。2019.06.24

木立が光を塞ぐ薄暗い参道の先の明るい台地の頂に社が見えてきました。深呼吸をして滋養に満ちた気配の空気を胸一杯に吸い込んでからお詣りをさせてもらいました。2019.06.24
境内の右手に幾つかの摂社が鎮座しています。それぞれに奉納した氏子の人達の思いがこもった社なのでしょう。2019.06.24

神明神社の二の鳥居の先に奉納されている狛犬を見て再度驚いてしまいました。かなり大型の阿吽像が参道を護っています。2019.06.24

須賀川市・神明神社狛犬・年代・石工名不明

右に置かれた阿像、大きさもかなり大型で躍動する姿に惹きつけられます。少し角張りすぎる顔の輪郭に若干の違和感を感じますが力が漲る狛犬の姿態は大変素晴らしいと思いました。

暫く周りを回りながら心行くまで鑑賞させてもらいました。多分私には初めて目にする石像だと思われますが名前が知れないのは誠に残念な事です。これ程の彫りのする石工の人が存在している事にも驚いています。2019.06.24

左の阿像から右の吽像を写してみました。やはり躍動が際立っているように見えます。台座の周りを回って石工名や奉納された年月の文字を探したのですが、経年の為に消えてしまったのか見つける事が出来ませんでした。2019.06.24

台座を探したのですが、年号や石工名の手がかりとなる彫りはこの文字しか見つけられませんでした。ハッキリとは断定は出来ませんが”皇太子殿下xxx記念”ではないかと推測しました。そしてこのxxx(もしかするとxxの2文字かもしれません)の中に”誕”らしき文字が見えます。そうすると皇太子殿下御誕生記念と書かれたのではないかと推測されます。

現天皇陛下のご誕生は昭和35年(1960年)、上皇様のご誕生は昭和8年(1933年)になります。彫りの状態やこの地方の狛犬の奉納状況(明治の狛犬が極めて少ない事など)などから昭和8年の奉納ではないかと推測しました(全く的外れの恐れがある事を前もってお知らせしておきます)。2019.06.24

左の置かれた吽像と思われます。右の阿像と同じく躍動する姿が表現された見応えのある狛犬です。個人的には顔の表情に若干の柔軟性が欲しいと思いました。本日の狛犬を訪ねる旅は素晴らしい狛犬と鎮守の杜に守られた神域が待っていてくれたようです。 2019.06.24

この石工名が不明の狛犬の意匠を見て直ぐに西白河郡中島村・川田神社の小松布孝の狛犬・明治25年(1893年)を思い出しました。両者は極めて類似した意匠です。異なる意匠の狛犬でも十分完成度の高い作品が作れる腕の石工と思われますので、類似の石像を作るには何かの事情や目的が有ったのではないかと推測しています。ただ、それが後世に伝わっていないかもしれませんが...

鎮守の杜に守られた薄暗い石段を下ります。雨が止んだことで気分が更に高揚したようです。下り道の行程を堪能しています。2019.06.24

二の鳥居まで戻ってきました。舗装された参道が道路まで続いています。田圃は稲の緑の絨毯が広がっています。秒単位の暮らしが続く街とは異なる静かな時が流れています。

まさに、このような場所で暮らす人々を羨ましく感じる時です。2019.06.24

広い神社の駐車場まで戻ってきました。此処なら車の中で持参のお茶を飲んで休憩をしても罰は当たらないでしょう。雨が上がった田んぼの緑が一層鮮やかな色となって目を射ます。2019.06.24

③でも驚かされる出来の良い狛犬に出会うことが出来ました。国道四号線の東側には珍しい意匠の良い狛犬と静かな神域が見られる神社が多いように感じました。 2019.06.24

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2020年1月11日
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