夏休みの狛犬巡り その5・那須の狛犬       

大田原市上石上・温泉神社狛犬・大正11年(1922年)  (禁)無断転載
 
2019年夏季休暇の狛犬巡りと奥の細道を辿る旅

2019年、今年は少し長い夏季休暇をとり県境の村の手入れをしなければと早くから仕事の段取りを整えました。8月17日から27日まで休暇を取り、いつもは慌ただしくて行き届かなかった家の手入れに身をいれました。ゆっくりと草刈りやペンキ塗りなどの雑事をこなしながら、滞在中に鳥海山に登ろうと思い鳴子温泉に2泊しましたが、あいにくの天候悪化でそれも叶いませんでした。

岩波文庫の”奥の細道(曽良の旅日記が含まれた)”を手に塩竃⇒松島⇒尾花沢と芭蕉と共に旅をした思い出が大きく残りました。多くは芭蕉の見た風景とは大きく変わっているでしょうが、心の目で見る私の感慨はそれ程違和感を感じません。大きな思い出の残る旅となりました。私が陸奥に惹かれるのにはこの芭蕉と曽良の文章で知らしめてくれる文物に出会えることにありそうです。岩波文庫・奥の細道を参照しています。

奥の細道を訪ねる旅の途次、幾つかの神社に立ち寄り中々訪れる事の出来ない遠隔地の珍しい狛犬に接する機会が持てました。県境の村近くの栃木県・福島県南部・東京都・埼玉県の狛犬しか目にする機会がなかったので、私には多くが見慣れない造形が多くその多様性に改めて目を開かさられました。

たまたま、南東北2泊3日の間、高速乗り放題で¥7,500と言うサービスを見つけて利用しましたがほぼ元を取っておつりがくるほど高速を利用する事が出来たお陰で旅の思い出が更に膨らむ事になりました。それにしても今回は途中で記録を消したしまいましたが街からの走行距離は1,500kmを超えたのではないかと思っています。

8月27日、街への帰宅一日早めて途中大谷の奇岩を見物する事にしました。やはり10日も県境の村に居るといささか帰心が募るのかもしれません。どうせなら大谷石の産地を尋ねながら、その途中にあって中々訪問が叶わない那須地方の狛犬を訪ねて見る事にしました。泥縄式なのですが、県境の村の近くの図書館のWi-Fiにノート・パソコンを接続してグーグル・マップで訪問先の知識を得ました。2019.08.27

2019年8月・夏休の狛犬巡り一覧
宮城県 塩竈神社@A B鳴子温泉神社 B亘理神社
福島県 C中村神社 C相馬神社  
栃木県 D東那須野神社 D温泉神社 D温泉神社
E加茂神社 E熊野神社 E多気山不動尊
別稿・F大谷資料館  

奥の細道と狛犬巡りを合わせて夏休の旅を行いました。上記別稿の旅の細道を合わせてご参照ください。

*奥の細道を参照ください・旅の奥の細道・目次・2019年8月22日〜24日 
@塩竈神社 A松嶋・雄島 B尿前の関・封人の家C山刀伐峠

 

奥の細道と今回の旅の地図 *2019年訪問地 は狛犬編

@は狛犬巡りと一緒に回った”旅の細道”掲載分 松島から尾花沢@塩竃 ・AはA松島 B尿前の関  C山刀伐峠 掲載分。尚 は旅の細道と一緒に訪ねた狛犬編

那須塩原市・東那須野神社  奥の細道参照
東那須野神社:那須塩原市東小屋474−3

街に帰る車の中は買い付けた果物や野菜類が満載です。かさばる尾花沢スイカは勿論、県境の村の隣の人からも沢山の野菜を貰いました。

最初の目的地は東北新幹線の那須塩原駅近くの東那須野神社です。狭い道を進んで行くと神社は直ぐ見つかりました。車も境内の隙間に停める事が出来たのは幸運です。

2019.08.27

 

参道は狛犬の間を抜けてから右に曲がります。鳥居の先に拝殿が見えます。2019.08.27

 
東那須野神社狛犬・大正8年(1919年)

若干ずんぐりした体形の狛犬に見えます、ただ昔の石工の作らしく全体の形に違和感は感じられません。右に置かれた阿像、歯も一つづつ丁寧に彫られています。

付属品を彫り込まないシンプルな仕様の狛犬は、他の彫りに目を奪われる事無く本体だけをじっくりと鑑賞できる事から、個人的にはそれはそれで大変好ましい意匠なのです。外径は若干小さ目かもしれません。2019.08.27

阿像から吽像を写しています。背中部分から尾の部分の彫りもあっさりとしていますが、全体のバランスが取れているので心静かに鑑賞ができました。

台座に石工名は見つかりませんが大正8年の年号が彫られていました。ほぼ100年前の狛犬になります。2019.08.27

左に置かれた吽像、阿像と同じく全体が若干扁平な感じを受けますが吽像の顔の表情もやはり活き活きとしているように感じました。

この次に訪れた同じ那須塩原市の温泉神社でこの狛犬と同じ石工の作と推測される石像に遭遇します。この事からも地元の石工の作品ではないかと推測しています。2019.08.27

 
那須塩原市・温泉神社
 

温泉神社住所:那須塩原市大原間210。陸羽街道から少し狭い道に入った場所に鎮座していました。辺りは家に囲まれていますが、神社の左横に車を停めるスペースがありました。これで安心して参拝が出来ます。雑草の繁茂する夏の季節のせいか、境内はかなりの雑草に覆われていました。2019.08.27

入口の鳥居の扁額が落ちていました。もしかすると数年前の東北の大震災の時に落ちたのかもしれません。拝殿の前まで行って見ましたが雑草に阻まれて近づけません。此処から手を合わせて参拝をさせて貰いました。2019.08.27

 
大田原市温泉神社の狛犬・ 昭和15年(1940年)

 

 

 

右に置かれた阿像と思える狛犬は残念ながら顔面が若干剥離していました。この辺りでも冬は那須連山からの吹きおろしがあるのでかなり気温が下がる日があります。多分氷結が破損の大きな原因ではないかと推測しました。台座に石工名は見つかりませんでしたが、年号の彫りこみから各地で見られる所謂”皇紀2600年”を祝って奉納された狛犬のようです。2019.08.27

阿吽像に雑草が絡まっています、ただこの雰囲気は二つの狛犬にあたかも、林の中の生き物のような印象を与えているようにも見えました。吽像から阿像を見ています。2019.08.27

左に置かれた吽像は保存の状態が良好です。この狛犬を見て先ほど訪れたばかりの那須塩原市の東那須野神社の狛犬と同じ石工の作品ではと思いました。

素人の推測なので間違っている場合もありますが、そうだとすると地元の石工の作品の可能性が高くなりそうです。2019.08.27

 
 
大田原市上石上・温泉神社
温泉神社:大田原市上石上1555−2

那須地方の神社には温泉神社の名前が多量に付けられています。今日で既に二つ目です、区別をつけるために地名を付記しました。

上石上の温泉神社は4号線から太い道を右に曲がると直ぐ見つかりました。杉木立が日陰を作る境内の美しさに見惚れています。丁度神社の拝殿に大工さんの手が入っているようです。地元の大工さんでしたが今時神社の修理を出来るような大工さんならさぞかし腕の確かに人なのではと思いました。丁度休憩中だったのでお参りさせてもらう許しを得ました。2019.08.27

足場の隙間から拝殿の前に出てお参りをさせて貰いました。2019.08.27

 
大田原市上石上・温泉神社狛犬・大正11年(1922年)

若干大型の見応えの独特な風貌の狛犬が奉納されていました。2018年12月31日、 大田原市鍛冶屋の西郷神社で見た大正11年(1922年)の狛犬とそっくりの風貌です。ほぼ同じ石工の作品と推定できると思われます。そして偶然にも二つの狛犬は同じ大正11年に彫られています。2019.08.27

阿吽像の間は工事用の足場が空間を埋めています。

阿像から吽像を見ています。顔の表情にも体の線にも動きを感じさせる私には好ましい狛犬に見えます。

 

左の吽像です、やはり極めて独創的な風貌の狛犬です。余り類似の風貌を目にした記憶がありません。

昔の石工達の層の厚さが分かります。一日がかりの古い時代の狛犬巡りでは、ほぼ一回は心に強いインパクトを残す狛犬で出会える事が少なくありません。2019.08.27

 
境内の説明板です。”城鍬舞”と言う踊りの由来とこの温泉神社の秋の例祭に奉納されると書かれていました。2019.08.27
 

相馬中村神社を参拝して今年の夏休みの旅の目的地をほぼ回る事が出来ました。奥の細道の痕跡を探しながらの旅は何処も静かで存分にその地の風景や風土を楽しむことが出来た事は大変幸運でした。

街への帰宅を一日早めて大谷へ立ち寄る旅の途次の狛犬巡り、やはり訪ねてみてこその驚きや喜びに巡り合うことを再確認しました。今回の目的地大谷石採掘場跡の大きな洞窟までにはまだまだ新しい出来事との遭遇が期待できそうです。2019.04.24

 
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