狛犬を訪ねて№26・白河の小松布孝の狛犬を訪ねて①  へ ③へ 

 

白河市・八雲神社狛犬・明治28年 (1896年)小松寅吉(布孝) 推定禁・無断転載

平成最後の元旦の朝です。県境の村は一面真っ白です。日当たりだけは良いので、太陽の光を受けて室内ではそれ程の寒さを感じません。私は静かな社を巡って初詣の梯子をするつもりです。2019.01.01

秋に大根を植えた畑は一面の雪です。遅れた季節に植えた上にそのままにして居たのですが雪を掘ると健気な事に小さな大根になっていました。数本を掘りだし食べました、更に数本は街に持ち帰る事にします。

辺りの風景はまさに寒々とした冬景色、風がそれ程強くないのは大助かりです。

グーグル・マップで探していた幾つかの神社を訪ねるつもりです。狭い道には無理に車で踏み込まない事再度心に決めて出発です。元旦は白河市内の社を回る事にしますが、グーグル・マップでは狛犬の有無や神社の存在も確認は出来ません。不安な出発でしたが、地元の方の親切で想像も出来ない幸運に出会うことになります。2019.01.01

2019.01.01・狛犬を訪ねて№25・①白河市の狛犬を訪ねての神社参拝順路

◉その1記載分 ①大和田・八幡神社狛犬⇒②大観音前・八雲神社 

◉その②記載分 三峰神社矢吹神社三光稲荷滝八幡五龍神社

白河市の狛犬マップはこちらです。   ◉白河市の狛犬スライド ◉白河市の狛犬一覧
白河市の石工
 
白河市・鶏子神社

駐車に付いて:車道から参道に入る道に車が入りました。大急ぎで石段を登ってみましたが狛犬は見られませんでした。グーグル・マップでは写真の通りの社柱が見えたのでもしかしたらと思って訪れて見ました。参拝を済ませて急いで車を出す事にします。鶏子神社住所:白河市萱根鳥子前。2019.01.01

白河市大和田・八幡神社
八幡神社住所:白河市大和田中内38。

カーナビに従って走っていくと右手の山の際に鳥居が見えました。集落の前の道路の広いスペースに車を止めさせて貰いました。神社まで普通の車で入る事は出来そうにありません。既に実が落ちそうな柿の木がある辺りから田圃の中の道を30m程進むと鳥居の下に出ました。田圃も薄く雪で覆われていました。元旦ですが神社には誰も居ません。2019.01.01

石段を登って参拝をさせて貰います。2019.01.01
社の前から下を見下ろしています。狛犬と鳥居の先に雪で覆われた白い田圃が見えます。集落は少し右側にかたまっていました。2019.01.01

白河市大和田・八幡神社狛犬・石工 大高三二・昭和24年(1949年)

右に置かれた狛犬は口が開き気味です、阿像と思われます。

格別彫りが精緻とは見えませんがほのぼのとした印象を与えてくれる狛犬です。新しい年の初めに出会う狛犬には最適です。

台座に刻まれた大高三二という石工は白河の神社では時折目にする人です。この狛犬のサイズは若干小さ目のようです。2019.01.01

阿像から吽像を写しています。背中もあっさりとした彫りです。2019.01.01

左に置かれた吽像、所謂子取りという意匠で子供が彫られているようですが経年の摩耗のせいかハッキリと見えません。丸い目が穏やかな表情を生み出しています。2019.01.01
白河市・八雲神社
八雲神社はグーグル・マップで探して訪れました。最初から神社の存在もまして狛犬が居る事も不確かでした。確かに階段のマークだけがもしかしたら神社が有るかもしれないという淡い期待で訪れました。

それらしい石段を探して登ってみましたが石の社があるだけで、犬に吠えられてすごすごと車に戻ります。途中の道から雪の那須連山が見えるのが慰めです。

車の傍で偶然集落の方に出会いました。駄目でもともとと八雲神社がありますかとお尋ねすると有るとの事、先ほどの石段の話をするとそれではなくあちらにあると指差すのです。所用で通りに出てきたようなのですが、案内をしてやるとのお申し出に恐縮してしまいました。余所者が一人で踏み込むにはいささか躊躇する集落の中の人家の脇の細い道に神社はありました。道々、狛犬を見に来たことを話すと、石工の名前は言いませんでしたが、有名な人が彫ったようだとの事、まさに不運から幸運へのどんでん返しです。

200km近くの旅が無駄にならなかったのです、入口まで送っていただいた方に私は深々とお礼の為に頭を下げました。2019.01.01

白河市・八雲神社
八雲神社住所:白河市大観音前。長い石段を登ると社がありました。お参りをさせて貰いました。静かな社で小松寅吉との思いもよらない遭遇に感謝をしました。2019.01.01

案内をしてくれた方のお話の通り震災の為にかなりが倒壊した様子がわかります。ただ、無事に見える狛犬、石灯籠等の重厚な造りに驚いてしまいました。氏子の人々がかなりの負担をした事が分かる見事な石像類に期待が高まります。2019.01.01

巨大な石灯籠の脇を抜けて狛犬に近づいてみました。狛犬が有る事さえ不確かだった神社にある大きく迫力あるその姿にまさかと胸の鼓動が高まります。石像が私に与える強烈な印象は尋常ではありません。案内いただいた集落の方の有名な人が彫ったという話は信じられない事ですが小松寅吉ではと思えるのです。我が目を疑う驚きです。

神様は昨日の大田原市西郷神社とこの元旦の日の八雲神社と二日続きのご褒美をくれたようです。狛犬が見られれば良い、少なくても社があれば・・と出掛けて来た場所は、白河市・借宿・羽黒神社と同じく寅吉だらけの信じられない神社でした。2019.01.01

 

白河市・八雲神社狛犬・明治28年 (1896年)小松寅吉(布孝) 推定

右に置かれた阿像、台座も大きく狛犬のサイズも大きめです。このような意匠の寅吉の狛犬の中ではかなり豊かな表情に彫られているように感じます。(石灯籠の小松布孝の文字を見ていたのでほぼ間違いなく寅吉の狛犬だと思いました)

動き出しそうな姿は寅吉の狛犬を見て何時も感じる事ですが、この狛犬はより動的な印象を受けました。

2019.01.01

左の吽像から阿像を写しました。彫りもそうですが、吽像のこの少し横向きの表情が私には寅吉の狛犬だと思わせます。

探したのですがこの狛犬には寅吉の名前は見つけられず年号だけが彫られていました。ただ、この彫りや意匠・姿態などは十分に寅吉の狛犬と推定できる印象ですが、この前に立つ大きな石灯籠に小松布孝の名前が彫られている事も推定の根拠となりそうです。2019.01.01

左に置かれた吽像、子供が2頭甘えているようです。それを知らぬげに少し拗ねたような横向きの姿が、私にはとても動きのある寅吉独特の吽像だと感じています。

2019.01.01

打倒された石像

狛犬の後ろに精緻な石像が落ちています。多分狛犬の前に立つ大きな小松布孝作の石灯籠の一部ではないかと思いました。

震災は惨い事をするものだと、無残に打倒された石像群や鳥居を見ていると切実に感じます。精魂込めて作られた寅吉の精緻な石像も自然の力には抗しがたく地面に落ちています。2019.01.01

石灯籠には”福貴作・小松布孝・65年調刻”と刻まれています。下に落ちた龍らしい見事な彫りの石像が見えます。

裏返しになった下段の写真は雲を表現した彫りに思えます。2019.01.01

 
長い石段を登り参拝をさせて貰うことにします。
石段の周りは美しい竹林が広がっています。

竹林の美しい長い石段の境内を存分に楽しませてもらいました。全く思いもしな小松布孝の石像群との遭遇に興奮が中々収まりそうもありません。そしてそれは大きな喜びを伴った感動が引き起こしている事も十分承知しています。私には十分すぎる神様のお年玉でした。

鳥居まで戻ってきました、大きな鳥居は残念ながら震災で倒されてしまっているようです。寅吉の石像群との遭遇は思ったより時が早く流れたようで辺りが少し薄暗くなりました。県境の村に帰る時間です。2019.01.01

車を止めた場所まで戻ってきました。火の見櫓の先には夕方の近い事を知らせる気配が漂っています。那須山は既に雲に覆われていました。この社は集落の中の人家の横に入り口があります。訪れる折には、生活の邪魔にならないような細心の心遣いが求められるような気がします。

今回は、全く想像もしない幸運に恵まれました。私にはその幸運を示してくれた、氏子の方の親切が強く心に残ります。しばしば狛犬巡りの場所でこのような親切な心に接する事が、狛犬に巡り合うことと同じかそれ以上の思い出を私の心に刻んでくれます。それはそれはとても大きくそして豊かな楽しみなのです。2019.01.01

小松寅吉(布孝)石像一覧 は推定

素人の第一印象で推定したものも含まれて居るので間違っている場合もあります。
関和神社等は確信が持てないので外してあります。

明治25年 1893年 西白河郡中島村・川田神社(旧川原田神社)小松布孝狛犬
明治26年 1894年 白河市・借宿・羽黒神社の狛犬と松平定信歌碑の柵
明治28年 1896年 石川町煙草神社・小松寅吉(布孝)馬の像
明治28年 1896年 白河市大観音前・八雲神社狛犬とその他石像群 一部推定
明治31年 1898年 白河市田島結城ヶ舘・角折神社・小松寅吉銘
明治32年 1898 白河市七番町・金毘羅神社の小松寅吉作狛犬
明治36年 1903年 白河市東下野・鹿島神社 小松布孝狛犬
明治36年6月 1903年 大田原市西郷神社・石工 小松寅吉(布孝・推定)
明治37年 1904 白河市東下野出島坂本・坂本観音の小松布孝・馬の石像
明治45年 1912年 須賀川市・旭宮神社恵比寿像・石工小松布孝(寅吉)
大正2年 1913年 石川郡石川町沢井・長福院・小松布孝・毘沙門天像
年代不詳   白河市東下野出島・神宮寺墓碑
年代不詳   白河市・聯芳寺・鈴木寛治氏の墓
年代不詳   石川郡浅川町・福貴作集会所・小松寅吉仁王像
年代不詳   石川郡浅川町浅川荒町永昌寺不動明王石像・石灯籠
年代不詳   玉川村北須釜森殿・須釜神社・石灯籠1913年推定
年代不詳   須賀川市牡丹園・小松寅吉作・アマノウズメノ命石像
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2019年5月4日
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