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↑那須町・建武山温泉神社・逆さ狛犬

2016年5月31日、福島県借宿で農産物を大量に買った後、栃木県と福島県の県境にある境の明神へ向かいます。借宿は東山道の古い地域であり、奥州街道の通る境の明神までの道は一度は通って見たかったので大変興味深いドライブになりました。

東山道の旧道とは異なる道でしょうが、やはり白河の関の周辺は山が多いという印象を受けました。境の明神から奥州街道を江戸方面に戻ると古い城下町、芭蕉のたどった道になります。芭蕉の草鞋の跡をたどりながら、静かな社を訪ねて鎮守の森でひっそりとたたずむ江戸時代の狛犬を見る事にしました。スライド&マップ

◎那須湯本・温泉神社編湯本温泉神社の狛犬  2016.05.31   
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那須の狛犬に関する芭蕉の足跡は”近所(そば)の奥の細道”をご参照ください。
関の細道 関の細道@境の明神 関の細道A白河の関 関の細道B追分の明神
那須の細道 那須の細道B遊行柳    
 
グーグル・マップ訪問地点明細(地図のポイント表示マークは色分けされています)
  各回のホーム・ページ見出し名一覧 実施期間
第1回 @関の城下町 A小峰城と金毘羅神社 B借宿・羽黒神社 2015.6.29〜30
第2回 @中島村周辺 B白河の関周辺 B浅川町周辺 2015.7.13〜14
第3回 @西郷村~白河市 A国津神社・羽黒神社 B鐘鋳神社と貫秀寺

2015.7.27~28

第4回 @白河市大信 A白河市近津神社他 B二つの角折神社

2015.8.17〜18

第5回 @西郷村4つの社 A石川町八幡神社他 B小松布孝と小林和平 2015.9.7〜8
第6回 @西郷村から白河市 A白河大信から天栄村 B浅川町 C棚倉町 2015.9.28〜9
第7回 @須賀川市 A白河市

B東白河郡鮫川村

2015.10.26〜7
第8回 @古殿町 B古殿八幡神社 B矢吹町八幡神社 2015.12.7〜8
第9回 @玉川村 A那須の狛犬1 B那須の狛犬2 2016.4.19
第10回 @白河市・棚倉町 A白河市・棚倉町   2016.12.5〜6
  第11回 @西郷村・那須町 A那須町黒田原神社   2016.12.31
 
那須町・上の宮温泉神社(遊行柳)  スライド&マップ
元禄二年(1689年)新暦の6月7日、芭蕉と曽良は 朝8時に那須湯本を出立。芦野の遊行柳に立ち寄った後、陸羽街道を通り境の明神から白河の関に出ます。その日は関のある宿場、旗宿に泊まります。田圃に入れる水が用水路を音を立てて勢いよく流れていました。遊行柳住所: 栃木県那須郡那須町芦野2016.05.31

奥の細道より(別ページの”奥の細道”をご参照ください)

又、清水ながるゝの柳(西行が歌に詠んだ)は蘆野(那須町のあしの)の里にありて田の畔(くろ・あぜ)に残る。此所の郡守戸部某の、此柳見せばやなど、おりおりにの給ひきこえ給ふを、いづくのほどにやと思ひしを、今日此柳のかげにこそ立寄侍(たちよりはべり)つれ。
田一枚植て立去る柳かな

294号線の際に遊行柳を見物する人用の売店などの施設があります。車をそこに止めて遊行柳と温泉神社へ歩くことになります。上之宮の温泉神社は遊行柳を通り越した先の山際にあります。遊行柳から社は見えます。

何代目かの遊行柳です。枝を伸ばして心地良い日陰を作っていました。更に山に向かって進んで行くと小さな社が見えます。2016.05.31 

 

幾度か季節を変えて遊行柳とこの社は訪れたことがありますが、狛犬は全く目にした記憶がありません。

狛犬への関心を持ち出したのが一年前からなので、それ以前に訪れた何処の神社の狛犬についても記憶がありません。2016.05.31

上之宮温泉神社の狛犬

左の吽像と推測される狛犬です。長い顔で犬か狐のような風貌に見えます。2016.05.31

右の狛犬で、口が開き気味なので阿像と推測します。阿吽像の顔の外観が異なっているように見えます。この阿像は丸顔です。2016.05.31

明治29年に奉納されたようです。石工の名前が左端に見えるのですが正確に判読できません。平塚x三郎だと思うのですが、一文字が読めません。平塚と三郎(二郎かもしれません)は比較的判読が出来ますが、その他は推測です。2016.05.31

木陰の中で気持ちが良さそうです。狛犬を彫った石の素材のせいか全体に苔が密着しています。かと言って、今更苔を取り去ると石が破損するように見えます。2016.05.31
社の左に銀杏の大木が見えます。樹齢400年と書かれています。芭蕉が遊行柳を訪れたのは1689年の事ですから、この銀杏を目にしたかもしれません。2016.05.31
社から狛犬とその先の遊行柳を見ています。田圃ではすでに田植えが終わったようで稲が碁盤の目のようにきれいに稲の青い葉っぱが見えます。2016.05.31
温泉神社を後にして駐車場に戻る事にします。遊行柳を通り越した先に294号線・陸羽街道があります。その際に駐車場があります。柳の枝が風に大きくスイングをしています。2016.05.31
那須町・建武山温泉神社  スライド&マップ

健武山湯泉神社(芦野)住所:那須郡那須町芦野2221。車は一台止めるスペースしかありません。神社の前から294号線を見ています。左が白河方面、右が伊王野方面、294号線を曲がると神社までは一本道です。

白河市の境の明神から294号線を伊王野応援に向かってくると、芦野駐在所の交差点にでます。そこから僅かで田圃の中の道を右折して直真すると神社に突き当たります。カーナビにはこの番地(芦野2221)の方が見つけやすいと思います。那須郡那須町芦野2231と書かれた案内書もあり、私はそれで探したところ294号線の反対側に行ってしまいました。集落の中で親切なご夫婦に出会い、丁寧な説明を受けて探すことが出来ました。芦野2221と入力した方が見つけやすいと推測しています。間違っている場合もあることをご考慮ください。2016.05.31 

木々に覆われた木陰の中の長い参道を進みます。心落ち着く素晴らしい参道の先に鳥居そして石段が現れました。スライド&マップ

私の大好きな神社を、信仰する氏子の人々が守ってきた清冽な神域です。その石段の途中に狛犬が見えてきました。

長い参道は静寂に満ちています。錯覚ではあるのですが、この空間全てが私個人の為にあるように思えてきます。この場所に居る事が、極めて豊饒な精神の充足感を感じる気分になります。早速狛犬を見させてもらうことにします。2016.05.31

建武山温泉神社・狛犬・阿像・嘉永4年(1851年・辛亥)

那須の狛犬はつぶらな瞳としか形容のしようのない目が私には特徴の一つに思えます。どこか少女漫画のような雰囲気の目です。江戸時代の狛犬としてはかなり新しいデザインに見えます。

地元の石工の人が彫ったとしたらこの地にも、このような腕の人々が複数以上居たのかもしれません。2016.05.31 

建武山温泉神社・狛犬・吽像・嘉永4年(1851年・辛亥)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こちらは口をしっかりと結んでいるので吽像と推測されます。やはり瞳がキラキラしているような表情に見えます。全体のバランスが保たれ、動きを感じさせる彫りはかなり良い狛犬だと思いました。2016.05.31 

石段の途中の広場に江戸時代の狛犬が向き合っています。2016.05.31 
 
長い石段を登ると更に平らな境内、その先に社と狛犬が見えてきました。これだけの長い参道を持つ神社の維持はさぞかし大変な事だったと思います。2016.05.31 
建武山温泉神社・狛犬

これが最も見たかった狛犬です。形はやや小型ですが見事に足を空中に突き上げている姿が大変リアルです。

この狛犬は右に置かれていますが左の狛犬と同一の組み合わせとは考えにくいように思えます。

奉納された狛犬は経年による破損などから移動や破棄などもあると聞いています。もしかするとそのような運命だったかも知れません。

素晴らしい動きのある狛犬を見て大満足です。年代・石工名等は見つける事が出来ませんでした。

後日、黒田原神社(大正13年)大島温泉神社(大正11年)でこの狛犬によく似た意匠の石像を見ました。黒田原神社の狛犬は”逆さ狛犬”と呼ばれてるようで、左画像の説明板に火鎮め・防火を祈念していると書かれています。私もこの建武山温泉神社の狛犬を見た時逆立ちしていると言うのが第一印象でした。素人の推測なので間違っているかもしれませんが、これもその”逆さ狛犬”の意匠ではないかと思えるのです。一応、那須のこの3つの社の狛犬は”逆さ狛犬”と暫定的に表記する事にしました。間違いが判明した場合訂正申しあげます。2016.05.31 

建武山温泉神社・狛犬・昭和9年

左の狛犬は口を閉じているので吽像と推測されます。やはり目がぱっちりと開いてキラキラしているか印象です。全体のバランスが良くとれていて楽しく見る事が出来ました。2016.05.31 

建武山温泉神社にも樹齢700と推定される杉の木がありました。この辺りの神社の鎮守の森はどこも居心地の良い神域を形作ってくれています。

この建武山温泉神社は、長い参道を持つ荘厳な神社の佇まいと2対の良い狛犬が見られる素晴らしい場所でした。2016.05.31 

那須町・霞岡温泉神社(伊王野温泉神社)スライド&マップ

霞岡温泉神社(伊王野温泉神社)住所:那須郡那須町伊王野1442。街の中心部にある神社、城下町の名残りがあるので道が少し複雑でした。太い通りに面した神社の入り口です。車が止めららないので左隣の公民館(那須郡那須町伊王野1381)にちょっとだけ止めて大急ぎで参拝をしました。 2016.05.31

鳥居を潜って社に向かいます。砂利の敷かれた美しい参道の両側には大きな杉の木が並んでいます。遠くに社が望まれます。2016.05.31 

 

霞岡温泉神社・狛犬・阿像・嘉永五年(1852年・壬子)

右側の狛犬が左より口の開きが大きそうです、阿像だと推測しました。狛犬は一般的な大きさです。玉を足下に彫ってあります。2016.05.31 

正面から阿像を撮ってみました、今まで見て来た他の那須町の狛犬に似てやはり目の彫りに特徴がありました。大きくぱっちりと目が開いています。2016.05.31 
霞岡温泉神社・狛犬・吽像・嘉永五年(1852年・壬子)

吽像と推測される狛犬は顔の表情が少し緩い感じがします。

嘉永の年号ははっきり見えるのですが数字が判然としませんでしたが、壬子(みずのえね)がしっかりと見えたので寛永5年と思われます。幾ら陸羽街道沿いとは言え、江戸から離れた場所で幾つもの江戸時代の狛犬を見る事が出来た事は幸運でした。2016.05.31 

二つの狛犬は見合うような位置に置かれていました。2016.05.31 

石段を登ると立派な社が有ります。参拝をしました。

境内に2本の大きな杉の木が聳えています、それがこの大杉のようです。2016.05.31 

今日の那須の狛犬を訪ねる旅は想像以上の楽しい経験をしました。芭蕉の旅と重ねながら、陸羽街道の社を訪ねてみると、江戸時代の狛犬がそこには奉納されていました。大きな満足感を感じながら県境の村へと陸羽街道を芭蕉と同じく境の明神を目指して戻ることにします。2016.05.31 

 
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