狛犬を訪ねてNo.14・白河市の神社と狛犬・村社庭渡神社・白河天神・杜八幡神社 
 

↑白河市表郷・郷社・杜八幡神社・狛犬阿像・明治28年(1895年)
双石 石工・深谷儀助  *(禁)無断使用

閲覧はhttps://parallel.eek.jp/:2017年7月3日、半月ぶりに県境の村にやって来ました。生憎、雨が降り続く陽気で草刈りは出来ても土を掘り起こすことは難儀です。雨の小降りの時に草を刈り、最大の楽しみの一つである農産物の買い出しに精を出しました。その帰路、久しぶりに近くの狛犬を見る事にしました。ここしばらくは街の狛犬を見ていたので、村の狛犬が新鮮に見えます。

第一に狛犬がどれも個性的なのがとても楽しい事です。社の様子が素晴らしい事は言うまでもありません。小高い丘の石段を登り、静かな境内でお参りをするのはまるで神域を独り占めにしたような気分です。今回も、社を守る氏子の人々のお陰で同じような楽しさを存分に与えてもらいました。2017.07.03

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白河市の石工   白河市狛犬データ・ベー・ス年代別一覧表

白河市の狛犬・掲載リスト(同名神社が複数あります) 改定 04/17/2021 白河市の狛犬マップ 白河市の狛犬スライド
都都古和気山神社 春日神社 鹿島神社@ 白河神社 角折神社
厳島神社 熊野神社 神宮寺 五龍地神社 社八幡神社
南湖神社 聯芳寺 坂本観音 諏訪神社 羽黒神社
境の明神 鹿島神社 近津神社(ちかず) 角折神社(つのおり) 羽黒神社
八幡神社 金毘羅神社 都々古和気(つつこわけ)神社 角折神社 国津神社
矢越神社 庭渡神社 桜と狛犬・南湖神社聯芳寺 白河天神 杜八幡神社
八雲神社 三柱神社 白山姫神社 妙関寺 八竜神神社
成田山圓養寺 虚空蔵堂 皇徳寺と笠原神社 鳥住神社  
 
グーグル・マップ訪問地点明細(地図のポイント表示マークは色分けされています)
  各回のホーム・ページ見出し名一覧 実施期間
  番外 島根県松江市・松江城内松江神社、城山稲荷神社出雲型狛犬 2016.01.01
第1回 @関の城下町 A小峰城と金毘羅神社 B借宿・羽黒神社 2015.6.29〜30
第2回 @中島村周辺 B白河の関周辺 B浅川町周辺 2015.7.13〜14
第3回 @西郷村~白河市 A国津神社・羽黒神社 B鐘鋳神社と貫秀寺

2015.7.27~28

第4回 @白河市大信 A白河市近津神社他 B二つの角折神社

2015.8.17〜18

第5回 @西郷村4つの社 A石川町八幡神社他 B小松布孝と小松和平狛犬 2015.9.7〜8
第6回 @西郷村から白河市 A白河大信から天栄村 B浅川町 C棚倉町 2015.9.28〜9
第7回 @須賀川市 A白河市

B東白河郡鮫川村

2015.10.26〜7
第8回 @古殿町 B古殿八幡神社 B矢吹町八幡神社 2015.12.7〜8
第9回 @玉川村・田村市 A那須の狛犬・1 B那須の狛犬・2 2016.4.19
第10回 @白河市・棚倉町 A白河市・棚倉町   2016.12.5〜6
第11回 @西郷村・那須町 A那須町太田原神社   2016.12.31
第12回 @関の狛犬 A須賀川市の狛犬・1 B須賀川の狛犬・2 2017.01.03
第13回 @那須・白河 A鏡石町 B須賀川市 2017.3.6~7

第14回

@白河市庭渡神社 A白河天神

B杜八幡神社

2017.7.3~4
第15回 @下郷町嶽観音 A田出宇賀神社 B岩上神社西郷村

2017.08.01 & 09.04

第16回 @郡山市 A白河市街の狛犬

B白河市と西郷村

2017.09.05
2017.10.25~26

第17回 @白河市・虚空蔵堂成田山圓養寺皇徳寺 A野田平業の狛犬巡り 2017・12・4~5
白河市久田野・村社庭渡神社

ほぼ半月ぶりの県境の村なので朝から白河農協の”り菜庵”での買い物の準備をしています。開店時間の9時30分に合わせて家をでました。街の暮らしからは信じられないほど安価で美味しい野菜を買い込みました。村への帰路、白河市久田野の庭渡神社を訪ねてみる事にしました。この神社は久田野にある八雲神社を探していたときに車から見たのですが狛犬が居るとは気付きませんでした。県道139号線を進むとフランス・ベットの工場がありその手前のセブンイレブンの交差点を左折するとすぐ右手に見えます。

探す八雲神社は、前回もこのセブンイレブンの前にある八雲神社かもと思い探したのですが狛犬は居ませんでした。村社・庭渡神社住所:白河市久田野宮前89。2017.07.03

門柱に明治時代に制定された”村社”が彫られていました(昭和20年に規則は廃止されているようですが)。当時は通常の無格社の上の神社だったようで石像類もかなり大きく重厚に見えます。

奉納された色々な石造物の中を進むと鳥居の横に狛犬がおかれていました。

大正10年(1921年)狛犬・石工 大高三二

右に置かれた阿像のようです。目が丸く大きな愛嬌のある狛犬です。玉を足下に納め、牡丹の花が添えられています小林和平などの狛犬にも牡丹が添えられていることから、江戸の狛犬の影響がこの辺りにも広まっているのかと思いました。白河の石工参照

2017.07.03

大正9年と思われる文字が最初に彫られていて、真ん中辺りの”記念建之”の文字に続いて左画像の”大正十年”と思われる文字が彫られているように見えます。間違っているかもしれませんが一応大正10年(1921年)と推定しました。2017.07.03
ほぼ100年前のこの辺りとしては古い狛犬は震災でもそれほど大きな影響が無かったのか綺麗な状態で残っています。良い狛犬に巡りあう事が出来ました。2017.07.03
 
庭渡神社2つ目の狛犬

二の鳥居先にも鳥居が更に一つ有ったのかもしれませんが不明です。二つ目の鳥居の先に小型の新しい狛犬が奉納されていました。東京近辺では沢山見られれる岡崎式と言うタイプの狛犬のようです。

平成二四年に奉納した人が二人とも”大高”と言う人でした。もしかすると大正10年(1921年)の狛犬を彫った”石工・大高三二”の関係者の人ではないかとも思いました。

これだけの狛犬を奉納するのでも大変な事ですが、岡崎式が置かれていることを見ると白河市近辺にも狛犬を彫れる石工の人が絶えたという事かもしれません。2017.07.03

拝殿の後ろに奥社を備えた良い感じの神社です。神社の大小や郷社とか村社とかの社格で印象が左右されることはないのですが、それらには氏子の人々のまとまりや信仰心の深さを感じる事ができるような気がするのです。2017.07.03

社の裏に回ってみました。奉納された小さな石の社が並んで奉納されていました。

小さな末社もありましたが、社の名前は見当たりません。微笑ましい土の人形が幾つか奉納されていました。
久田野・天満宮

”大高三二”の名前を何処かで見たと色々考えたら、近くにあるはずの八雲神社を探して見つからず(今回も見つかりませんでした)、その場所に天満宮がありました。石段を登ると小さな社と灯篭がありそこに彫られていた名前でした。天満宮住所:福島県白河市久田野夕顔山

八雲神社の住所にあった天満宮、鳥居の前では震災の改修工事が今も行われています。もしかすると入り口の鳥居も新しい事から探している八雲神社は破損してしまったのかとも思っています。八雲神社と言う名前は庭渡神社入り口のセブンイレブンの前の小山にもあるのですが狛犬は居ませんでした。

白河市天神町・白河天神の狛犬 

天神神社住所:福島県白河市天神町2番 。那須方面への帰路、それなら白河市内の天神神社に寄ってみようという事になりました。旧陸羽街道が市内で90度に曲がる交差点、庭渡神社から来たので左にセブンイレブンのある信号を直進して左カーブの急な坂道を登るとすぐ公民館がありました。一応そこに車を止めて神社を訪れました。2017.07.03

 

明治の狛犬のようですが、先ほど見た庭渡神社の狛犬に似て目が丸いように見えます。愛嬌のある親しみやすい風貌です。

これは右に置かれた阿像です。子供や玉などが彫られていないのも古さを感じさせます。2017.07.03

年号の彫りの一部が欠落しているようで正確に確認が出来ません。”明治x7年8月”と読めるようです。更に欠落したXの部分を推測をすると、”廿”で明治27年ではないかと思われます。どちらにしてもこの辺りでは明治の狛犬はかなり古い時代のものだと思われます。

石工の名前は”三国惣助”とはっきりと見えました。この”三国”という石工の人の名前も時々目にすることがありますので、白河の人なのかもしれません。白河の石工参照2017.07.03

左に置かれた吽像どこかひょうきんな表情に見えます。この辺りの社では、色々個性的な狛犬が見られる事が大きな楽しみの一つです。2017.07.03

右の阿像から吽像を写しました。静かな境内の中で、向き合う二つの狛犬に挟まれた一帯だけにはどこかリアルな空気が漂っているように感じます。2017.07.03
   
拝殿で鈴を鳴らして参拝をさせてもらいました。阿像を境内から見ると急な石段が白河の町に向かって落ち込んでいます。この90度の角を曲がる旧陸羽街道では沢山の人々の物語が繰り広げられたに違いありません。2017.07.03
子規の句碑

藤沢周平の”白き甕”で長塚節を知り、その師・子規の住んだ根岸の子規庵何度か尋ねたことがあります。その子規の墓も偶然見つけたのですが、この句碑も全く予期しない巡り合いで大変嬉しく思いました。そして直ぐに芭蕉の事を思い出してしまいました。

 

芭蕉が元禄2年(1689)奥の細道の旅で、白河藩の俳人何伝(かうん)と会えなかった心残りの句が刻まれた白河市内・聯芳寺の句碑(白河神社にも同じものがありますが)を思い出してくすりと笑ってしまいました。共に暮らした江戸・深川と根岸の里(日暮里)から遠く離れたこの白河の地での、同じ俳人の幸運と不運が町を見下ろす静かな社の前で極めて身近なものに感じられたからです。芭蕉の句:関守の宿を 水鶏(くいな)に とはふもの(問おう)

白祐稲荷神社
拝殿横に二つの末社があります。右の末社は稲荷神社で昭和8年の中々出来の良い狐が置かれていました。

狐の台座に彫られていた昭和8年の文字。

拝殿の後ろにはいくつかの石板や石塔が奉納されています。嘉永2年(1849年)の石板が地面に倒れていました。文字がはっきりと刻まれています。2017.07.03

 
家に帰る事にして下りだした石段を振り返るとポツンと座っている石段の上から狛犬がこちらを見ていました。2017.07.03
   
白河市表郷・郷社・杜八幡神社

JA細倉直売所住所:白河市借宿赤番沢45。

今日は7月4日、火曜日、家人が県境の村を訪ねる最大の目的とも言えるJA細倉直売所での野菜の買い物の日です。月曜日が休みで開店が12:30、朝から草刈りをしながらも気になってなりません。開店10分前には着いて並ばないと駐車場に止められない・品物が売り切れると言う結果になります。この日は、私達にとっては幸運にも雨、並んだのは列の7番目でした。希望通りの買い物をして思いが叶いました。

街の値段の半額以下で極めて新鮮でこれが同じトマトやキュウリかと言うほど美味しいのです。昨日は白河のJA直売所”り菜庵”で念の為に買っておいたのでしばらく美味しい野菜を食べられます。

因みに、贅沢な事にこの直売所の50m程の場所に寅吉のびっくりするような石像群が立ち並ぶ羽黒神社があるのです。

買い物が上手くいったので気分は爽快です、帰路、前から行きたかった白河市表郷の杜八幡神社に立ち寄る事にしました。幸運にも独創性のある見応えのある狛犬と長い石段のある素晴らしい神社に遭遇することができました。2017.07.04

 

社八幡神社: 福島県白河市表郷八幡社山1。県道277号線沿いの道路際に 大きな狛犬が建っているので大変分かりやすいでしょう。車は歩道がかなり広いので、神社の前の歩道の脇に止めさせて貰いました。

奉納された石灯篭や狛犬、鳥居の数などからかなり重要な神社ではないかと思いました。入り口の門柱の写真を見ているとどうも”郷社”文字をセメントで埋めたように見えます。郷社は明治4年に制定された社格制度で村社の上の社格です(昭和21年この制度は廃止されています)。因みに庭渡神社は郷社の下の社格の村社です(多くは無社格の神社です)。

ウイキペデイアに占領軍の難癖を恐れ社格の部分をセメント埋めた神社が多かったと書かれているのを見て成程と納得しました。これがその例かどうかは分かりませんが、歴史の生き証人です。2017.07.04

杜八幡神社・狛犬・明治28年(1895年)双石 石工・深谷儀助
県道277号線からこの大きな狛犬が見えます。122年前の狛犬とは思えない綺麗な状態です。明治28年と年号は読めたのですが、石工の人の名前が残念ながら分かりませんでした。

石工名:2018年9月11日の狛犬巡りで訪れた白河市双石・熊野神社で見た狛犬・明治29年(1896年)双石 石工・深谷儀助がこの狛犬とそっくりでした。杜八幡神社・狛犬・明治28年の狛犬も意匠や年代から深谷儀助と推定してほぼ間違いないと思われるのでそう記載しました。

目がつぶらで怖さを感じない表情の狛犬です。右に置かれた阿像と思われます。

通常のサイズより一回りは大きめに見えます。高い台座の上に置かれているので更に大きく見えます。彫りもしっかりしていて全体のバランスにも違和感を感じさせない良い狛犬に思えます。

小松寅吉が白河市金毘羅神社の狛犬を彫ったのが明治32年、鹿島神社は明治36年借宿・羽黒神社狛犬が26年・・これらから判断するとほぼ同時代の石工の人だと思われます。面識が有ったりしたかもしれないなどと楽しい想像が膨らみます。

当時はこれ程の石工が居たのだと感心しました。白河の石工参照2017.07.04

こちらは左に置かれた吽像と思われる狛犬です。何処か表情が柔和に見えます。子供の横に牡丹が彫られています。

良く彫られた狛犬で、保存状態が極めて良好な事も特筆すべき事です。苔などが余り生えていない事から氏子の方々の手入れが良いのかもしれないと推測しました。苔が多いと、多分この辺りの冬の厳しさは苔の水分を凍らせ岩を破壊していくのではないかと思いました。2017.07.04

光線の具合から吽像の後ろから阿像の方向を写しました。2017.07.04
 
杜八幡神社境内

ヤマユリが埋める参道が始まる境内の端に頼朝の歌碑が奉納されていました。文治5年(1189年)7月、頼朝が白河の関を超えて奥州・藤原氏の討伐に向かった折の事なのかと思いましたが確かではありません。白河の関に関する歌は数多くそして色々の人に詠まれているのでそう推測しました。

白河の関を源流とする”杜川”が流れるこの地域はその杜かとも思いました。2017.07.04

奥の院のある拝殿の奥の境内には4つの美しい末社が鎮座していました。辺りは杉木立が立ち並ぶ静かな別世界です。2017.07.03

別世界のような静寂な神域から入り口まで戻ってきました。振り返ると一の鳥居の前に大きな狛犬が見えます。門柱の横にはご神木と思える大きな杉の木がありました。

2017.07.04

神社の前に立っている説明板を興味深く読んでみました。

このような祭りが現在も行われている事が清冽な神社が保たれているのだと思いました。

大きな満足感を感じながら県境の村へと帰る事にします。

とうとう今日はほぼ一日中雨が降り続くようです。2017.07.04

   
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